- 基本どんなイヤホンもスパイラルドット++でOK
- 今回紹介するイヤピ
- 【課題曲】Chiho feat. majiko「エガオノカナタ」
- 聞き比べ
- 【結論】個人的にはスパイラルドット++(L)推し
- 【関連記事】
基本どんなイヤホンもスパイラルドット++でOK
Bang & Olufsen E8 2.0をいろいろいじってきてすでに1ヶ月以上。もうほとんどやり尽くした感があるんですが、次はイヤピあたりをもうちょっと深掘りしてみようと思います。
まあぶっちゃけJVC党の私としてはイヤピなんて「スパイラルドット系にしとけば大抵OKなんじゃない?」って感じなんで、普段はスパイラルドット系使えない時だけ若干困る感じなくらいで、あんまり関心無いですけどね。
そうとはいえスパイラルドット++以外にもお気に入りがあることは事実で、たとえばAZLA SednaEarfit。このイヤピは低域を中心にコントラスト感が改善する可能性が高いので、音が細くて発色と刻みが良いBA系の、いわゆるイヤモニ系のイヤホンとも相性が良いのが特徴です。
あとはダブルフランジ系も高域に清潔感のある音が欲しいときに使うときがあります。トリプルフランジくらいになると装着感悪くなってきて、耳に詰め込むのがめんどくなってくるんで、使わなくはないですけど普通はあまり使いません。この系統ではOriolus Finschiについてたダブルフランジが目下の好み。
昔低域ジャンキーだった時はコンプライばかり使ってた時代もあったんですけど、最近はあまり使わないです。ぶっちゃけ低域の音に深みを出したいときはAZLA SednaEarfitが登場してからそれで事足りるようになり、わざわざ耳に異物感のあるコンプライを使う必要がなくなりました。低反発フォーム系は個人的に、なんとなく見た目にも美しくないですしね。
と言いつつも、しかし実際のところ、イヤピなんてまともに比較したことなかったから、今回E8 2.0のために選ぶなら手持ちで済ませるんじゃなくて、ちゃんと幅広く使い込んで比較しようじゃないかということで、ここ2週間ばかりいろいろイヤピ集めてました。
ちなみにBang & Olufsen E8については以下を参照。
今回紹介するイヤピ
この記事を書く前にすでに事前テストをしていて、取り寄せたさまざまなメーカーの、種類とサイズ違いのイヤピを一つ一つ実際試して振るいにかけました。それで私の耳に合い、聴き応えがあるものとして以下のイヤピを選別して残しました。ほんとは10以内に絞り込む予定が、意外と量が多くなっちゃいましたけど。
- E8 2.0 標準イヤピ(L)
- Oriolus Finschi付属ダブルフランジイヤピ
- JVC スパイラルドット++(L)
- JVCスパイラルドット++(M)
- SpinFit CP100(L)
- AZLA SednaEarfit(L)
- AZLA SednaEarfit(M)
- Comply T200(M)
- final E Brack(L)
- final E Violet(L)
- final E Clear(L)
- radius deep mount(M)
今回のイヤピ選びの参考情報としては下のe☆イヤホン様の記事を参照しました。厚く御礼申し上げます。
【課題曲】Chiho feat. majiko「エガオノカナタ」
課題曲はこれです。いや、もう最近聴いている割合多い曲TOP5に入る曲だから、聴くならこれでしょって感じなんで。思った以上にこの曲にハマりすぎ。結構うるさい感じもあるから分離感大事になるし、弦楽味わえるし、ドラムセットとベースの音味見るのにも良さそうなんで、テスト曲としてはいいんじゃないー?って感じです。低域薄いと底抜けする感じが出ちゃうんで、元々E8 2.0があんまり得意そうな曲じゃないしね。
聞き比べ
E8 2.0 標準イヤピ(L)
「なんだかんだいってE8 2.0の音を丁寧に伝える渾身の良イヤピ」
E8 2.0の標準イヤピです。実際のところイヤホンのサウンドデザイナーはこのイヤピの使用を前提に音響をデザインしているわけで、本来ならデザイナーのサウンドイメージを最も正確に出してくれるのがこのイヤピということになります。
で、このイヤピ、さすがBang & Olufsenって感じで、ぶっちゃけよくできてるのよ!まず傘がやわらかくてしなやかなんだけど、表面の質感はサラッとしていて耳当たりが凄く良いです。口径は大きめで、軸はそれほど硬い材質でないので、大きめのイヤピを選んでも音が潰れにくく、密閉性を高めやすい設計になっています。だから低域足りないなぁと思ったら遠慮無くイヤピ大きくしていけるし、大きくしても音に潰れる感じが出にくいです。
高域はSpinfit CP350っぽいところがあってやや剥き出すところがあるけど、ソフトな材質なせいか雑味が少なく、音に混濁感がなくすっきり聞こえてきます。このイヤピはさすがだな~って感心しますよ。
