B&O Play BeoPlay H3 インイヤーヘッドホン/シルバー BeoPlay H3 Silver 【国内正規品】
おすすめ度*1 |
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ASIN |
デンマークの音響機器メーカー Bang & Olufsen のイヤホン。北欧スタイルという感じの独特の無駄を削ぎ落としたデザインはシンプルでかっこいい。一方でかなりお値段は高めなわりにハイレゾに対応していないといったところは昨今のハイレゾもてはやしといった風潮からはやや外れており、その点で訴求力に欠けるかも知れないところは、音質面の表現力の良さから考えると些かもったいないところだ。
遮音性はそれほど高くなく、音漏れも少しある。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、携行ケース。ケーブルのタッチノイズはほとんどない。
【2】音質
音質的には中高域の抜けの良い澄んだ感じに、肉厚で生命的な低域が組み合わされた、個人的には好みの鳴り方だ。空間表現も秀逸で広さ、高さと深さがあるだけでなく、音の立ち上がりやのびやかさも優秀なので、空間の臨場感、奥行き感などをしっかり楽しめる。音の味わい的には自然に近めでやや透明よりといった感じで味付け感も少ないため、比較的万能。
[高音]:澄み渡る感じがあり、透明感のある伸びやかな音(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:弦楽はとくに、のびやかさと精彩感、立ち上がりのよさ、そしてリアリティのある厚みがある。
[低音]:はっきりした太く肉厚な振動。100hz以下素直な減衰で深みを感じさせる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:広さもあり、高さと深さもある。空間表現も素直に広がる感じで密度も高い(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムが活き活きしており、タイトな引き締め感もあって楽しい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:肉厚さと透明感が両立している。高低はシームレスな印象で非常になめらかにのびる。
【3】官能性
いきものがかり「雪やまぬ夜二人 2010 Ver.」は透明感があって、しんしんと静かに降り積もる雪の雰囲気がうまく出ている。ボーカルにはのびやかさと透明感があり、しかもほどよく肉厚で情感に訴えかけてくる。
ClariS「CLICK」は低域の弾みが良く、厚みもあって元気で力強い音場がなかなかによい。空間の密度は高めで充実感がある。ボーカルは伸びやかさと肉厚さが両立しており、全体的に明るく元気。量感もあって空間表現もそこそこうまいのでなかなかに中毒的と言える。
SPYAIR「サクラミツツキ」は全体的に濃厚。のびやかで透明感のあるボーカルは艶やかな色合いもありセクシー。重厚さと躍動的な弾力感がほどよく両立していて、さらに地熱を伝える深さもあるドラムは秀逸。
奥華子「変わらないもの」は透明感があるボーカルが前面に出ており、弦楽はやや控えめに後ろから空間を味付けする。低域もボーカルを大切にしながら、生命的な脈動を打ち、情緒を丁寧に胸に流し込んでくる。
【4】総評
音質的には魅力満載で、価格相応かそれ以上の表現力はしっかりとある。少なくともただ単にハイレゾ対応を謳っているだけのイヤホンに比べれば、大事なのは再生音域ではなく、表現力なのだと気づかせてくれるイヤホンであることは確か。一方でそうとはいえ、表現力的には同価格帯で必ずしも抜きんでている感じはなく、似たような表現力のある機種と比べられると、結局ハイレゾ対応機のほうが選ばれるということになるだろう。価格的にも出回る個数が少ないせいか安定せず、最安のシルバーは15000円程度で手に入るが、人気色のレッドは30000円越えたりするなど安定感に乏しい。むしろこのイヤホンはデザインのかっこよさ、使い勝手の良さ、そして希少性に妙味もあり、単純に音質で価格が決まっているわけではない機種ということだろう。
【5】このイヤホン向きの曲
濃密。金管音がとくに艶めかしく、ゾクゾク来る。ボーカルの表現も肉厚でセクシー。
シームレスな高低の表現が自由で伸びやかなボーカルを丁寧に表現する。色彩感に満ちた中高域、弾みと深みがあって、音場をまとめあげる活き活きとした低域ドラムのおかげで、音場全体に煌めきと活力が満ちており、快活で楽しい。
空間表現の妙味を楽しむならこの曲。密度がありながら、抜けの良い表現力で個々の音を必要以上に滞留させない調整力はなかなかのもの。
B&O Play BeoPlay H3 インイヤーヘッドホン/シルバー BeoPlay H3 Silver 【国内正規品】
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。