- 現在販売中のロットはパッケージがリファインされています
- 【1】問題含みな「見た目」
- 【2】装着感/遮音性/通信品質「通信品質は安定している」
- 【3】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間は誇大広告気味」
- 【4】音質「充実感のある濃密サウンド」
- 【5】官能性「スムーズで解像度感も悪くなく、比較的万能に楽しめる」
- 【6】総評「Bang & Olufsen E8をよく研究している」
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現在販売中のロットはパッケージがリファインされています
この機種についてはレビュー掲載後にコメントを頂き、パッケージがリファインされ、ロットが変わって部品が変わったのか、あるいは元々間違っていた性能表記を変更したのか、パッケージから再生時間の記述が除去され、防水性能もIPX6→IPX5に変更されているとの情報を頂きました。情報提供ありがとうございます。
【1】問題含みな「見た目」
たまたまamazonウォッチしてて見つけたこの機種。最初は「12時間連続再生」っていう驚くべき表記を見て、「ファッ!?」って感じだったんだけど、それ以上によく見るとなんかきな臭い気がするんですよね。
にわかに嫌な予感がしたんで、急いで取り寄せました。
えーと。パッケージよく見ると「up to 8+32hours playtime」って書いてあリますね。12時間じゃないな!?……まあ8時間でも充分長いからいいかなくらいに思ってました。実測値は実際はこれよりかなり低かったんですけど、それはあとで言及します。で、蓋を開けると……。
カパッ。まあそうだよねー……そんな気がしてたんですよねー……。とはいえ、この段階でも何かの間違いだと思って取り出してみます。
うん!なんかもう完全にアレだよね?本来牛革であるべきところが妙にテカテカしてるけど、でもなんかもう完全にアレ!
えーと本家の牛革と比べると明らかに質感が違うのがお分かりかと思います。そう!これもう完全にBang & Olufsebn E8のクローンだねっ!最近完全にBang & Olufsenに入れ込んでる私がこのデザインを見逃すはずがないだろっ!
中のデザインまで旧型のE8ケースにクリソツ!こう並べるとE8 2.0とE8のリミテッドエディションかなんかと並んでるように見えるかも知れませんが、右側パチモンです。牛革であるべき部分のケースの質感は明らかにテカテカのツルツルなんで、間違えようはないですけど。
ただこれから詳しく解説しますが、このTWS-M3、Bang & Olufsen E8をよく真似ていて、装着感の良さまで似せており、それなりに再現度高いんで、ぶっちゃけ低価格完全ワイヤレスイヤホンの中ではフィット感優秀です。もちろん元のデザインがいいからなんですが。
こんなクリソツなのにカスタマーレビューで1人もE8そっくり問題を指摘していないようですが、たぶんそれは購買層あまりに違うからかな。
【2】装着感/遮音性/通信品質「通信品質は安定している」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
装着感はかなり良いです。元のE8の装着感の再現度もなかなかのもので、イヤホンの裏側のラバーはしっとりした質感で耳当たり良い感じもそっくり。5000円以下の完全ワイヤレスイヤホンとは思えません。パチモンだけど。
イヤーピースも材質は完全に一緒じゃないけど、似せた感じで作っているんで、ついこの間べた褒めした本家のイヤーピースのいいところはかなり再現されています。傘の薄くて肌触りの良い感じはかなり酷似。
SBC/AAC対応。通信品質は安定してます。ぶっちゃけDAPにつなぐなら本家より安定かも知れません。
【3】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間は誇大広告気味」
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、説明書。
連続再生時間は実測しました。イヤホンを満充電後、適正音量ちょい下くらいの音量で音楽を流し続け、WEBストップウォッチを回します。そのままレシーバー側の電源が落ち、再生出来なくなるまで測定しました。その結果は……下の画像。
