- 【0】お好きなイヤホンをフルワイヤレス化してどうぞ
- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感はちょっと耳裏がゴツイくらい」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「好きなイヤホンをフルワイヤレス化できる」
- 【3】音質「ハキハキした輪郭を強調した解像感を出す元気なサウンド」
- 【4】官能性「中域に充分な濃厚感と透明感があり、分離感も良くて良質」
- 【5】総評「コスパが良いかは難しいが、とても楽しい製品」
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【0】お好きなイヤホンをフルワイヤレス化してどうぞ
この製品はリケーブルに対応したイヤホンならイヤホン部分を交換して、フルワイヤレス化できる。おそらくこの用途目的で買う人が一番多いと思われる。ケースへの収納や装着感が気になると思うが、私の場合、ハウジングが比較的大きめのJVC HA-FX1100や、シュア掛けタイプでコネクタ周りに遊びが少ないWestone W40でもケースの収納や装着感に問題なく使えたので、たぶん大抵のイヤホンはいけるんじゃないだろうか。
対応コネクタはmmcx。別売のキットを使えばFitear 2pinとカスタムIEM 2pinに対応する。
装着例その1(JVC HA-FX1100)
装着例その2(EarSonics ES5)
装着例その3(Wesrone W40)
【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感はちょっと耳裏がゴツイくらい」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
この機種の標準イヤホンをつけて装着した感じだと、やや耳道への入り込みが強いくらいになる。遮音性はそこそこ高く、音漏れは少なめ。
耳裏に当たる部分だけ厚みがあり、肌との間に熱も篭もりやすいので、夏場は人によって少し暑く感じるかも。
aptX対応。接続は安定している。外出時もバスが横を通り過ぎる場合などを除いてほとんど途切れない。
【2】外観・インターフェース・付属品「好きなイヤホンをフルワイヤレス化できる」
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、キャリイングポーチ、説明書。
連続再生時間が最大10時間。で、充電ケース込みの最大再生時間だが、これがいろいろ調べてみてもよくわからない。microUSBケーブルを挿したらLEDランプが付くし、たぶんバッテリー内蔵だと思うが、バッテリーケースの場合、大抵は裏面に容量記載があるのにこの機種はない。もちろん手持ちの機種の中にはバッテリーケースに容量を記載していないものもあるから、一概にバッテリー内蔵ではないとは言えない。しかし、ケースにUSBケーブルを挿している時しかイヤホン本体の充電LEDが点灯しないので、バッテリーケースではなく、単なる充電クレードル付きケースの可能性大。
近日中に専用アプリが公開され、ヒアスルーに対応するという。本体のインターフェースからはヒアスルーにできないので、アプリをインストールできない非androidのデジタルオーディオプレーヤーでヒアスルーが使えるかは今の時点では謎。
現状ではEQで低域調整すると音が荒れる場合あり
これについて今のところONKYO製品とつないだ時だけの不具合の可能性はあります。
【3】音質「ハキハキした輪郭を強調した解像感を出す元気なサウンド」
正直標準イヤホンはしょぼい感じに見えたんで、あんまり期待してなかったけど、意外と悪くなかった。ていうか普通にさっぱりした見通しの良い音で、音の輪郭を少し強調して分離良く聴かせてくれる。味付けもあまりなくてニュートラルに近く、派手さはないが低域もしっかりボリューム感があって楽しめる。
[高音]:ニュートラルかややウォーム方向。輪郭感も悪くないので、ディテールも感じられる。明るめではあるが、キラキラ感は強調しすぎないので強く尖る感じもなく、輝きも自然な味わい(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:高域と同じく見通しが良く、ボーカル周りに音が必要以上に絡まってくる感じもない。音味は基本ニュートラルに思うが、アコースティックギターや低域付近に暖かみを感じるので、ウォーム方向に振れている感じではある。男声も女声も埋もれる感じはないし、太さも一定な感じだからボーカルも偏りが少ないニュートラルな印象。
[低音]:100hz~40hzまで重い振動。30hzで沈む。20hzでほぼ無音。低域はベースとキックの描き分けは明瞭で力バランス的にもニュートラルな印象。バランス的には中域からそのままつながっていて少し前面に出る感じくらいだが、沈み込みと重みは結構丁寧に出る。床面の感じさせ方も悪くない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:シャープな感じはないが、輪郭は丁寧で解像感と分離感が感じられる。個々の音のディテールは風味の面でSENNHEISER MOMENTUM True WIrelessには劣るが、分離感ではこちらのほうが個々の音が分かりやすく、見通しが良いと感じる人が多いだろう。音場は意外と晴れやか(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムはかなり好み。粘りと胴鳴り、床面を主張する地熱感のバランスが良く、ボディのある感覚がクリアに味わえる。活きの良いバツンバツン系。シンバルは白味が強くないので、シャリシャリってほどじゃないけど、かなり分離が良くてきれいに浮き上がって刻みを細かく見せてくれる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルの分離感もよい。目立って浮き上がる感じではなく、自然な立ち位置でボーカル周辺が少しスッキリしている印象を受ける。男声も女声も埋もれる感じはない。