で、私が標準イヤピでLサイズが好みなのは、やっぱり密閉感が高まるので低域の聞こえが良い点。前述したように軸がつぶれる感じがないし、材質はソフトだから音も自然な広がりを持って聞こえてくるので、低域強めても篭もる感じにはならないです。なので、私はE8 2.0にはやや低域に不足感を感じることもあり、標準イヤピを使うなら耳に入る一番大きいヤツを基本的におすすめしますね。
Oriolus Finschi付属ダブルフランジイヤピ
「弦楽にフォーカスした優雅でマイルドな音響」
このFInschiについてたダブルフランジは材質的にE8 2.0の標準イヤピに似ていて、かなり相性が良い感じです。標準イヤピに比べると、鼓膜近くまでしっかり音が鳴ってくる感じで高域がかなり分離感良く伸びてきます。問題は音の伝達距離が長くなり、その間の材質がソフトなのが反映されているのか、低域に行くほどマイルドで、ウォームな感じになりますが存在感はやや薄くなるところ。音の尖りはかなりとれて聞き疲れしにくくなる反面、この音を「篭もる」と感じる人も多くなりそう。まあこの曲をボーカルと弦楽中心に聴くならよい感じ。
※ちなみにこのダブルフランジはさすがにケース収納時に収まりきらず、充電に支障を来します。
JVC スパイラルドット++(L)
「やや低域をウォームに膨張させつつ、中高域の解像度を上げる」
スパイラルドットについてはM~Lまでが私に合うんですけど、M・ML・Lと3つレビューするのもめんどいんで、間のMLをはしょってMとLをレビューします。で、最初はLね。
スパイラルドットは一般的に中高域の分離感をよくして音の混濁感や雑味を無くす傾向があります。私の耳ではLだと若干軸線に潰れるところが出るか、あるいは位置が少し外側になるせいか、低域は少し膨らみ気味に中高域を包む形で聞こえてきます。私は比較的このウォームな感じが好きなので素直に好み。ただ人によっては中高域が低域と一緒に聞こえてくる調和性が強いので、篭もるという認識をする可能性があります。まあ若干JAZZ向きっぽい感じになるのかな?
JVC EP-FX10L-B 交換用イヤーピース スパイラルドット++ 4個入り Lサイズ ブラック
JVCスパイラルドット++(M)
「中高域の分離感を素直に上げ、解像度感をブラッシュアップ」
本当は私の適性はMLだと思うので、Mだとやや密閉性が低いせいか、低音は少し下が抜けて聞こえます。その分ドラムの表面のバシバシした弾けは強くなりますので、輪郭感は若干強く感じられるところはあります。そういう意味で低域は若干タイトになります。率直に言ってE8 2.0の音が素直にディテールアップされている印象があって、曲やDAP次第で若干シャリシャリ尖りやすいうるさいところのある高域を、混濁感を抑えて聴かせてくれます。
音質に臭みを加えずに分離感だけを丁寧に改善する比較的万能性の高いスパイラルドット++ですが、弱点があるとすればコントラスト感を高める感じはそれほど強くないので、低域は重量感を増す感じはありますが、濃くなってタイトな存在感が高くなる感じはあまりないかなーと思います。まあそれがいいところではあるんですが、E8 2.0はコントラスト感が足りないところがあるので、できればイヤーピースで改善できた方が良いですよね。
JVC EP-FX10M-B 交換用イヤーピース スパイラルドット++ 4個入り Mサイズ ブラック
SpinFit CP100(L)
「やや骨太なロック向きサウンド」
軸が硬めなせいか、低域の厚みが出て、音は全体的に太めに聞こえます。ドラムに重量感と鳴動感が出て、ややタイト感も増して黒みも出て、ロック向きの音響になったように思います。中高域も素直にまっすぐ響いてくる感じがあり、ボーカルと弦楽の聞こえも増しています。次に紹介するAZLA SednaEarfitと似た感じで、この曲を聴くには悪くない感じです。
SpinFit スピンフィット CP100 イヤーチップ イヤホン シリコン イヤーピース 2ペア (L)
AZLA SednaEarfit(L)
「中高域の開放感を維持しつつ、低域に黒みを出す」
SpinFit CP100のLと同じ傾向にありますが、こちらは中域と低域の間がもう少しすっきりして、分離感が良いです。中域と低域の間のコントラスト感が強めになっており、たぶん低域の黒み自体はSpinFit CP100と大差ないはずですが、よりメリハリを強く感じる可能性があります。
一方でおそらく口径の差で、中高域がCP100より明るい上にやや開放的なので、締まりは緩く感じる可能性が高いです。CP100よりボーカルが少し膨らんで聞こえやすく、この曲ではボーカルの分離感はCP100に若干劣る印象を受けますが、一方でCP100の音ほど圧迫感がありません。総合的にはCP100と同じくロック向きで、中高域により開放感が出る感じが大きく違う印象です。
AZLA SednaEarfit [イヤーピース Lサイズ2ペア]
AZLA SednaEarfit(M)
「さわやかな中高域と黒みのある低域を共存させたメリハリサウンド」
Mサイズに変えると、中高域が素直に聞こえてくるようになるので、同じくコントラスト感が増しながら、軸足を弦楽とボーカルに移した感じで聞こえます。ドラムは重量感を少しセーブしてもう少し軽快になっているので、Lで重たく感じた場合はこちらで聴くと良い感じです。中高域がだいぶ開放的になり、もう少しさわやかに曲を楽しめます。
