ソニー SONY イヤホン ハイレゾ対応 カナル型 ケーブル着脱式 XBA-N3
おすすめ度*1 |
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ASIN |
特徴的なハウジングが独特の雰囲気を持っているSONYのカナル型イヤホン。装着感はそこそこよく、遮音性良好で音漏れ少なめ。ケーブル着脱可能だ。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、携行ケース。標準の付属ケーブルのタッチノイズはやや目立った。
【2】音質
バランスドアーマチュアとダイナミックのドライバーを合わせたいわゆるハイブリッド型だが、音質的には思ったより高域はおとなしい。SONYのハイブリッドイヤホンは高域の鮮明なものが多かった印象だったので、これはやや意外だ。低域も自己主張が強い感じではなく、空間に響く音で重くさせず、空間的な色合いを大事にしているような音質だ。そのためXBA300のような鮮明な中高域を期待すると、ややとまどうことになる。空間性重視のモデルのようだ。
[高音]:高域は少しおとなしい。鮮明さやキラキラ感はそれほどなく、自然な感じで場合によって少し暗めに感じる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:空間的な広さをよく感じさせ、ゆったりとしている。とくに空間に伝わる破裂音系の効果音に勢いがあり、そうした空間演出はうまい。
[低音]:ドラムは空気への伝わりがよい、直接的な重みはやわらげられている印象。空間にエネルギーを伝えるポンポンという感じの音。振動はブーッという若干厚めで少しぼんやりする感じ。減衰は素直で荒れはない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:全体的に広さ重視だが、密度もそこそこある(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは空間に響く。中高域をそれほど邪魔しないが、やや支配的でリードする展開が多い(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:自然な味わい。場合によって若干暗め。息遣いはかなりきれいに出ている印象。
【3】官能性
petit milady「azurite」はドラムが良質。軽快さもありながら、空間に直接的に出過ぎない感じにしっかりと重みを響かせていき、空間全体をタイトに引き締めている。ボーカルは軽めだがキラキラ感はそれほどなく、自然で若干おとなしめ。
ZAQ「Sparkling Daydream」はピアノの表現が上品かつ鮮明。効果音は出すぎないが、空間への利きがよい。ボーカルは若干肉厚で全体的に少し重厚な色合いになっている印象を受ける。
東山奈央「Hello Alone -Yui Ballade-」はボーカルの囁くようなしっとり味が情緒的。空間への溶込み具合が全体的に秀逸で、楽器音も濃密に空間に混ざり込む。はちみつのようなとろみの感じられるスイートテイストに仕上がっている印象だ。
【4】総評
空間表現の広さと濃密さに特徴がある。思った以上に高域重視ではない印象で、ボーカルは場合によっておとなしく感じるほど自然な味わい。あらゆる音が空間に溶け込んでいく感じがあり、個々の音の鮮烈さには若干欠けるところがある気がするが、その表現力は本物。原音忠実主義を目指しているというのも、音のある空間丸ごとの表現を目指していると考えれば頷ける。低音の空間に響く鳴り方などはまさに現実生活での低音の聞き方に近いからだ。
【5】このイヤホン向きの曲
濃密な空間表現を味わうならこの曲。こんこんとわき出すような音の鳴り方、空間に満ちていくその雰囲気がうまく出ており、そこにボーカルがゆったりとあふれ出して調和していく。(やなぎなぎ「音のない夢」)
空間に濃密さがあり、弦楽の彩りが空間全体に広がっていく。ボーカルは大人びてしっとり。全体的にセピア色に色づいている印象を受ける。(ROUND TABLE featuring Nino「夏待ち」)
リズム感がしっかりしていて、ドラムの利きが良く、タイトなリズム感が空間全体を引き締める。ボーカルはしっとりさと息遣いの聞こえが良く、みずみずしさと成熟した酸っぱさも感じさせ、そうした香りがドラムのリズムに乗ってくる清涼感がある。
充実した空間表現を楽しむならこの曲。空間に次々定位感を持って加わる音がどんどん濃密で味わい深い情景を描いていく。
ソニー SONY イヤホン XBA-N3 : ハイレゾ対応 カナル型 ケーブル着脱式 XBA-N3
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。