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【カナル型イヤホン KZ ZS10 レビュー】自己主張が強く、無機的なところのある音だが、鮮明で緻密な表現力は本物。クリアな音が好きなら、おすすめ

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KZ ZS10

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KZ ZS10 イヤホン 高音質 イヤモニ型 ハイブリッド イヤホン 2pin ハイレゾイヤホン 4バランスドアーマチェア+1ダイナミック 搭載 5ドライバイヤホン カナル型 高遮音性 密閉型 中華イヤホン Yinyoo (ブラック)

 

おすすめ度*1

KZ ZS10

ASIN

B07BT2YB63

 率直に言ってハウジングが大きすぎて、装着感は余り良くない。付属のイヤーピースではあまり良好な装着感を得られなかったので、余っていた低反発ウレタンタイプのイヤーピースに付け替えたところ、安定した。標準イヤーピースでは装着感が安定しないため、遮音性はそれほど高くなかった。音漏れもやや目立つ。

 これらの装着感、遮音性や音漏れの問題は低反発ウレタンタイプに替えてからはだいぶ改善されたが、あくまでレビューでは標準添付アクセサリの範囲内で評価している。

 

 さて、実はこのイヤホンをレビューするのは2度目である。というのも、前回評判の良いこの機種を手に入れた私は、メーカーの指示どおり9日間24時間エイジング用プレイリストを聴かせ続け、200時間エイジングをしたのだが、エイジング後の音があまりにガクガクしていて、無機質で愛想もないので率直に言って失望し、かなり辛めにレビューを書いた。それがだいたい一ヶ月前のことである。失望はしたが手放しはせず、その後持ち歩いて折を見て使い続けていたのだが、近頃はだいぶ音質が落ち着いてきた。どぎつかった音がなかなかの艶味を出すようになってきたりもしたので、だいぶ評価を変えるに至った。

 そこで一ヶ月前のレビューをリライトすべきか新規にレビューを書くか迷ったが、以前の情報も必要性はあると考え、今回はリライトせずに新規記事を立てることにした。以前の記事についてはリンクを貼る。

www.ear-phone-review.com

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は説明書。ケーブルのタッチノイズはほとんど目立たない。

KZ ZS10KZ ZS10

【2】音質

 このイヤホンは個体差があるかも知れないが、結構な時間エイジングしないと音がこなれてこないところがある。他のKZ製品を過去にいくつか試したことがあるが、もう少し早く聴きやすくなったので、多ドライバーになって成熟により時間がかかるようになったのかも知れない。

 音質的にはまずその鮮明度の高さが魅力だろう。私が好きなKlipsch X11iWestone W40といった機種と比べると、音にやや不自然な際立ち感があって、少し落ち着きがない色味にも思うが、個々の音の太さも結構感じられ、空間に風味を出す艶味も感じられる。ただし不自然な際立ち感についてはさらに落ち着く可能性もあり、早計には結論を下せない。解像度感は得られやすいことは確かで、低域に一定の厚み、中域に緻密感、高域に抜ける高さを感じる。価格を考えるとこれは実に素晴らしい。

 

[高音]:高域はすっきりと高く伸びる。やや煌めき感が強く固い音ではあるが、なめらかさがあり、面白みのない音に思うが、耳当たりは悪くはない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域も音の傾向としては硬い。カリカリした鳴り方で、刻みやエッジがシャープに感じられるので明瞭感がある。聞き疲れはしやすいところがある。ピアノのきらめき感などは低価格イヤホンにありがちな不自然にキラキラする感じがなく、意外とつややかな音でなかなか聞き惚れる。厚い低域に比べて、中低域付近がややスカスカしている感覚はあり、温度感に欠ける感じはある。

[低音]:100hz~30hzまではっきりした厚い振動。20hz以下で沈む。厚みはそこそこある。締まりはよく、タイト感があって個人的には好み(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:以前のレビューの時は立体感が破綻して感じられたが、やや斜め上にかすかに歪みのようなものを感じられる以外は不自然なところはなく、緻密な色彩感で楽しめる。ただ個々の音の自己主張がやや強めに感じられるので、調和性には乏しいところがある(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムは地熱感と膨張感があり、爆発力もそこそこ。重みを感じさせるドスンドスン系の音。ハイハットは結構な粒感がある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:やや明るい気がするが、自然に近い。