7時間以上持ちますみたいなカスタマーレビューもあったけど、ちょっとそれは無理かなーって感じ。最大12時間は明らかに誇張かスペック間違いで、パッケージの8時間が実態に近いにしても、普通3時間の誤差はちょっとないから、実スペックは連続再生最大6時間ってところでしょう。それでも5000円以下の値段で買えることを考えると優秀です。
自動ペアリング・自動接続・切断も完全に実現していて、本家のE8 2.0がこの点若干不十分だったことを重ね合わせると、より完成度は高いと言えるかも知れません。
防水性能はIPX6。雨の中でも問題なく使えます。
【4】音質「充実感のある濃密サウンド」
ぶっちゃけパチモンなんで、音質は期待してなかったんですけど、案外いいです。
ウォームで少し中低域がふっくらするバランスになっており、澄んだ透明感のある本物とは明らかに違う音ですが、ややもっさりするくらいで意外と聴き応えのある音です。解像度感が高い感じではないので鮮明さはそれほど高くありませんが、E8をパクったハウジングデザインが秀逸なのか、音はふくらみながらも輪郭は悪くなく、篭もった印象は受けないはずです。聞き疲れしない音で悪くありません。
基本的にはロック・ダンス向きの音質です。率直に言って、あまり言いたくないですが、5000円以下最強説さえあるくらいのパワフルさのある音響です。JBL Free XやMAVIN Air-Xあたりの音響デザインが好きな人は、同じく好きになりそうな音です。
[高音]:高域はおとなしめの印象。どちらかといえば中華の低価格完全ワイヤレスイヤホンは中低域の厚みを感じる音響のものが多いので、これも共通ドライバーを使っている可能性はある。本家の透明感のあるみずみずしい高域とは似ても似つかない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:ボリューミーな低域と連携が良く、充実感がある。やや密度が高く充満した感じがあるが、ボーカル含め各楽器の音の分離感は悪くなく、篭もった感じは出ない。パワフルな低域と連携して躍動的な音響を奏でる。
[低音]:膨らみのある太い振動で100hz~30hzまで素直な減衰。20hz以下も振動感が残る。このバランスだと明らかに重低感が感じられるはず。実際締まりはそれほど強くない重みと膨らみのあるベースで、かなり万能系で良質に思える音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:頭を囲むような音場で一見狭い印象を受けるが、音をよく聴くとそれなりの距離感や分離感があり、印象ほどに全部の音が前屈みなわけではなさそう。それでも全体的に音が近い印象を受けるはず(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:悔しいけど、結構好きなドラム音。表面の弾けも強すぎず、膨張感もあるけど、輪郭も強調しないながらもタイトなまとまりが感じられ、濁りのないクリアな感じながら躍動感が見えやすく、パワフルな印象を受ける。シンバルも結構きれいに粒感を出し、解像度が高い印象を受ける。気持ち的には外観は似せてるけど音はゴミって言いたいんだけどね。ちょっと言えない。後述するけど、少なくともUVERWorldの「CORE PRIDE」を聴く感じ、ドラムセットについてはあんまり文句が言えない(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルは自然。楽器との距離感は違いが、その割に分離感は良い。たぶん5000円以下じゃかなりクリアで良質。あまり褒めたくないけど。
【5】官能性「スムーズで解像度感も悪くなく、比較的万能に楽しめる」
UVERWorld「CORE PRIDE」
正直言いたくないけど、大好きな「CORE PRIDE」聴く限り、5000円以下最強説あり得ます。足りないと思うところはあることはあって、金管やピアノがクリアすぎて渋みがなく、ちょっと垢抜けすぎている気がするし、ドラムも少し地熱に欠けるクリアすぎる感じで少し上品すぎない?って思うところもあるけど、ここらへんはもはや粗探ししてる感がしないでもありません。ぶっちゃけ5000円以下でここまでスムーズな解像感で聴かせる機種他にあったかなってくらい。あまり言いたくないけどね。音は好み。
DAOKO「終わらない世界で」
「CORE PRIDE」はそれでもまだ文句言う余地があるから良いけど、この曲になると、5000円以下で括ればまず文句の付けようがなく、充実感のある頭を囲む音場感や低域の厚みと明瞭感、中高域のなめらかな艶味、躍動感、素直に「好み」って言わないといけない感じです。
