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【カナル型イヤホン ETYMOTIC RESEARCH ER3XR レビュー】なぜかあまり評判を聞かず、amazonのレビューは少なく、日本では人気が無いが……低域から高域までバランスの良い隠れたBAの良機種。個人的にはオススメ

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【国内正規品】Etymotic Research カナル型イヤホン BA型 ER3XR ER3XR

 

おすすめ度*1

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ASIN

B076652HPH

 非常に小型で細身のハウジング。バランスドアーマチュアタイプではこのタイプが多く、耳の装着感は独特の、耳かきを突っ込んでいるような感じになる。

 標準装備のキノコにも似たトリプルフランジ型のイヤーピースのおかげか装着感は良く、遮音性も高くて没入感は十分にあり、音漏れも少ない。

 

 ここからは筆者の個人的な感想のようなもので、ほとんど蛇足に過ぎないので、興味のない人は読み飛ばしてもらいたい。

 Etymotic Researchは日本では必ずしも知名度は高くないが、米国ではバランスドアーマチュアモデルの開拓者として知られており、その品質は非常に高く評価されている。とくにER3シリーズの上位機種ER4の評価は定まっており、酷評する者は稀だ。

 それに比べると、このER3については伝統的なEtymotic Researchのファンでも一部否定的な意見はある。それはこの製品がMade in Chinaであり、Etymotic Researchの米国工場で繊細なドライバー調整を行われたものではないということだ。実際ER4と比べて緻密さと繊細さ、鮮明さに劣るところは下位機種であるし、確かにあるのだが、果たしてそれがMade in Chinaのせいであるかは私にはわからない。

 現状有名メーカー品でも同価格帯はほとんど中国製になってきており、私の個人的な意見で言えば、その価格帯の製品が明らかに以前に比べて劣る品質になったとは思われない。Made in Chinaであることがこの製品の質を下げているというのは些か不合理に思うが、しかしそれをトランプ大統領が登場する前後の、アメリカのナショナリスティックな風潮と安易に結びつけるのも躊躇われる。ファンの失望には米国製でないことについての否定的雰囲気も含まれていることは確かだが、しかし現状本国アメリカのamazon.comレビューでも好意的なものが多い。

 それでもER4の絶賛されている様に比べると、温度差は感じられる。それが音質によるものかは、どうなのだろうか?難しい。ただ私にはもう少しこの機種は日本でも評価されて良い気がする。

 どちらにせよ、こんな話はオーディオレビューに不必要な野暮な話である。お耳汚しになったのなら申し訳ない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はトリプルフランジとコンプライのイヤーピースの替え、携行ポーチ。リケーブル可能。標準ケーブルのタッチノイズは少しある。

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【2】音質

 音質的には中高域で鮮明で透明度の高い透徹した音を鳴らす。低域は若干硬質でタイトな表現。全体的にバランスドアーマチュア的な特性を感じさせる、輪郭感にかなりの鮮明感があるが、同時にギラつかない、ほどほどの丸みを感じる。周波数特性バランス的には若干低域に寄っているはずなのだが、高域であまり天井感を感じさせず、ほとんどフラットに聞こえる。

 このあたりがBAモデルに煌びやかな音を求める人にとっていまいち野暮ったいと思われるところであろうと思われる。ただ個人的にはこのバランスは耳に優しく、聞き疲れしにくくてほどよいように思われる。ER3XRはER4の鮮烈さには決して敵わないが、しかし、私は単純にその音質を下位互換だという形には片付けられないところを感じる。この若干丸い音の鳴り方はそれはそれで悪くないからだ。

 

[高音]:透明感と伸びは感じられる。突き抜け感も十分に感じる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:十分に鮮明。鮮烈というほどのインパクトはないが、個々の音の輪郭感はしっかりしており、ほどよい太さ、厚みもある。シャリ味も少なく、聞き疲れしにくい。

[低音]:タイトで厚みも感じる音。ソリッドな感じで硬質に聞こえる。重厚感は感じづらいかも知れないが、引き締まりを感じる音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:鮮明度は非常に高く、奥まる背景音もきれいに聞こえる。視界良好で広さは感じやすい(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムはソリッドでタイト。音は硬質だが、張りはしっかり、粘りもそこそこ出るので、バチバチと火花を感じさせる音になる。シンバルは細かい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:低域から高域までスムーズでつっかかりを感じない。女性も男性も比較的万能に利かせてくれる印象。

 

【3】官能性

 Uru「フリージア」ではボーカルに高域の伸びの良さと中盤にふっくらとした甘味を感じさせるほどよい厚みがあり、バランスドアーマチュアらしからぬ温もり感がある。低域には力強い反発力を持つタイトな厚みがある。全体としてメリハリよく、高低の妙味と自然な味わいを感じる。

 山崎あおい「君のいない夏なんて嫌いだ」は楽器にわずかに指が触れて擦れる音さえも細かく聞こえる。透明感もあるのでボーカルの声色に楽器の情緒感が乗りやすく、一体性も感じられる。

 吉川友「ダーリンとマドンナ」を聴いても十分な表現力を感じる。この曲は楽器音が混ざりやすく、ボーカルもはっちゃけた感じで全体的にガチャガチャとうるさく出やすい曲。シャリ味も出やすいので、それが出ても耳に痛く、はっきり言ってイヤホンで聴くにはピーキーすぎるところがある。しかし、このイヤホンのほどよい鮮明感と分離感、音の端が丸い鳴り方、音の中盤のほどよい厚みといった表現方向は、この曲を聴きやすい形で見事に聴かせてくれる。

 fhána「Appl(E)ication」も鮮明で透明感と自然な厚みのバランス良く表現されている。低域もタイトでやや硬質な、ほどよい重厚感もあり、非常に締まりよくリズムが小気味よく刻まれる感覚がある。尖りやすい傾向のボーカルだが、こちらも中盤に膨らみと音の端に丸みを感じ、ギスギスしない。

 

【4】総評

 はっきり言って日本では評判自体聞くのは稀で、amazonにもレビューすらまともにない状態の機種であるが、個人的にはこの価格帯では仕上がりがよいと思える機種。キラキラさせすぎない自然な透明感があり、上位機種のややクリアすぎる傾向に比べて、耳に優しい温もり感がある。価格にはややこなれていないところもあり、販売店によって上下があるが、コスパは決して悪くない。

 補足として、この機種については場合によって音のちらつく可能性がある。私は今のところそれを感じないが、信頼できると私が思っているレビュアーは音のちらつきを指摘し、交換品でもちらつきが消えないことから、それが仕様かもしれないことをほのめかしている。

 

 

【5】このイヤホン向きの曲

 まずほどよい緻密感。そして熱量を乗せられるだけの厚みが音にあり、背景音まで見通しが良いので、音に包まれている感覚がよく体感できる。

 

  ボーカルの暖色感はよく出る。奥行き感も良好で全体的にクリア。息遣いや唇の動きも感じられるほど。また低域にはそこそこ硬い重厚感を感じられ、一方で立ち上がり良く、元気に弾むので圧迫感はなく、後半ではスムーズに曲の盛り上がりをサポートする。(Endy Asidor「When I Cry」)

 

 ボーカルの透明な伸びやかさを十分に表現する。ピアノも透明感と厚みのある明度のある音で明るいが、キンキンせずに穏やかで温もり感のある味わいを良く感じさせる。(藤田麻衣子「恋に落ちて」)

 

【国内正規品】Etymotic Research カナル型イヤホン BA型 ER3XR ER3XR

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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