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【コラム】完全ワイヤレスイヤホン製品を放浪した末に、改めてJVC HA-ET900BTに再び向き合う。その音質のコスパの良さを実感させられた[完全ワイヤレス深掘り]

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JVC HA-ET900BT

JVC HA-ET900BT 完全ワイヤレスイヤホン Bluetooth/防水(IPX5対応)/最大9時間再生 ブラック HA-ET900BT-B

 

 最近完全ワイヤレスイヤホンでは、audio-technica ATH-CKR7TWRHA TrueConnectに、ワイヤレスではThe House of Marley SMILE JAMAICA WIRELESS、有線ではJVC HA-FX1100に夢中だったが、ふとしばらく聴いていなかったJVC HA-ET900BTを聴く気になった。おそらくまともに聴くのは9月の特集記事以来で2ヶ月ぶりくらいのような気がするが、SONY NW-ZX300に繋いでプレイリストをランダム再生している内に、音質の良さに改めて気づかされた。もちろん好きなJVCのイヤホンで耳と相性が良い可能性もあるが、誤解を恐れず言えば、audio-technica ATH-CKR7TWとRHA TrueConnectという上位機種のいいとこ取りをしているところがあり、TrueConnectほどではないが良好な粒感、ATH-CKR7TWほどではないが抜けが良くスッキリしたエッジ感と音場表現で、改めてコスパの良さを再認識させられた。……装着感だけは相変わらずだが。

 

 なお、JVCがイメージ紹介動画を作っているので、一応挙げておく。正直これを見てもこの製品のイメージ湧かないけど。実際これつけてこんな走ったら耳痛くなるし。

 

【1】参考記事

 参考のため、以前のレビューを掲載しておく。当初のレビューは掲載は2月で、すでに9ヶ月経過しており、その間にいろいろな完全ワイヤレスイヤホンを味わい、レビューしてきたので、少し見方も変わったかもしれない。

www.ear-phone-review.com

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【2】HA-BT900BTの美点

価格がこなれている

 発売から半年以上経ち、ライバル機種も多くなってこの機種の存在感は埋もれ始めたところがあるが、そのおかげか価格的にもこなれている。一時は9000円を割り、激安に近くなっていたが、9月に入ってからは年末商戦に向けてリバウンドしており、現在は最安でも11000円くらい。セールでもう少し安く手に入るかも知れないが、国産メーカーの製品では最安クラスで手を出しやすい。

 

通信品質が安定している

 これはJVC HA-XC70BTも同様だが、手に入れた個体の範囲ではJVCの完全ワイヤレスイヤホンモデルは通信品質の安定性が相対的に高い。遅延や途絶を感じることがほぼなく、人口密集地では途切れることはあるが、BOSEやSONYなどの他社製品に比べて安定性が高い印象だ。

 

音質がよい

 私の大好きな秦基博の曲を聴くと、どうしてもボーカルが若干ドライでハスキー感を強調するところがあり、かすれて聞こえることがあるのだけはもうちょっと瑞々しさがほしいと思うが、それ以外は概ね素晴らしい。楽器音の輪郭感がかなり明瞭で緻密な音像表現を感じ、個々の音がソリッドな粒感を持っているが、ザラザラした砂粒感はあまり感じさせず、表面の色彩感はほどよく乗っている。この色彩感の「ほどよさ」というのもなかなか絶妙で、煌めき感は結構感じられるが、しつこく後味までキラ味を強調せずに、キラッと光るとすぐに気持ちよく抜ける。細かな音で細密感があるのに、個々の音が粘らずにサラッと抜けるので圧迫感がなく、爽快味が強い。おかげでJAZZやロック、クラブサウンドが非常に気持ちよく聞けるのだ。

 

【3】官能性

 以前のレビューでもいくつかの曲を聴いて官能性をレビューしているが、今回改めて最新のプレイリストから、このイヤホンが魅力を引き出してくれる数曲を改めて紹介したい。

 

 最初に紹介したいのはRasmus Faber「RISE (Vocal Version)」。アニメ「はるかなレシーブ」のオリジナルサウンドトラックに収録されている曲だ。

 Rasmus Faberは最初はラジオNIKKEIの「ミュージックアプリ」でアルバム「We Laugh We Dance We Cry」の曲が流されていて、それを聴いて惚れ込んだ。アニメ主題歌のJAZZアレンジ盤みたいなのも熱心に出していて、それがまたどれも秀逸。Youtube上でも検索すれば楽曲を聴けると思うが、公式アップロードではないものが多いようなので、ここでは公式動画を埋め込んで紹介したい。とにかく語彙力が足りない私にはどれも「クール」としか言いようがない。

 で、そんなRasmus Faberが作曲した「はるかなレシーブ」のサントラ盤だけど、どの曲も秀逸。明るいラテンテクノ/ラテンハウス系のサウンドっぽい表現に、JAZZテイストな遊び心のある曲ばっかりで、お茶目かっこいいというか、肩の力を抜いて微笑みながら聴けるスタイリッシュなテイストがすごくいい。下が公式の試聴動画。