AZLA SednaEarfit [イヤーピース Mサイズ2ペア]
Comply T200(M)
「音を剥き出しにしっかりと聴かせる」
全体的に音が前屈みに感じられ、音が剥き出しに聞こえる感じがあるので、普段のイヤーピースに篭もった印象を受けている場合はクリア感は強く感じられる可能性が高いです。全体的に音に張りが出るところはあるのでメリハリ感は増しますが、外連味も増す感じがあり、やや聞き疲れしやすくなります。また一般的に低域がかなり素直に濃く聞こえてくる感じになり、改善されます。ただ密度感も高くなるので圧迫感が出ます。
final E Brack(L)
「ロック向きなブラック低域サウンド」
軸周りが分厚いので低域が締まりよく聞こえると評判のfinal E Blackです。傾向としてはAZLA SednaEarfit(L)やSpinFit CP100(L)に似ていますが、おそらく軸が一番硬いのと出口の口径が狭まっているせいで音が一番タイトに聞こえます。たぶん今回紹介したイヤーピースの中では最も正統派なロック向きイヤピ。
final ファイナル イヤホン用イヤピース Eタイプ BLACK ALLサイズ各1ペア 【FI-EPEBLBL2A4】
final E Violet(L)
「中高域の華やかさが魅力」
final Eタイプは色によって軸周りの厚さや質感に差が設けられているようで、このvioletはBlackに比べるとボーカルと弦楽によりフォーカスして聴かせてくれます。ドラムの衝撃力と存在感は減りますが、一方でボーカルと弦楽の艶味は増すので、この曲では正統派ロックのBlackよりは艶やかな音を出すこちらのほうが合っているかも知れません。
final ファイナル イヤホン用イヤピース Eタイプ Violet ALLサイズ各1ペア 【FI-EPEVIA4】
final E Clear(L)
「ボーカルにフォーカスして聴かせる」
このClearはこの曲だとかなりボーカルにフォーカスして聞こえます。Clearタイプは高音にフォーカスしているというe☆イヤホンのレビューを見ていたので、この曲だと弦楽が目立つバランスになると予想してたんですけど、個人的にはvioletのほうが弦楽の存在感を感じますねー。Eシリーズの中ではボーカル中心に聴く時に使う感じかな。
final ファイナル イヤホン用イヤピース Eタイプ CLEAR ALLサイズ各1ペア 【FI-EPECLA4】
radius deep mount(M)
「縦長に伸びるダイナミックサウンド」
個人的にラディウスは意外とよく買っているメーカーでたぶん音作りが好きな方です。でもこのdeep mountってのはあまり評判を聞きませんね。まあたぶんe☆イヤホンのレビューにも書かれているように、音が奥行き感出やすいことがあって左右に狭い感じが出ちゃうから、大抵のイヤホンで音が混濁しやすく、うるさい感じが出やすいからかな。ボーカル周りに音がぐっと近づいて密度感は高くなるので、その点にパワフルさを感じる傾向の人にはお勧めです。この曲のサビではなんかボーカルが楽器に挟まれてムンクの「叫び」みたいな顔で「助けてー!」って言ってるような感じに聞こえるのが少し好みを分けそう。ドラムには粘りが出て躍動感が出るので、ロック向きであることは間違いなく、むしろバシバシ表面を強調しすぎる感じはないので、final Eタイプでドラムの弾け具合がうるさいかなって人には、このくらいの音がいいかもですね。でも妙に縦長の音場はどうなんだろ。
たぶんこのイヤピは単体販売の他に、最近のラディウス製品に付属しているらしくて、おそらく私の手持ちはradius Ne HP-HHR11Rあたりに付いてたヤツだと思います。
イヤーピース deep mount earpiece 単品(ALL) HP-DME00K
【結論】個人的にはスパイラルドット++(L)推し
まあぶっちゃけ課題曲だけ聴くと、final E violetあたりに聴き応えを感じるんですが、かなり音に脚色を感じるので、標準イヤピのイメージを自然に整理してブラッシュアップしてくれてる感があるのはJVC スパイラルドット++(L)か(M)で、バランスいじるくらいなら低域のコントラスト不足感だけを改善して開放的な音場はそのままな感じのAZLA SednaEarfit(L)がいいかな。完全にロック向きに改造するなら、final E Black(L)だけど、E8 2.0は見通し感の良い音場の広さが魅力の機種だったから、基本的に音場が詰まってくる感じのイヤピはどうなんだろーっていう気持ちがあります。最終的には好みですけどね。
私としてはイヤピはスパイラルドット++を選んで素直に解像度感だけを上げ、プレイヤー側のイコライジングで高低バランスをいじって調整した方が最終的には万能に高音質な機種ができそうな気がします。
まあ私の耳の大きさに合わせたレビューなので、人によっては適宜サイズをずらしてイメージを補完してください。
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