JVC カナル型イヤホン N_W SOLIDEGE ハイレゾ対応 グレー HA-FD7-H
おすすめ度*1 |
---|
ASIN |
小型のドラムハウジングで軽量な付け心地が魅力。耳への収まりが良いので、遮音性は思ったより高めだ。音漏れについてはそれほど大きくはないとは思うが、ややシャリシャリとした感じが強く、不快音として聞こえやすいので、思いのほか目立つかもしれない。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はイヤーピースの替え、携行ケース。ケーブルのタッチノイズは少しある。
【2】音質
独特のソリッド感の強い音質は好みを分けるだろう。音の表面を若干粗挽きにしたような、音の肌触りを感じる鳴り方をする。粒があるという表現に合うような音で、ツルツルな音でなく、サラサラな音というとわかりやすいだろうか。たとえばギター音にはエッジが感じられ、キレが明確になる。面白いのはピアノ音などにつややかさがあることで、ヴァイオリンの高域なども引っかかり無く、ザラッとせず、きれいにのびやかに出る。ここにギャップ感があり、全体的にはドライ傾向が強い中に、鮮明で清涼感のあるピアノや高域楽器が鳴ることで、まるで雲間から暗い地上に光が差すように、そこだけよりクリアにはっきりと印象づけられる。これを不自然で歪んでいる表現だと感じるか、新たな形のコラボレーションと感じるかで評価は大きく分かれるだろう。万人向きな音質ではないことは確かだ。
[高音]:のびやかさはあるが、突き抜け感はやや薄いか(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:弦楽は粒感があり塩味が強いが、高域などではのびやかでみずみずしく感じられる。ピアノは背景になりやすく、ややおとなしめに思うが、色彩は綺麗。
[低音]:低域は深みが出て、中高域には被らない。振動はボーッとした厚みのある振動。減衰は概ね素直だが、50hz以下の沈みがやや大きい。ドラムはバツンバツンという爆発力のある音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:広めで球状(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムに爆発力があり、ハイハットの粒感も強く、シャキシャキとした歯ごたえが感じられ、疾走感は出やすい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ソリッドな楽器音に負けず、かなりのびやかでみずみずしい。
【3】官能性
May'n & 中島愛「ライオン」は音がソリッドでシャキシャキサラサラしている。サラダ味な感じで、全体的に塩味が利いている印象。メリハリがしっかり出るので、展開の早いこの曲との相性は良く、また多彩な楽器音がこのイヤホンの特徴をよく引き出すので、独特の中毒性がある。
Uru「フリージア」は弦楽にややのこぎりのようなエッジ感があるが、それがドライさを感じさせながらも刺激的なものになっている。一方でボーカルにみずみずしさがあり、のびやかさもしっかりしている。キレのある塩味の強い味付けはボーカルのみずみずしさを引き立てている。
Perfume「Magic of Love(Album mix)」はドライでメリハリのある音が中毒的。キレがあり、アタック感があるので、展開の楽しさと迫力を楽しめる。
UVERWorld「CORE PRIDE」はアタック感とソリッド感がうまく出ていてメリハリがしっかりしていて、ドライで攻撃的な音楽になっている。ドラムの爆発力は良好。弦楽はギラギラした味わいで聴き応えがある。
【4】総評
独特の表現が気に入ったのなら、コスパは無限大。一方で、ソリッドな音色が不快なザラザラ感に聞こえてしまう場合は、肌に合わないだろう。個人的にはクラブサウンドやロックミュージックに独特のキレのある味わいがあり、しかもドライでありながら、のびやかな音にはつややかさも感じられるという快感はちょっとほかのイヤホンでは味わえない。万人向けではないので、あまりおすすめできないが、個人的にはこういう形で攻める姿勢を忘れないJVCに感服した。冒険的すぎて、しかも面白い。
【5】このイヤホン向きの曲
メリハリ良し。ドライで勢いのある表現と艶のあるのびやかな表現が同居したこのイヤホンを楽しむならこの曲が最適だろう。
弦楽の存在感が強めでピアノの色彩感はやや抑えめに思うが、パーカッションに特に感じられる、ソリッドでドライな味わいを楽しむならこの曲も良い。
JVC カナル型イヤホン N_W SOLIDEGE ハイレゾ対応 グレー HA-FD7-H
【関連記事】
*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。