 さて、そこで今回のJVC HA-ET900BTで聴く「RISE (Vocal Version)」だが、まずエッジ感が良いので個々の音がしっかり聞こえるのと、やや明るめの清潔感のある表現が爽快感が出るので、解像度良く圧迫感無く楽しめるのが、この曲というか、このサントラ曲全般に向いている。そのうえで煌めき感は結構しっかり出るのだが、キラ味の後味がくどくなくすっきり抜けるので、シャープ感と清涼感が感じられる。低域は存在感はそこそこあるが自己主張が強くなく、中高域と距離感を取ってサポートする感じの位置関係なのもいい。パーカッションはかなり粒感良く疾走感を乗せてリズムを出す。全体的に緻密さと鮮明さを両立させて、しかも明るくすっきりと聴かせてくれる。

 

 一方でpetit milady「360°星のオーケストラ」ではやや弱点を見せてしまうところがある。シャープなエッジ感で緻密に聴かせる表現になっているが、ハイハットの音の端はやや鋭すぎ、耳に刺さりやすい。ボーカルもシャープネスが強めで息感が強くなるので、若干ギスギスして感じられる。そうしたピーキーなところを除けば、明るめの色彩感で爽快感重視で聴かせてくれる。残念ながらこの曲に関しては100点満点では個人的に70点くらい。

 

 NOW ON AIR「この声が届きますように」。ボーカルの重なりやピアノの少し厚みの感じられる表現など、それなりによい感じ。ドラムとハイハットがかなりシャリ感強めに出てしまうところが、疾走感を綺麗に出すが、一方で人によってはシャリシャリしすぎて軽薄な印象を感じさせるところもあり、好みは分かれそう。個人的には不快感を感じる結構ぎりぎりなライン。

 

 以前のレビューではClariSの曲について書いていなかったので、今回しっかりレビューしたい。全体の表現の方向性としてはクールで硬質、シャープネス強めだ。「ルミナス」みたいな曲は煌めき感が強調され、細めの輪郭の音で透明感と細密感があるが、ボーカルの息感や衝撃音はやや鋭く、弦楽やピアノは固めで温かみには欠ける。カリカリシャキシャキした味わい。こういう音質傾向だと、たとえば「君の夢を見よう」は少し冷たく鋭利で硬く、歯ごたえが出過ぎる。「ヒトリゴト」も色味が強く出過ぎて、金管はかなり硬く、全体的に音の自己主張が強すぎて調和性に欠けるように聞こえる。

 一方で「カラフル」のような曲だとややシャープなエッジの鋭さが気になるが、色彩感は良く出て個々の音の輪郭もよく、かなりメリハリ良く緻密に聴かせてくる。鮮明な音の分離感から来る解像度はかなり感じられるだろう。「ひらひら ひらら」も個人的には比較的よい。やはりキラ味とシャープネスが大音量時には耳に刺さりやすいところはあり、音量には配慮が必要だが、透き通る光沢感のある音楽空間と、クールな透明感で少しだけ生気感に乏しくはあるが、しなやかに伸びるボーカルが味わい深い。

 緻密感が強く出るので、「Gravity」も良い。この曲は刺さりやすい音が少ないので、シャープなエッジ感のよいところだけを味わえる。音量を大きくしすぎるとシャープネスが強く出過ぎて胸焼けしやすいといったピーキーさはある。

 

 DAOKOの曲も最近好きでよく聴いている。たとえば配信されたばかりの曲だが「ぼくらのネットワーク」みたいな緻密感重視の曲はよく表現する。硬質でシャープ、キレの良い感じは気持ちよい。ボーカル的にも軽い息感なので、あまり刺さる感じがなく、シャープ感が強調されることからくる不快感は少なく、恩恵の方が大きく思える。鮮烈といってよい感じに仕上がっている。

 同様に「終わらない世界で」も緻密感が味わえる。全体的にエッジが利いてシャープ感があるが、楽器音の傾向が刺さる感じに出ずに抜けが良いので、メリハリ感だけ素直に強調されて聞こえる。繊細に煌めく楽器音と、相対的に温もり感を感じさせるボーカルの関係性が良好で、お互いの色味を出す空間を維持しながら、サビなどところどころで濃く交差する。

 

 アニメ「宇宙よりも遠い場所」のED「ここから、ここから」も大好きな曲だが、このイヤホンはかなりうまく表現してくれる。清潔感のあるボーカル表現と、エッジを利かせてドライな味を加えるギター、煌めき感のあるピアノ、シャープなハイハットとタイトな硬めの反発力があるドラムの組み合わせが、この曲の色彩感と疾走感、爽快感をバランス良く聴かせてくれる。

 

【4】改めて、総評

 緻密で繊細な音楽空間を作りつつ、疾走感と爽快感を出してスパイシーさも加えてくる音場は明るく快活で、ロックやクラブサウンド、JAZZをサッパリと楽しむのに向く。曲によってエッジの尖りが強く出過ぎて刺さるところはあり、音量には注意が必要ではある。音の傾向から分離感と鮮明度は高く感じられるので、解像度は高く感じられやすいところは美点。有名メーカー品では最も安い部類に入るものの、音質だけ見ればかなりのパフォーマンスを持っている。

 使用感の面では、装着感が少し硬いところが気になる。長時間使用すると耳が痛くなるところもあって、欠点もある。それでも、長く付き合ってきて改めて良さを感じさせるところのあるイヤホンだ。これだからJVC製品は、手放せなくて困る。

 

JVC HA-ET900BT 完全ワイヤレスイヤホン Bluetooth/防水(IPX5対応)/最大9時間再生 ブラック HA-ET900BT-B

 

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