【4】官能性「中域に充分な濃厚感と透明感があり、分離感も良くて良質」
Rasmus Faber「Indigo(Vocal ver.)」
輪郭感がしっかりして、透明感もある音で、しかもニュートラルな音味だから、この曲をさわやかでも暑すぎる感じでもなく、ほどよい温度感で聴ける。ドラムキックもかなり明瞭で、アコースティックギターも温もり感のある輝きで浮かび上がりすぎない。ボーカルの浮き上がりも良いし、良質な解像感があって素直に聴き応えがある。
TVアニメ「 はるかなレシーブ 」 オリジナルサウンドトラック
Choucho「earthlit」
比較的高域方向に寄りやすいと思われるChouchoの曲の中ではたぶん重心が低い方の曲。このイヤホンだと中域音にちょっと太めの濃厚感が出て、ボーカルをかなり暖かく包み込んでくれる。しかしその音は結構輪郭もしっかりして透明感もあるので、ボーカルに埋もれる感じはないし、音像がぼやける感じもなく、暖かくなりすぎる印象もない。このイヤホンで聴く、この曲のアコースティックギターの温かみのある黄金色のサウンドはとても聴き応えがある。
羊毛とおはな「はだかのピエロ」
ウォーム系統の低価格のイヤホンだと意外とボケやすい印象を受ける曲だが、このイヤホンは丁寧に輪郭を出して音を分離させており、音も膨らみすぎない一定の厚みを感じさせ、アコースティックギターも尖らずに沁み入る暖かさを持っている。何より浮き上がりがよいが、鮮やかすぎない、ふんわりした質感があるボーカルが丁寧に表現されている。
Glitter*Green「Don't be afraid!」
シャープネスは強い方じゃ無いと思うから、キレがあるイヤホンって感じじゃないような気もするけど、輪郭感が良いからギターエッジとか結構きれいにディストーションするし、黒みもしっかりあるから、こういう音をキレが良いと表現する人もいるし、実際メリハリ感に優れている。ドラムも肉付きと音の濃さを持っていて、この曲みたいにちょっと重厚方向に振っている正統派ロックサウンドには合う。
たぶんOriolus Finschiでもこの曲に個人的な聴き応えを感じたので、似たような性格のところはあるかな。高域すっきりめで中域艶やか、低域にクリアな厚みってあたりの組み立て方の全体的な方向性が似ているっちゃ似ている。
Jess Glynne「Never Let Me Go」
まあ私の中でのイヤホンの序列はJess Glynneがどんだけ聴き応えあるかで決まっている観があるから、Jess Glynneのこの曲みたいなのを明らかにレベル高く聴かせてくれるTM2の標準イヤホンの評価は高くならざるを得ない。
低域のキックとベースの描き分けも丁寧だし、しっかり濃い黒さを出してくれつつ、黒くなりすぎず透明なタイト感を持っている。アコースティックギターの刻みもきれいだし、やっぱり色がしっかり濃い。あとボーカル。ハスキーボイスだから、息感の出し方に自然注目しちゃうけど、しっかり息の筋や尖りを感じさせつつ、手触りのよいすっきり感で刺さらず抜ける。全体的に質が高いんじゃないでしょうか。シンセも透明な厚みを持って聞こえてくるので、濃厚です。
AXiS「HEAVEN'S RAVE」
あくまで個人的な好みで、この曲を聴くならもうちょっと低域にズンズン感が欲しいと思うけど、それでもFostex TM2の標準イヤホンは見通しよくクリアにこの曲を楽しませてくれる。暴れる電子音の中でもボーカルが周囲と一体感を持って艶やかに聞こえてくる。https://t.co/SGIvNVjUUq @YouTubeさんから
— audio-sound @ hatena (@audio_sound_Twr) 2019年6月1日
下地紫野&悠木碧「Harvest Moon Night」
TM2の標準イヤホンはこの曲でも低域に深掘り感と透明感があるから、底からこんこんと湧き出るような音を感じることができる。落ち着いて濃厚なピアノやチャイムの光沢感に温もりがあって、ボーカルもそんな空間に包まれながら、しかし分離はしっかり。https://t.co/HnWBFqDY8B @YouTubeさんから
— audio-sound @ hatena (@audio_sound_Twr) 2019年6月1日
TVアニメ『ハクメイとミコチ』ED主題歌「Harvest Moon Night」
Suchmos「STAY TUNE」
結構器用なところもあって、この曲なんてパーカッション周りでスパイシーさを感じさせつつ、あくまで黒みのあるギターが理性的に鳴らしているのを、透明感のある音場できれいに聴かせてくれる。ボーカルも自然でニュートラル。スピード感はちょうどいいくらいhttps://t.co/ZQaIx8AYc7 @YouTubeさんから
— audio-sound @ hatena (@audio_sound_Twr) 2019年6月1日
【5】総評「コスパが良いかは難しいが、とても楽しい製品」
意外と音質もわかりやすく楽しめる音で、万能なので標準付属のイヤホンでも良質な音を提供している。さらに幅広いリケーブル対応イヤホンの中から、好きな物を選んでフルワイヤレス化できるというのだから、非常に面白い製品。
この点、現状では唯一無二に近い製品で、その点おすすめできるが、現状でも完全ワイヤレス化の唯一の方法ではないし、後続で性能的に同等以上の類似製品がより廉価に提供される可能性もあるので、これでなくてはだめというわけでもない。
しかし標準イヤホンでも価格相応によい音質で、さすがFostexって感じに仕上がっているから、色モノでなく純粋に完全ワイヤレスイヤホンとしても充分に価値がある。気になる点はやはり妙にデカいケースかな。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。