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【コラム】インイヤーイヤホンのレビューを読むコツ(ドイツ人評論家の助言)

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SENNHEISER MX 375

 あなたが本当によいインイヤーイヤホンを探そうと思うのなら、最低限の労力を惜しむべきではありません。お店に行って付け心地と音質を確認するのは賢明な方法ですが、お店のサンプルが100%の情報を与えてくれるわけではありません。たとえばイヤーピースを変えるだけでインイヤーイヤホンの付け心地と音質は大きく変わります。販売店のサンプルのイヤーピースは添付された標準のものが使用されており、一般的な顧客向けです。人によっては製品に付属する他のイヤーピースのほうがよいかもしれません。耐久性についても店頭サンプルはほとんど情報を与えてくれません。何より世界中で膨大な種類で発売されているイヤホンの全てを試聴できる店などどこにもありません。

 したがって必然的に、賢いカスタマーはレビュー記事から必要な情報を手に入れて適切に活用すべきです。レビュー記事を参考にすべき一番大きな理由は、奇妙な言い方になりますが、あなた自身が欺かれやすいからです。正直に告白すれば、安価な製品と高価な製品の音質の違いは、一聴してその違いがわかるというようなものではありません。しかし、我々はしばしば「音に惚れる」という体験をします。店頭でのテストで素晴らしい音楽体験を提供してくれる製品に驚き、思わず買い求めてしまうということがあると思います。熟練したレビュアーでも音の印象の素晴らしさに思わず驚くという点では一般人と変わりません。レビュアーは一般人よりそうした体験に一層吟味を加えるという点で違いがあるだけです。あなたの気づかなかったことをレビュアーは教えてくれ、あなたは自らの体験をさらに一般知に深めることができます。知識は力です。

 音質の印象は音楽ジャンルに大きく依存します。このことは忘れないで下さい。一般に安価なイヤホンより高価な機種の方が音質が良く、非常に優れたイヤホンはあらゆる音楽ジャンルに良好な音質を発揮するというのは事実です。安価なイヤホンは一部の曲の印象に優れていても、ジャンルを変えると途端に精彩を失います。販売店のサンプルには、そのイヤホンの得意ジャンルの曲だけを聴かせて印象を良く見せているものもあるかもしれません。カスタマーが販売店で「音に惚れる」体験をして買い物をし、家に帰ってから製品を利用してみると、思ったより良い音質ではないと悟ることは珍しいことではありません。

 上位機種の音質はますます多様化しています。前節で私は高価な上位機種のイヤホンほど万能に近いというような趣旨の説明をしました。しかし一見逆説的なようですが、上位機種ほど音楽ジャンルによる表現力の差は広がります。このような奇妙な表面上の矛盾は2つの原因によって説明できます。1つは、カスタマーが上位機種に求める品質は個人的好みを強く反映させたものになりやすいということ。もう1つは、上位機種は下位機種に比べて音質水準は一般的に高まるが、水準が高まった分だけ音質の格差も広がるということです。高級なイヤホンは最高級の料理と同じです。その味は食通を唸らせる絶妙さがありますが、毎日このような高級料理を食べていれば誰だって飽きます(慣れてしまえば陳腐になります。そして、低級でも珍しい物をより高く評価するようになるでしょう)。それにフランス人にはフランス人の舌、ドイツ人にはドイツ人の舌があるように、食に対する味覚は人それぞれです。一つの製品に対する最高のレビュアーたちの意見がしばしば対立しているように見えるのも、このためです。最高級のイヤホンを最終的に分けるのはあなた自身の耳――あなたの音に対する味覚に合うかどうかなのです。

 さて、一般論はここまで。インイヤーイヤホンの話に戻りましょう。最も重要なのはフィット感です。インイヤーイヤホンは正しい位置に設置されることで、正しく鼓膜に働きかけることが出来るようになります。そのため、位置を調整できるよう、一般的なインイヤーイヤホンは最低でも3種類のフィッティングのイヤーピースが付属しています。高級な機種では10種類以上付属しているものもあります。些か煩雑ですが、正しいフィッティングをここであなたにこっそり伝授しましょう。

  1. まずは右の耳からイヤーピースを合わせます。耳道をしっかりと塞ぎ、きつすぎず、ハウジングの重みで耳から外れたりしない最適の大きさを選んで下さい。右から試すのは一般的に操作インターフェースが右に設置されていることが多いからと、右耳からの情報は言語脳である左脳で処理されるため、明瞭に聞き分けやすいからです。一般的な人ならば、普段電話の受話器を聞いている耳は右耳のはずです。
  2. 次に左耳をフィッティングします。耳は指紋と同じで左右差があります。音楽を鳴らして右耳の音を聞きながら、イヤーピースを一個ずつ左耳に入れて試してみて下さい。フィット感と音質のバランスが良いものを見つけます。
  3. もう一度右耳をフィッティングします。耳に合ったイヤーピースを見つけるのは容易ではありません。着用の快適さと音質の良さをよく吟味して下さい。インイヤーイヤホンを調整するのには時間がかかります。

 コンプライイヤーピースは多くの人にお勧めできます。独特の付け心地に不快感がないならば、コンプライイヤーピースは最適な音質を提供してくれます。形状記憶性のある気泡構造のこのイヤーピースは、外耳道をしっかりと塞ぎ、外部からの雑音を取り除きます。いわゆるシュア掛けと呼ばれる耳掛けのリスニング方式とも相性が良く、フィット感も高まります。現在では高価格帯のインイヤーイヤホンのほとんどがこのコンプライイヤーピースを付属しています。よりお金を掛ければ、自分の耳に合ったオーダーメイドのイヤホンチップを作ることも可能です。

 現在はスマートフォンの普及により、単なるスピーカー機能にとどまらずマイク機能も備えたヘッドセットも多くリリースされています。あなたがマイク機能を必要としないならば、ヘッドセットはなるべく避けたほうが安価に済ませることが出来ます。またこうしたスマートフォンやポータブルプレーヤーにはソフトウェアによる音質カスタマイズやデジタルアンプ機能を搭載しているものもあります。高級機種を買い求めなくても、それらの機能を活用することで音質の向上を体験することが出来ます。

 さて、最後にインイヤーイヤホン愛好家の永遠の悲劇について語らなければなりません。そう、ケーブルブレイク(断線)です。インイヤーイヤホンの故障原因のほとんどはケーブルブレイクです。細心の注意を払いましょう。捻れたり結び目が出来たまま使用していると、ケーブルの内部の金属導線に余計なテンションがかかります。一般にイヤホンの導線としては電気的特性から銅が選ばれています。しかし銅は強度的に弱い金属です。抜き差しするときにケーブルループを持って引っ張るようなことは絶対にしないで下さい。高級機種の中にはケーブルがプラグイン式になっており、交換可能なものがあります。

 私のささやかな助言は以上です。どうかあなたが素敵なインイヤーイヤホンに会えるよう祈っています。Bis nächstes Mal.(また会いましょう。)

 

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