ZERO AUDIO カナル型イヤホン CARBO MEZZO ZH-DX220-CM
おすすめ度*1 |
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ASIN |
ZERO AUDIO伝統の格子型模様がデザインされているが、全体的に色合いはシックで落ち着いた雰囲気のハウジング。装着感は良い。
遮音性はそれほど高くなく、音漏れも少しある。
この機種については音質比較レビューもあります。併せてお楽しみください。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、携行ケース。平形コードはタッチノイズもやや目立つ。
【2】音質
音質は全体的にレベルが高め。まず空間表現はそこそこ広く、丸い空間で音の密度感もよく、バランス感覚に優れている。音の色彩もなかなかで、中高域はキレもあって抜けもあるメリハリの利いた音、低域はややおとなしめだが、反発力もありながら深掘り感もあって地熱もしっかり感じられる音で存在感はかなりある。中高域と低域の間にやや分離感があり、低域は深めで重低音が利く印象だ。ほぼ同価格で同メーカーで同様にハイレゾ対応というの対抗モデル、ZB-03と比べると、若干中高域に精彩の中心が移っている印象がある。そのため女性ボーカル系の曲はこちらのほうが楽しめることが多いと思う。
[高音]:高域の抜けがよく、のびやかさもある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:キレがあり、抜けも良い。ピアノ音の精彩もきれい。
[低音]:厚みがある振動でやや沈み込む傾向があり、若干おとなしめ。減衰は素直。低域は地熱があり、空間への広がりが良い。ドラムの弾けも良好(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:広め。一定の丸みのある空間で密度もあり(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ハイハットに粒感とキレ。鮮烈さがある。ドラムはバチバチして反発力が強い。疾走感とパワフルさのバランスは良好に思われ、比較的万能(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:つややかでのびやか。高低はシームレスできれいに上下する印象。息遣いも聞こえる精彩感もあり、とくに中高域で芸が細かい。
【3】官能性
いきものがかり「未来惑星」は立ち上がりも良く抜けも良い音がスカッと気持ちよい。それでいてボーカルにはほどよい肉厚さとしっとり感もあり、息遣いからのびやかさまで丁寧に表現している。明るく元気でありながら情緒も大切にして心に響かせる、良好だ。
GARNiDELiA「My little hapiness」はキレのよい音にほどよい精彩感もあり、低域はブーミーに太く思えて、ところどころタイトに引き締められる。ボーカルの鮮明さ、透明感もきれいで、明るくのびやかな味付けも曲調に合っていてグッド。
奥華子「帰っておいで」はボーカルのしっとりとしたみずみずしさと遠くから優しく呼びかけるようなのびやかさがあって、息遣いも丁寧に聞こえるためにボーカルの情緒感にあますところがない。ピアノの鳴り方も鮮やかで全体的に温もりに満ちており、これもうまい印象だ。
南壽あさ子「どんぐりと花の空」も息遣いが綺麗で暖色的、かつのびやかさがあって澄み渡るボーカルが秀逸。やはり色合いに優れたピアノも曲の温度感を出して優しくしているが、それを心に沁み込ませるのは、それらの音が奏でる情感を深く胸に落とし込むかのような低音である。
【4】総評
低価格帯では圧倒的に優れたバランス感覚で、若干中高域の味わいに妙味があるイヤホン。5000円を切る価格で手に入るが、ハイレゾ対応であり、お財布に優しいのも魅力的。コスパでいえば圧倒的であり、対抗馬はかなり限られてくる。正直この価格帯ではゼロオーディオ製品がほぼ上位独占している観もあり、3000円~5000円ではZB-03やZH-DX210-CBなどのゼロオーディオ製品をまず検討し、そののち聞き比べて絞るか、もし気に入らないなら他を試すという流れで問題ない。この価格帯の勢力図を一変させたメーカーの実力は十分評価されてしかるべきだ。
【5】このイヤホン向きの曲
リズム感と空間表現が秀逸で中毒性高め。ボーカルが暗くならず、サビでの色づき、のびやかさ、空間への広がりにゾクゾクするところあり。
色彩感のある弦楽と丁寧に重なって空間を満たしていくデュエットボーカル。全体的に色彩豊かで楽しく、その色合いが空間に充満している多幸感のある音楽がうまく表現される。(The Corrs「All I have to do is dream」)
色彩感の強い曲でガチャガチャしやすくもあり、うるさくなりがちな曲だが、うまくまとめてくれる。地熱を加えるドラム、金管の生々しい空気振動、弦楽の情感、きれいに色づくピアノ、キレのあるパーカッション。それらが調和して濃密。(Jim Beard「Crossing Troll Bridge」)
立ち上がりよく、キレのよさが気持ちいい。ボーカルも伸びやかで突き抜けてくる。全体的に色彩感に満ちていて楽しい。
ZERO AUDIO カナル型イヤホン CARBO MEZZO ZH-DX220-CM
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。