Bose SoundLink around-ear wireless headphones II ワイヤレスヘッドホン ブラック
おすすめ度*1 |
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ASIN |
付け心地はよく、イヤーマフは柔らかで耳当たりが良い。遮音性はそれほど高くない。音漏れは少し。
aptX対応ではない。通信品質は安定しており、遅延・音飛びは感じられない。音楽鑑賞には全く問題が無い。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はUSB充電ケーブル、AUXケーブル、戦用ケース、説明書。
2台までマルチポイント対応。スマホやタブレット向けには専用アプリ「BOSE CONNECT」でいろいろ調節できる。
【2】音質
音質的にはBOSEらしい重厚感のあるサウンド。量感のある低域を土台に、中域、高域を比較的やや幅広に厚みをつけて構築する。音色はやや色味が暗めで濃い色彩感覚を感じ、濃厚といった表現が合うだろう。比較的音が近く、密度感が感じられる鳴らし方で、音楽に包まれる感覚で楽しく楽しむことが出来る。
より上位のBOSE Quiet Comfort 35Ⅱ(QC35Ⅱ)に比べると、低域量感、コントラスト感など全体的に少し精彩に乏しい印象はあるが、価格差を考えると、それも仕方ないか。
[高音]:演出感はあまり感じない。音は太め(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:音は全体に近く、太い。色味がやや暗く濃く、重厚味を感じやすい。弦楽はやや頭重たげに感じる。低域との連携性がよく、どちらかといえば下方向に厚みを感じる。こういうところはBOSEらしい。
[低音]:ぶっとい振動。100hz~30hzまでしっかりした存在感。20hzでもかすかに揺れを感じる。芯が太く、膨張感も少しある(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:音の印象は全体的に少し暗く、無機的である。低域で土台をしっかり作った上に、建物を建てるように音楽を構築するBOSEらしい密度感のある音楽空間を楽しめる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは膨張感とほどほどの地熱感を感じさせる音。バッツンバッツン。ハイハットは粒感が出ているが、キラ味は強くなく少しおとなしい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:やや太い。女性ボーカルも高域で少し太く感じる。濃厚味は感じられやすい。
なお、上は一般的な使用環境であるワイヤレスモードでの音質だが、ワイヤードモードでの音質については下の別記事をどうぞ。
【3】官能性
UVERWorld「CORE PRIDE」はエッジの良い太めのギターと膨張感があってほどよく爆発力の感じられるドラムで比較的印象は良い。味を加えるピアノと金管も太めで少し色味が渋くて男らしい。ただ個人的にこの曲に関してはもう少しドラムにパワフルさが欲しい。その点QC35Ⅱのほうが締まって感じられ、好みに近い。
光田康典「ブランデンブルク協奏曲 第5番 第1楽章」アレンジバージョンは全体的に音が抑えめで密度感も室内楽らしいぎっしり感を感じるバランス。ブズーキの鳴り方は少し重厚で、弦楽も濃厚、高域木管も落ち着いた音色で全体として厚みを充分に感じて楽しめる。
fhána「ムーンリバー」は重厚。デジタルドラムは少し粘りがあってウェットであり、少しだけズチャつく傾向がある。音味は全体的に暗めで無機的であり、明るいところがあまり感じられない。ボーカルもコントラストは強くなく、全体として楽器との一体性を維持している。その意味では調和的な表現ともいえ、個人的には面白みに欠ける印象だが、悪いわけではない。
Choucho「空とキミのメッセージ」も暗めの低域を基本に曲が構築されている。ベースなど低域ほど色味が暗く、黒い下地を感じさせる。その上にやや色味抑えめ、太めで濃いめの音で中高域が形成される。シンバルの粒感は良く、生々しく聞こえる点は高評価。この曲の持ち味であるボーカルの突き抜け感はそれほど感じられないものの、甘味はそこそこ感じられ、悪くない。ただ個人的には、この曲に関して、どこまでも晴れ渡る青空を感じさせる清涼味のある表現のほうが好きなので、曇天気味の空模様を思わせるこのヘッドホンの表現は微妙。
【4】総評
今年のamazonのサイバーマンデーはBOSEにとって攻勢をかける舞台となったのか、このヘッドホンも通常の実売価格2万5000円に対し、ほぼ半額でセールされていた。私にとってはBOSE製品を買い揃える良い機会になった。
このヘッドホンはQC35Ⅱに比べると、だいぶ伝統的なBOSEサウンドに近い印象で、SoundLink RevolveとかSoundTouch 10といったBOSEスピーカーの奏でる、若干パワープレイ気味で色味に乏しい、情感の薄いブンブンサウンドに近い。その意味で、個人的には音質面で面白みを感じづらいところがあるのは事実で、この点QC35Ⅱの精彩ある音楽と比べてだいぶ物足りない。とはいえ、重厚感と密度感は高く、満腹感のある音で価格を考えて悪いというわけではない。
使い勝手に関してはBOSEらしい安定感があり、装着感も良ければデザインもよくて、非常に満足度が高い。携行性はQC35Ⅱに比べると優れていて、より気軽に持ち運べる感じであり、好ましい。
【5】このヘッドホン向きの曲
ややガチャガチャしたざわつくところはあるものの、この曲に関しては満足度が高い。暗めの色味、低域の重厚感とブーム感、全体的な密度感、迫力、それぞれがこの曲を味わうのに比較的よいバランス。
このヘッドホンで聴くなら、どちらかというと重厚で、できれば男性ボーカルの曲の方が私は好きで、たとえば秦基博「水彩の月」。色味を抑えた色彩感覚、低域の重厚感、全体的な密度感からくる濃厚さが、ノスタルジックなこの曲の風味を空間一杯に広げる。
Bose SoundLink around-ear wireless headphones II ワイヤレスヘッドホン ブラック
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。