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【セミオープン型ヘッドホン beyerdynamic DT880 PRO レビュー】空気に溶け込む自然な音場。音楽で癒やされる空間を演出する最高のヘッドホン

ヘッドライン

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audio-technica ATH-M20x

【国内正規品】beyerdynamic セミオープン型オーバーヘッドヘッドホン 業務用 DT 880 PRO

 

おすすめ度*1

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 メッシュ式の耳当たりのイヤーマフはもふもふと耳当たりが良い。通気性も高めで蒸れにくく、長時間の音楽鑑賞にも向く。大作映画を数本楽しんでも疲労感はないだろう。

 セミオープンなので、音漏れはかなりある。遮音性も高くない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は標準ステレオ変換プラグ、キャリングケース、説明書。ケーブルのタッチノイズはほぼない。

 

audio-technica ATH-M20x

 

【2】音質

 音質は筆者の評価では価格帯最高クラスである。完全に好みであるため、以下の記述はやや甘いところがあるかもしれないことはあらかじめ断言しておく。しかし、手持ちのヘッドホンをいろいろ聞き比べても、非常に魅力的な音質であることは太鼓判を押せる。

 セミオープン型ということで、音の空気への溶け込み感が非常に良い。高域では顕著で、とろけるように抜ける。高域の表現としてはイヤホンでよくある、突き抜けるようにのびるという音が好まれやすいが、それとは完全に異質である。イヤホンの音になれていると、この消えていく高域音はおとなしく感じるかも知れない。だが広がりながら自然に溶け込んでいく高域は耳疲れしにくく、空間の広がりを感じさせてくれる。調和的な響きが曲全体に馴染みをもたらし、自然な音響の広がりを風味良く感じさせてくれるのだ。

 音の分離感も良く、温もりもあって、オーケストラをフルセットで聞いても十分な解像度がある。音場にはほどよい距離感があってオーケストラセットと聴衆の間の空気感が如実に感じられる。この音を聞いていると、耳元でかき鳴らすような密閉型イヤホンの音のほとんどは野暮だと叫んでしまいたくなる(言わないが)。イヤホンにはイヤホンの良さがあるが、しかし、このヘッドホンを超えるイヤホンが出ることはないだろう。

 

[高音]:空気に溶け込むのびやかさ。突き抜けるような抵抗のある感じではなく、すーっと広がり溶け込む、まろやかな音(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域はやや距離感を採って広く配置されている。その距離を埋めるような自然な空気感があり、広くゆったりとやや丸く音が聞こえる。

[低音]:50hzまでしっかりした振動があるが、40hzからは沈み込む。やや淡い色彩を感じる音。重厚な味もあるが、温もり感と抑制感があり、前面に出る音ではない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:重層的で溶込みの良い広い球状空間を感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムは温かみがあり、熱気を下方向に感じさせ、空間への溶込みも良い。衝撃力は抑えめ。シンバルは細かく空気に溶け込んでいく(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:空間への溶け込みよく、丸いつややかさもある声色。

 

【3】官能性

 岡崎律子「空の向こうに」は透明感や煌めき感、突き抜け感などが出やすい曲だが、このヘッドホンではほとんど強調を感じない。自然な空間で温もり感だけがやや強く感じられ、すっきりと空間に溶け込んでいく。曲に忠実に寄り添っている印象を受ける。

 高田梢枝「秘密基地」はノスタルジックな曲調によく再現される。全体的に空間への溶け込みのよい表現は、ボーカルの温もり感のある声色と重厚な楽器音の持つ情感をそのまま空間に満たしていく。

 下地紫野「プ・レ・ゼ・ン・ト」もよい。自然なアコースティック感が出る楽器音は心地よく、しかもその材質感を空間に溶け込ませて豊かな味わいをクリーミーに聞かせてくれる。

 水瀬いのり&久保ユリカ「動く、動く」はボーカルの溶け込み感といい、なかなかに味わい深いが、まろやかな表現はさすがにこの曲には刺激が弱すぎる。温もり感はあってほっこりと楽しめるが、この曲の本来の味はそういうところにはないような気がする。悪くはないが、おすすめできない。

 

【4】総評

 これまでこの価格帯で紹介してきた中では、SENNHEISER HD599に近い音質。こちらは付け心地の良さやよりゆったりした音場表現で、クラシック音楽やJAZZ、R&B、バラードにより妙味を感じさせる。逆にダンスミュージック・クラブサウンドは勢いが削がれた妙に丸く聞こえる独特の表現になって聞きやすくは思うが、尖った中毒性は大幅に減じる気がするので、この点は素直に難しいところがあると認めざるを得ない。

 一番の魅力は付け心地の良さと聞き疲れしにくい特性だろう。通気性のよいイヤーマフは蒸れにくく、ゆったりと広く聞かせてくれる音質は耳に尖らず、リラックスして聞ける。音楽で日常の疲れを落としたい現代人にとって、これ以上の選択肢はなかなかないだろう。

 コスパに関してだが、価格にばらつきがある。並行輸入品の最安は2018年9月現在20000円程度で入手することが可能。しかし一般的な販売価格は3万円台である。価格は安定していないようなので、高値掴みには注意したい。

audio-technica ATH-M20x

 

【5】このヘッドホン向きの曲 

 ゆったりとした重層的な空間表現を味わうならこの曲。立体感のあるドラム表現が温もり感を演出する空間に、ボーカルがまろやかに広がって染め上げていく味わいを楽しめる。

 

 音の尖った感じが減り、丸く溶け込む鳴り方になる。味わいがまろやかで広く、とくにサビでの高域ボーカルは空間全体に溶け込むように広がり、低域ビートの温かみのある支えとともに情感を盛り上げる。(藤田麻衣子「花火」)

 

 空間への溶込みがよいボーカルに温もり感がある。ドラムは暖かめで衝撃力控えめで優しく、この曲にある独特の緊張感はだいぶ減る。それに代わってまろやかな空間表現が耳に心地よく、叙情的な色合いが強くなっている。(やなぎなぎ「終わりの世界から」)

 

【国内正規品】beyerdynamic セミオープン型オーバーヘッドヘッドホン 業務用 DT 880 PRO

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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