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【有線/無線両用イヤホン KSCAT BC05 レビュー】リケーブル形式で有線・無線両対応。音質的にはシャープ気味でそこそこの解像度。立体感だけが命。希少なワイヤレスリケーブルシュア掛け形状モデルとしては意外と魅力的

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KSCAT BC05

KSCAT ワイヤレス イヤホン Bluetooth4.1 高音質 ワイヤレス&有線両用 ヘッドセット CVCノイズキャンセリング 耳掛型 スポーツ ヘッドホン BC05 (A.レッド)

 

おすすめ度*1

KSCAT BC05

ASIN

B078N2RS44

 一見するとシュア掛け型のワイヤレスモデルに見えるが、有線ケーブルが付いており、ハウジングの根元部分からケーブルを外して有線・無線両用になっている独自の形式。しかし、たいていの人は有線無線を切り替えて使う発想はあまりないうえ、若干面倒なリケーブル作業をしないといけないので実用的とは思えない。高級機なみの高音質ならリケーブルによる音味の違いも楽しめるが、音質は価格相応で解像度が高いとは言えないので、全体的に微妙な使い勝手となる。結局断線した際のスペアがあり、補填しやすいので潰しがきき、気軽に使いやすいといった感覚になるか。

 あるいは他のリケーブル対応機種をワイヤレス化することができるものの、シュア掛け形状になっているため、どのリケーブルモデルにも合うというわけでなく、ハウジングがシュア掛けスタイルに適している必要があるため、うまくモデルを選ぶ必要があり、興味本位でもやや面倒。

 aptXには対応しない。通信性能は安定している。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、有線ケーブル、携行ケース、日本語説明書。細身の丸形コードにはタッチノイズはほとんどなく、この点は好印象。標準イヤーピースが装着感の良い2フランジだったり、パッケージ内容を見ると細部に配慮が見られ、メーカーの心意気を感じる。

 

KSCAT BC05KSCAT BC05

 

【2】音質

 音質的にはシャープ味が強く、パーカッションやボーカルの息遣いが毛羽立ちやすい傾向がある。低域は比較的薄味で深みは感じづらく、表面の爆発力も強くないので全体的におとなしい印象だ。その点中高域を味わいやすい調整になっているが、肝心の中高域が若干鮮明さに欠ける印象で、シャープな表現のせいでもあるかもしれないが、音に細かなノイズ感があって若干ギザギザしている。俯瞰してみると引き締まっていて中高域中心にミニチュア的に楽しめるという見方も出来るかも知れないが、細かな音を楽しむにはやや限界を感じやすい。一方で奥行き感はそれなりに感じられ、立体感は価格の割にかなり頑張っていて面白い印象。

 

[高音]:シャープで曲によっては音の端がかなり毛羽だって聞こえる。のびやかさや透明感は強く感じない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:個々の音の像が粗い印象だが、全体的に空間を感じさせるのはうまい印象。シンバルがかなり粒が粗いが存在感くどめに出る傾向にあり、好みを分けるが、好きな人は好きかも知れない。低域の存在感が希薄なので、中域の空間性に振れて曲が表現されやすい。

[低音]:低域は軽い。ドラムまでシャカっとしていてパスパス、ミニチュア的な音。そのせいか中高域は逆に味わいやすい(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:低域の支配力がないせいか、多彩な中域の定位感がかなり素直に感じられるのは好印象。低域の足場感がないのでスカスカに感じる人もいそうではあるが(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:軽快。ハイハットは粒が粗く、塩っぽいが存在感だけはある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは少し青みがかって聞こえ、息遣いが強調されがちな独特のもの。自然な味わいとは遠い。

 

【3】官能性

 本田美奈子「ナージャ!!」みたいな曲は苦手な例に入りそうである。多彩といっていいこの曲の女声ボーカルの表現はこのイヤホンで聞くと情緒不安定といったほうがいい表現になっている。本田美奈子のそっくりさんが歌っている曲を聴いている印象。定位感は非常に良く、広大な空間性は感じるが、そこに展開されるパーカッションが無味乾燥でやる気が感じられず、盛り上がる場面ではいまいち肩すかしを食らわされる。

 高橋李依「Stay Alive」は迫力に欠けるものの、空間表現のよさのせいか、多くの低価格イヤホンでうるさく出やすいサビ部分のパーカッション表現を結構聞きやすくまとめている。個々のパーカッションの音は粗くてやや心許なくても、その重なりを多層的に空間に響かせるのは得意なこのイヤホンの面目躍如たるところだろう。とはいえドラムは軽いし、ボーカルののびやかさや透明感もそこそこで反響感はまあまあよいが、空間性以上に褒めるところがあまりない。

