| おすすめ度*1 |
|---|
|
|
アーバンスタイルの機能的なデザインが特長のワイヤレスヘッドセット。aptXには対応しない。ただイヤーマフは厚みが足りず、ヘッドバンドの締め付けもきついので、少し装着感はきつめ。また蒸れやすい。
きつめの装着感はむしろ、ヘッドバンドを頭頂部ではなく、後頭部に回すように装着するとしっくりくる。
遮音性は普通で、首掛けしても聞こえるので音漏れも大きめ。
通信性能的には遅延はほぼ感じられないので動画鑑賞に向く。途絶はまれに音飛びがあるが、それほど目立たない。
【１】外観・インターフェース・付属品
付属品はAUXケーブル、充電用USBケーブル、英語と中国語の2言語対応マニュアル。
【２】音質
低音付近、パーカッションのキレが良く、ボーカルの分離度も良く明瞭で、とくにヒップホップやR&B、ダンス向きの味付けに思う。金管の吹き鳴らしも悪くなく、JAZZもいける。女性ボーカルよりは男性ボーカルに味わいがあった。どちらかといえば重厚さが目立つが、音のメリハリの良さのおかげでそれほど重くなりすぎない。
［高音］：高音は比較的上品というかおとなしめ。高域金管の吹き鳴らしも突き抜ける感じではなく、高さはそれほど感じない（秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト）
［中音］：ピアノは鮮やかさよりは肉厚さが感じられ、キンキンしないバランスの良い鳴り方。ギターの鳴り方もギラツキはそれほどなく、アクは強くないが存在感がある。
［低音］：100~30hzまで中心に少し芯の感じられる振動をする。20hzでかなり落差を持って沈む（分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト）
［解像度・立体感］：ボーカルがかなり近く明瞭で、楽器は左右の張り出しが強め（petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト）
［パーカッション・リズム］：立ち上がりが良くキレのよい感じで出やすい。疾走感や躍動感が出やすく、楽しい（東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト）
［ボーカル傾向］：楽器よりだいぶ近く、分離感が強い。中低域が充実していて、肉厚で密度もキレもある生命感の強いエネルギッシュボーカル。高域は天井感もあり、それほど気持ちよく昇っていかない。
【３】官能性
池田綾子「Eternal Wind」はリズムが穏やかに響いて暖色的な曲だが、このヘッドセットではその色合いがとくに温かい。ボーカルは透明さよりはやはり生命的なぬくもりのある感じで高く離れすぎず、優しい抜け方でつねに温和さが消えない。全体として柔らかくてなかなかよい。
Claris「TIME」はややピコピコと電子的だが低域のブーミーな音の鳴り方が面白い。芯のようなものが感じられるアルデンテなブーミーさで、厚みがあるがぼやけた感じはない。そして肉厚で熱量のあるボーカルに迫力と生命感がある。非常に電子的な楽器音と有機的なボーカルというこの曲調の妙味にうまく合っている。
Choucho「優しさの理由」は密度があり、全体として楽器音にキラキラとした感触がある。パーカッションのメリハリもよく、ボーカルは高域でののびやかさはそれほどでもないが、自然でぬくもりのある味わい。中域の充実感が素敵だ。
芽野愛衣「オラシオン」はヘッドホンによってはボーカルが少し弱くなりすぎることがあるが、このヘッドセットはおとなしめの声を近く聞かせてくれるのではっきり明瞭。メリハリのあるパーカッション、左右に張り出す楽器音と、迫力がありなかなかに楽しめる。
【４】総評
デザインはよいが装着感だけは微妙。後頭部にヘッドバンドを回すとだいぶよくなるが、それでも蒸れやすい傾向はどうしようもない。それを除けばかなり密度と生命力の感じられる中低域の充実した表現、メリハリのある爽快感のある表現はなかなかによい。
【関連記事】
*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い！ここが味わい深い！」と思ったポイントです。たとえば低域が「５」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。
