JVC カナル型イヤホン XXシリーズ ハイレゾ対応 重低音 ブラック HA-FX99X-B
おすすめ度*1 |
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ASIN |
JVCの重低音モデルXXシリーズのフラッグシップ機種。装着感はそこそこ。遮音性はそれほど高くなく、音漏れはやや目立つ。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、携行ケース。ケーブルのタッチノイズは少しある。
【2】音質
重厚感のある低域が音場を支配し、中高域はドライに出やすい音質。しかし、フラッグシップらしく中域の味わいにも配慮が見られ、弦楽などには色気があり、色彩感とみずみずしさがそれなりにある。この色気はハイハットなどのパーカッションにも共通していて、低価格モデルではいまいち足りなかった艶のある音楽を奏でる。下を強く意識させて音場をまとめ上げる圧倒的な低域音の基礎の上に、これら艶やかさを維持した中域が濃厚に重なることで充実した表現を実現している。
[高音]:ドライに出やすい。床面がはっきりしているので、高さの実感は出る(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:弦楽などに色気があり、思ったよりみずみずしい。
[低音]:深く厚みと量感のある音だが、前面にかぶさってこない。中域を引き立たせる音場の基礎部分を丁寧に作り上げている印象で、比較的良質。ベースはやたらブーミーになるところがあるのは好みを分けるか。振動は下に強めの重たい感じで、減衰は素直(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:床面を意識しやすい(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ハイハットにもしぶき感があって味わいがある。全体的にはドラム優位で、ドラムはズドンズドンと重たく下に響く傾向がある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ややドライ気味にはなるが、艶は失われない。抜けも良く高さも感じられる。
【3】官能性
つじあやの「桜の木の下で」は弦楽に色気があり、低域はしっかり重みと深みを与えて情感と艶を素直に増しながら、しかし支配的にならず中高域を引き立てている。
池田綾子「6番目の光」では低域に熱量を感じる。この低域はボーカルや中域の艶やかさを阻害しておらず、曲本来の色彩感は失われていない。
Daryl Hall & John Oates「Breath of Your Life」はボーカルの色気と低域が楽しめる。とくに高低を自由に歌い上がるボーカルを低域が丁寧に支えているところは好感が持てる。
UVERWorld「CORE PRIDE」は全体的にドライ。ドラムは表面の革を感じられるほどバチバチとした生々しさがあり、下向きに音を響かせる。ハイハットは水しぶきのように生々しく、立体的で、全体的に熱量があって力強い。
【4】総評
XXシリーズ初のハイレゾ対応モデルはその期待に応える見事な表現力。ドライ傾向ではあるものの、艶やかさも失わない表現力を持ち、低域も音場全体を引き立てる良質なもの。全体的にパンチの利いたアタック感あふれる表現になっているのも魅力的で、パーカッションに味わいがあり、素直に力強い。コスパ面でも比較的手に入れやすい価格になっており、音質のレベルは価格帯水準から見ても良質と思えるので比較的お得感もある。ロックミュージックにパンチを求める人にはおすすめだ。
【5】このイヤホン向きの曲
ピアノの色気とボーカルのメリハリの良さ、のびやかさ、低域の重厚な味わい、すべてが楽しめるのはこの曲。
地熱をしっかり伝えてくる低音には、はっきりとした振動感がある。味付け的にはドライ。
ドラムに熱気があり、ボーカルには突き抜け感があって、その対比が高低の違いをさらに意識させ、曲の持ち味である疾走感・飛翔感をより明確にしている。メリハリも良好でアタック感もある。そしてピアノの色彩感が隠し味的に利いてくるところも飽きさせない。
JVC カナル型イヤホン XXシリーズ ハイレゾ対応 重低音 ブラック HA-FX99X-B
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。