 山崎あおい「君のいない夏なんて嫌いだ」はボーカルに深みがなく、輪郭と息感だけ味わっているような感覚がある。低域の深掘り感もないので、空間的な広さも単純に背景が奥まっているように感じられ、最初のサビ後に弦楽が情感を思う存分盛り上げるこの曲のカタルシスポイントも弦楽が途中で力が足りず訴えかけに乏しいところがあり、比較的素通りしてしまう印象。弦楽はその後もなにやら背後で頑張っているが、他の楽器に押されてしまっている。

 (K)NoW_NAME「Harvest」は空間表現の良さから、虚空がしっかり感じられ、この曲の持ち味は出ている。この曲では弦楽を比較的裸に近い形で聞かせてくれるうえ、低域は存在感がかなり薄いので、他の楽器に埋没することもなく、情感もなかなかのもの。ただしサビでのパーカッションは強めに出るうえ、粒感にとぼしいので多くの人にはうるさげに感じられそうだ。

 

【4】総評

 味わいは最近の低域重視傾向とは真逆を行き、低価格では最左翼を形成するような中高域空間性重視。そのコンセプトの前にいろいろ犠牲にしている印象があるが、おそらくSHUREっぽい音を廉価に提供しようという意図、意欲が端々からにぎにぎと感じられる。リケーブルで有線も無線もというアイディアも面白く、信長の野望でたとえれば能力的にパッとしないのに野望値だけは高い武将、という風で斜め上ながら妙なキャラ立ちを感じ、いろいろ盛り込んで野心的なのだが万人受けしないだろう(そもそも万人受けを目指す場合シュア掛けスタイルにはしないのだが)ことは明白だが、個人的には嫌いではない。おすすめできないものの、面白くていろいろ曲を聞いてみたくなる、興味の尽きない製品で独特の魅力がある。

 また当たり外れはあるが、こういう情緒不安定なイヤホンは未成熟なところがあり、個人的な経験上、数ヶ月経つと独特の芳醇な落ち着きを見せる可能性もあるので、油断は出来ない。もちろんエイジングという半分オカルトを前提にイヤホンを選ぶのは賢明ではないのだけれども。

 異端的な楽しみ方として、リケーブルイヤホンをワイヤレス化する目的に使える。シュア掛け形式なので機種を選ぶが、逆にシュア掛け形式のリケーブルワイヤレスモデルは珍しいため、そういうものを求めている人には希少価値がある。ワイヤレスリケーブル機として見た場合、実は最安クラスの廉価品でリーズナブル。シュア掛けの形状にさえ合えば、お気に入りのメーカー製高級リケーブルイヤホンをかなりの低価格でそれなりに安定した通信品質でワイヤレス化できるなんて夢のようだ。aptXなど上位コーデックには対応しないが、通信性能は安定しているため、こちらの用途では低価格でなかなかの環境を整えることが出来る。

KSCAT BC05

 

【5】このイヤホン向きの曲

 この曲の細かな音に向かってしまうと粗が目立つが、一方で骨格だけ楽しむにはシャープで全体像をとらえやすく、それなりの満足度がある。ただしリズムは全体的にシャカシャカしやすいので好みは分かれる。個人的にはもっと粒が細かく精彩のある方が好きだ。(水瀬いのり&久保ユリカ「動く、動く」)

 

 この曲はエコーの利いた立体感が強い曲だが、比較的うまく空間を演出している印象。個々の音が粗いという点はあるが、全体像としてよく味が出ている。(LINDBERG「この空にちかって」)

 

 息遣いが強めに聞こえるところは素直に好みを分ける。またハイハットが素直に粗いのもどうだろう。一方でそこそこの奥行き感があって反響やデュエットの距離感は比較的よく表現される印象で、立体的な味わいは低価格ではかなりのもの。(中島愛&May'n「What 'bout my star?@Formo」)

 

 パーカッションがシャンシャンパスパス軽いのと、声色が若干青がかっているような、冷たげな出方をするところを除けば、定位感はよく出ていて、後半の楽器が入れ替わりながらつないでいくところは楽しい。ミニチュア的で迫力に欠ける印象があるが、全体像を楽しむには悪くないのかも知れない。

 

 パーカッションが硬く、なぜかラテン風に聞こえてくるのが不思議だが、このイヤホンの全力少年は素直に面白い。ほどよい空間性と表現がまっすぐなボーカルと曲調、そしてパーカッションのまとまりのよい傾向がこのイヤホンに合うのかも知れない。ただし、全力少年はどんな音響機器で聞いても聞きやすくガッカリさせることがなく、わかりやすい曲でしかも味わいに変化が出て面白い、それゆえに永遠のヒットナンバーであるといってもいい曲ではあるが。(スキマスイッチ「全力少年」)

 

KSCAT ワイヤレス イヤホン Bluetooth4.1 高音質 ワイヤレス&有線両用 ヘッドセット CVCノイズキャンセリング 耳掛型 スポーツ ヘッドホン BC05 (A.レッド)

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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