final バランスドアーマチュア型イヤホン Heaven IV BLACK FI-HE4BBL3-A
おすすめ度*1 |
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ASIN |
final audio designらしいシンプルながら洗練されたデザイン。軽量小型で耳当たりは良い。遮音性はそこそこ高いが、音漏れはやや目立つ。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品は携行ポーチとイヤーピースの替え。平形ケーブルはややタッチノイズが目立つ。
【2】音質
バランスドアーマチュア独特の細密画のような輪郭が強くて精緻な鳴り方だが、キラキラ感が強すぎず、透明感も自然な色合いに近い印象。中高域は素直に広く高く、低域は肉厚、さらに一貫性があって埋もれないボーカルとバランスに優れている。
[高音]:抜けが良くスキッとした音だが、キラキラ感は強くなく、自然な味付け(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:中域は広めの空間表現に貢献。ピアノは抑えめ。弦楽はやや情感が強くヒステリー気味に聞こえやすいところが好みを分けるかもしれない。
[低音]:低域は厚みのある振動で、減衰も素直(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:定位感良好で個々の音を丁寧に描き分けている。奥行き感もあって広く感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムの弾みは独特で表面に厚みを感じる強めのタンタンした音。爆発力は抑えめで肉厚傾向の音(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:みずみずしさと繊細さに妙味がある印象だが、か細くはなく芯の強いのびやかさで他の音に埋もれない。
【3】官能性
SPYAIR「JUST ONE LIFE」は全体的に音の立ち上がりよく、メリハリがある。ドラムは厚みがあって反発もしっかりしており、生々しい力強さがあり、生命的。ベースも同様に活き活きとしており充実度は高い。
supercell「My Dearest」は音が滑らかで伸びやか。シネマティックな表現がうまく、ピアノは抑制が利いているが、厚みがあって存在感がある。全体的に情緒的な色彩。定位感が素晴らしく、楽器演奏にライブ感を加えている。シームレスなボーカルの伸びやかさもきれいだ。
奥華子「ガーネット」はやや肉厚でみずみずしいボーカルにまず妙味あり。厚みとほどよい重みのあるピアノ音が情感を高め、鮮明な印象を残す。サビでのボーカルの伸び、その後の消失感も丁寧で余韻まで含めて存分に味わえる。
いきものがかり「ブルーバード」はドラムの生々しさに感激する。厚みと弾力があり、鳴り方も生々しくて生命的。立ち上がりと抜けの良さが心地よいメリハリとなっていて、ボーカルも肉厚さがあって元気。
【4】総評
デザインも洗練されていて所有欲も満たしてくれるfinalのイヤホン。ハイレゾ対応はしていないが、コスパは悪くなく、1万円台前半で手に入るイヤホンとしてはかなり良質な音である。タッチノイズを抑えたオリジナルケーブルと宣伝している割にタッチノイズが若干目立つのが気になるものの、使い勝手も総じてよく、遮音性も悪くない。
【5】このイヤホン向きの曲
立ち上がりも良く抜けもすっきりしていて消失感も良好なこのイヤホンを楽しむならこの曲。メリハリが中毒的にうまく出ていて爽快。
しっとりとした味わいのピアノには厚みもあってしっかりと曲を色づける。ボーカルののびやかさとみずみずしさの丁寧な表現を味わうにはこの曲。(南壽あさ子「フランネル」)
メリハリの利いた爽快感を思う存分味わうならこの曲。青空が感じられるほどの開放感があり、ドラムの厚みと元気のある弾みは地を駆ける元気をくれる。
final バランスドアーマチュア型イヤホン Heaven IV BLACK FI-HE4BBL3-A
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。