Chiho feat. majiko「エガオノカナタ」
かなり充実感強めでベースが太い感じでやや支配的に聞こえるから好みはありそうだけど、弦楽に濁る感じはないし、ボーカルは少し暗めでドライにしっかりロックしてるし、組み立てはちゃんとしています。若干低域の黒みが足りないとか、もうちょっと中高域さわやかな方が良いとか、好みはあるかも知れないけど、5000円以下の完全ワイヤレスイヤホンでここまで聴かせるなら満足できるでしょ。イライラしますけど。
たとえば低価格完全ワイヤレスイヤホンでは、このイヤホンと同じような高低バランス感覚で、個人的にこの曲をかなり聴き応えのある形で聴かせてくれるHihiccup Hi-TWSにロック向きの引き締まった音響になるAZLA SednaEarfitをつけて聞き比べてみても、重厚感の出方とか個々の音で好みはあるかも知れないけど、音の整理された感じからくる解像度感はTWS-M3のほうがいいよねって感想に私はなります。
TVアニメ「干物妹!うまるちゃんR」ED主題歌「うまるん体操」
たとえばこの曲でもHihiccup Hi-TWS + TWS+AZLA SednaEarfitならコントラスト感が高く最初は聴き応えを感じますけど、中高域の電子音が入ってくるとややズシャッとする感じが出てガチャガチャします。まあこのちょっと崩れる感じも楽しい感じではあるんで悪くはないですが、TWS-M3のほうが音のまとまりがもうちょっと良く粒感があってキュラキュラしてるから聞きやすいですし解像度感があります。聞き疲れもしにくいはず。
「うまるん体操」TVアニメ『干物妹! うまるちゃんR』エンディングテーマ
東山奈央「月がきれい」
この曲を低域にくるまれるバランスで充実した感じで聴きたいなら、たぶん価格帯最強。楽器音がボーカル周りに少し充実しているので、この曲をボーカル周りに清涼感がある形で聴きたい人には向かないけど、濃厚でダイナミックな楽器とともに聴きたいなら、たぶんかなり満足できるはずで、シンバルの発色も、弦楽の伸びも、ピアノの味わいもレベルが高いです。そして低域ドラムの出し方がボンと重量がありながら、ボケずに丁寧に幕を張る音で生命的で暖かいっていうおまけつき。ベースもジュワジュワ涙腺攻めてくる感じにしっかり出ているしなぁ。うーむ。
フランシュシュ「To My Dearest」
5000円以下でこの神曲を聴くなら、ぶっちゃけ最有力候補です。解像度感、低域の厚み、ピアノの光沢感と深み、ボーカルの明瞭さ、充実感のある空間表現、どれも認めたくないけど、たぶん多くの人が悪くないって思うはずです。最初のフレーズの後のドンがね、きれいに決まっている。あのドンがね、すっげー曲を引き締めてるし、弦楽の厚みと透明感も充分だし、充実してるのに空間に透明感がありますよ。褒めたくないですけどね。うーん。
菅野よう子「青い波頭」
充分な厚みのある濃厚な表現になっていて、音が近く密度感がありながら、あまり音に圧迫感がないのでアナログな楽器のあるサントラやインストゥルメンタルに浸るのもよいと思います。この曲なんか素直に聴き応えあるって言えるし。
【6】総評「Bang & Olufsen E8をよく研究している」
本物そっくりのラバーの質感、本物によく似せたイヤーピースデザイン。装着感と音質に関わる要素はかなり研究していてそっくりに作ってあるので、5000円以下でこれに敵うイヤホンがないのは当たり前とさえいえます。それくらい忠実にBang & Olufsen E8に似せていて、その点の満足度はどうしても高くなるはず。たぶん音響に関わる内部構造もかなりコピーしている可能性があって、明らかに価格帯の水準を越えた濁りのない音を出します。おそらくドライバーはHihiccup Hi-TWSとあまり変わらない共通のやつを使っているような雰囲気がありますけど、音響設計が明らかに上質です。手放しで言いづらいんですけど、もしパチモンじゃなければ5000円以下最強と文句なく断言する可能性がありますが、これは大々的に紹介&おすすめできませんねぇ。
ちなみにレビュー前にバッテリー表記が誇大気味でパッケージとも不整合という問題と、Bang & Olufsen E8の意匠をパクっている可能性があり、権利関係に問題があるかも知れないという懸念は、amazonのカスタマーサービスに報告済みです。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。