- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 接続品質
- インターフェース/操作方法
- 自動耳検知
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
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「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種は1moreから出された最新のインナーイヤー型完全ワイヤレスイヤホン、1more Comfobudsです。現在Makuakeにて絶賛先行販売中です。
1moreはFoxconn出身のスタッフによって創業された中国のオーディオブランドで、2013年に設立されました。設立にXiaomiの支援を受けたことから、伝統的にXiaomiと深い関係にあり、この世界的なスマートフォンメーカーの事実上のオーディオ部門の一つとして、その音響製品のOEMメーカーでもある関連企業です。1moreは当初からマルチドライバー技術を導入した高音質のイヤホンやヘッドホンを手頃な値段で提供する高コスパ製品づくりを目指しています。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:4h/18h
- 防水性能:IPX5
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号:204-B00170
パッケージ
パッケージは価格帯では標準クラスです。付属品は充電用ケース、充電用ケーブル(Type-C)、説明書です。
ビルドクオリティも価格を考えると良好です。ケースは非常にコンパクトで、持ち運びに便利です。
装着サンプル
装着感はインナーイヤー型のおかげで基本的に良好で、圧迫感はありません。ただし、インナーイヤー型にありがちですが、装着感の違いが低域に出やすく、しっかり低域を聞くには少し強めに押してうまくはめ込む必要があります。
接続品質
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では良好な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内ではわりと安定しています。距離耐性の点でも問題なく、5m離れてもシームレスでした。また、遮蔽物があると音が不安定になりますが、片耳だけはシームレスに接続が維持されます。
ホワイトノイズは少しあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはイヤホンのアンテナ付け根部分の外側にあり、タッチセンサー式になります。
電源ON
ケースの蓋を開けると、自動で電源ONになります。
電源OFF
ケースに収納します。
ケース以外の手動電源OFF機能はないようです。
ペアリング
ケースの蓋を開けるとペアリングモードになります。
また、充電ケースに入った状態で、イヤホンの操作インターフェース部分を3秒長押しするとペアリングモードになります。
さらに、イヤホンをケースから取り出した状態で左右同時に3回タップするとペアリングモードになります。
リセット方法
ケースにイヤホンを両方とも収納し、操作インターフェースを8秒長押しします
曲再生/停止
タッチセンサーを1回タップします。
通話応答
着信時にタッチセンサーを2回タップします。
通話終了
通話中にタッチセンサーを2回タップします。
音声アシスタントの起動
通話中でないときにタッチセンサーを3回タップします。
自動耳検知
1more Comfobudsには赤外線センサーによる自動耳検知機能が付いています。これにより耳からイヤホンを外すと再生中の楽曲が自動で停止し、耳に戻すと自動で再生が再開されます。ただし、精度は高くなく、ツーテンポほど遅れて反応します。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
- 左右別
- 左右平均
- 左右別(自由音場補正済み)
- 左右平均(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー解説
比較的バランスが良く、中域へのフォーカス感が良いサウンドシグネチャーをしています。低域は力感は丁寧に感じさせながら、人によっては重苦しく思える部分は自然に弱まって圧迫感がなく、中域では奥行き感にも優れています。
THD+N特性
上は周波数帯域ベースのTHD+N特性、下は1khzでの音量レベルTHD+N特性です。THD+N特性はおおむね1%以下で、満足できる品質です。
音質解説
中域が活き活きと聞こえるバランスになっており、個人的にはかなり好印象のイヤホンです。欠点は少しあり、AACで接続して音楽を聴いていると、ワイヤレスの特性上か、ときどき中域から中高域付近でノイズが感じられます。
低域は全体のパワーバランスでは弱いので、ノイズ源になることはまずありません。低域の弱さは中域の安定感の欠如につながりやすいことは事実で、スネアやタムなどドラム楽器の打ち込みが強い音源を聞くと、音がガタガタして聞こえやすいところがあります。力感や厚みに関わる部分はそれほど弱くないので、パワフルさではそれほど不足を感じないかも知れませんが、重みが足りないので、音楽の全体は少し軽っぽく聞こえることは事実です。低域を重視する人向きではありませんが、中域や高域のディテール感を重視する人には好ましく思われる可能性は高いです。
中域自体はウォームな構造をしているので、少し暖かい印象を受け、聴き心地は安定していますが、実際のところ低域の熱気は不足しているので、下の方でスースーして感じられます。そのため、中域は空間に少し浮き上がって前進的に聞こえます。ボーカルフォーカスは良好で空間に奥行き感もあり、ほどよく高いので音場は狭くはありませんが、低域がスカスカしているので、印象的には中域の密度感が高く、音が集まっているように聞こえやすいです。ただし、中域自体はさきほど述べたようにウォームで安定的な構造をしているので、インナーイヤー型にありがちな音がシャープでシャウティな傾向はそれほどありません。
高域はわりと派手です。にぎやかでややシャープな印象に聞こえますが、尖りすぎることはありません。ただ、低域の不足を考えると、全体的な静寂感は充分とは言えないので、人によってはうるさい印象を受けるでしょう。
全体として元気な明るいサウンドで聞いているだけでアップテンポな気分になるイヤホンです。
SoundPEATS Trueair/SoundPEATS Trueair 2との比較
インナーイヤー型完全ワイヤレスイヤホンの入門機としてはわりと人気がある機種にSoundPEATS Trueairシリーズがあります。ここではSoundPEATS Trueair/SoundPEATS Trueair 2と比較してみます。
さて、これらの機種の中でおそらく多くの人にとって原音の雰囲気が一番忠実に再生されると感じるのはおそらくSoundPEATS Trueairです。この機種はこの中では最もフラットに近く、低域方向もおそらく多くの人が自然に感じるくらいまでは伸びていてスカスカしません。
しかし、個人的に最も聞き心地が良く、好きなのはTrueair2で、初代Trueairより甘味のある、少しノスタルジックな音がします。中域はTrueairのほうがすっきりして自然でよいと感じる人もいるかもしれませんが、私はTrueair2の音の方が和みます。
ComfobudsはTrueairシリーズに比べるともうちょっと高域に寄っていて、ディテール感と立体感という点ではおそらく多くの人にとって最も優れています。ただ安定感は少し足りない気がするので、音楽に充実感を重視する人はTrueair2に比べて豊かさに欠けると思うかもしれません。
解像感に関してはディテールを重視するか、質感や充実感を重視するかで変わりますが、ディテール重視ならComfobudsが最も生き生きと聞こえ、充実感重視ならTrueair2、質感重視なら最も原音に近いTrueairを選ぶとよさそうです。
ちなみにこの中で私が最も好きなのはTrueair2です。
録音比較
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。コーデックはAACです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
インナーイヤー型の明るい雰囲気が好きな場合、ディテール感に優れた1more Comfobudsはかなり有力な選択肢です。デザインもかっこよく、機能が豊富というほどではありませんが、使い勝手も悪くありません。通信品質もおそらく問題ないでしょう。繊細で少し派手なサウンドが好きな人には印象的な解像度が高く、賑やかで、とても楽しい相棒に思えるはずです。
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