audio-technica プロフェッショナルモニターヘッドホン ATH-M20x
おすすめ度*1 |
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ASIN |
イヤーマフは少し薄めだが、柔らかく耳辺りはそこそこ良い。蒸れやすいかも知れない。バンドの側圧はやや硬く感じる。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品は標準ステレオ変換プラグ、説明書。ケーブルのタッチノイズはほぼない。
【2】音質
音質的には個々の音のまとまりが良く、少し広めの空間に定位感良く聞こえてくる感じで、聞き取りやすいモニターヘッドホンという銘にふさわしいもの。個々の音の鳴り方は自然で、どちらかというと演出の少ない淡泊な感じで、臭みも少ない代わりに外連味に乏しい。全体的にスッキリとした味わい。
[高音]:やや天井感がある。のびやかさはそこそこ(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:個々の音のまとまりは良い。全体的に淡泊でスッキリした音。空間の広さはそこそこ感じられるが、音の輪郭もはっきりしていて聞き取りやすいせいか空間的な静寂はあまり感じられず、曲によっては密度高めに感じることも。
[低音]:足場をしっかり作るが、重みや深みには欠け、やや淡泊(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:頭のやや前方に左右広めのパノラマに音を展開する(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:やや淡泊。脇役に徹して味付けに終始する印象(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:近い。自然な伸びやかさあり。開放感は出づらく、カタルシスに欠けるように感じるかも知れない。
【3】官能性
飯島真理「天使の絵の具」ではこの曲の持ち味であると思われるボーカルの上方向への突き抜け感は出づらい。パーカッションにほどほどの量感と精彩があって盛り上げるが、印象としては淡泊。キーボードの音もキラキラ感が出ているが、出過ぎない聞きやすさを重視した感じで耳当たりよいが、味気なくも感じられる。全体的に音をしっかり慣らしつつ、個々の音に色を付けすぎないバランス感覚を感じる。
Falcom Sound Team jdk「空の軌跡」を聞くと、金管などはまとまりがよいが、それだけに空間的な溶け込みや色気に欠けるような感じもあり、全体的に硬質に思える。突き抜け感や開放感にもやや乏しい。ただ骨格はしっかりしており、この曲の趣向を凝らした構造は丁寧に再現される。
坂本龍一「Rain」はやや色味が淡泊ながら弦楽とピアノの輪郭感と立ち上がりが良く、展開はきれいに再現される。ただこの曲の面白みの一つである、高低の立体的な味わいには若干欠ける気もする。
Avril Lavigne「Anything But Ordinary」は個々の音が輪郭感良く聞こえてくる。全体としては優等生過ぎるというか、うまくまとめすぎてしまっている印象もあって、奥行き感や開放感は乏しく感じられる気もするが、一方でこの曲のギターエッジなどの細かな表現からにじみ出てくる熱量感はよく再現され、エネルギッシュに聞こえる。
【4】総評
全体的に個々の音の鳴りを丁寧に聞かせてくれる印象。聞き取りやすさを重視している感じで個々の音の色はそれほど強くなく、全体的にスッキリ味に感じられる。外連味などが少なく淡泊な印象を受けるかも知れないが、生演奏に近い自然な味わいを好む人には低価格で有力な選択肢になる。
【5】このヘッドホン向きの曲
個々の音がまとまりよく、そのおかげで音の重なりでムードを出すこの曲にぴったり。ボーカルも近くしっかり聞かせてくれ、個々の音がほどよい密度で頭に直接向かってくる。(Steely Dan「Bad Sneakers」)
audio-technica プロフェッショナルモニターヘッドホン ATH-M20x
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。