 

【3】官能性

 比較になるよう、前回のレビューと同じ曲を聴いた。

 

 やなぎなぎ「Sweet Track」は前回は音に不安定感を感じたが、一聴して、まず前回に比べてだいぶ音が丸くなった。ギラギラした感じが取れている。後半でシャリ感が強いところはまだ残っていて、少し耳に焼き付くうるさいところはあるが、不快な印象は減った。音の傾向としてはギャンギャンするところはあるので音量は少し気をつけた方が良いかもしれないが、だいぶ落ち着いて聞きやすくなった。音に少しふっくらしたところも出てきて、艶味を感じられるようになった。

 ClariS「カラフル -2017-」は不快なほどガタガタした感じが減った。衝撃音があっちこっち行く感じは少なくなり、定位感が落ち着いた。音には剥き出しの感じがあり、若干ギャンギャンしたり空気感のない荒っぽい鳴らし方には思うが、とにかく鮮明感はなかなかのもの。不自然に透明感を強調するところはなく、無機的だが自然な味。

 早見沙織&東山奈央「Hello Alone」は緻密な背景表現がある曲だが、以前は歪みを感じて酔うくらいだったが、今聴くとボーカルとの位置関係も安定して、音が妙に無機的なのを除けば味わいは悪くない。個人的には緻密感が無機的に強調されすぎて、落ち着きが感じられないので好きではない感じだが、こういう音が好きな人は多いかもしれない。

 前回個人的に良かったのはMay'n & 中島愛「What 'bout my star? @Formo」で、この曲に関してはシンバルの粒感の良さ、緻密な空間的な広がりは健在。ただ前回妙にゆらゆらして不思議な魅力のあったボーカルだけは結構すっきりしてしまって、ちょっと残念ではある。前回のゆらゆらはかなり魅惑的で高評価だったのだが。とはいえ、曲の表現としてはこのほうが自然だし、やはりこれまでの曲に比べると断然このイヤホンに合っている印象。

 

【4】総評

 ネットで非常に評判の良い機種。その評判通りの高い解像度を持っている。馴らしが十分でなかったのか、前回レビュー時でもまだ落ち着かない感じがあったが、落ち着くと音にふっくらとした艶味が感じられるところも出てきて、なかなか秀逸。それでも無機的で風味に劣るところがあるが、価格を考えると破格といってよい解像感と鮮明感は代えがたいものがある。

 ハイレゾ対応ではないが、スペック上ではハイレゾをカバーしている。ハイレゾ対応じゃないからと躊躇している人もいるかもしれないが、一度聴いてみて損はない音だ。

 KZは精力的に商品を展開している中国メーカーで急速に人気を拡大している。率直に言って、調整はいまいちなところがあるが、音の鮮明感や解像度は同価格帯の一流メーカー品に勝るところがあり、その優れたコスパには刮目するところがある。ただこのメーカーはややどぎつい音なので、個人的には好みでなく、あまり手を出していないが、このZS10は各所で落ち着いた音と評価されていて、それならばと手を出してみた。いろいろ困らせてくれたところもあるが、今となってはなかなか可愛いやつである。

 私の好きなJVCやaudio-technicaもこれくらいインパクトのある製品を低価格で提供してくれたらと思うが、印象としては、オーディオ製品では日本のメーカーが中国製造業のスピード感についていけている感じはない。ZS10の音は欲張らなければ誰もが満足できるレベルの音を充分に実現している。

KZ ZS10

 

【5】このイヤホン向きの曲

  この曲とは相性が良い。曲の骨格がしっかりしていて安定感があり、色味はもともと抑えめの音響なので、このイヤホンの弱点である無機質感があまり感じられず、素直に鮮明感を味わえる。また低域のボリューム感はこの曲の重厚感を出すのに充分な厚みがある。 

 

KZ ZS10 イヤホン 高音質 イヤモニ型 ハイブリッド イヤホン 2pin ハイレゾイヤホン 4バランスドアーマチェア+1ダイナミック 搭載 5ドライバイヤホン カナル型 高遮音性 密閉型 中華イヤホン Yinyoo (ブラック)

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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