【国内正規品】ROSE 5BA搭載リケーブル対応カナル型イヤホン BR5 MK2 ブルー BR5MK2-BL
- 【1】装着感/遮音性/通信品質「遮音性は高い」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「片耳すぐ聞こえなくなるという声が意外と多い」
- 【3】音質「わずかに硬い印象を受けるが、全体的に濃厚感と明るさのバランスが良い音響」
- 【4】官能性「全体的に解像度良く、女声ボーカル曲をきれいに聴かせるが、同様の女声ボーカル向けイヤホンに比べて、わずかに硬く、元気すぎるところがある」
- 【5】総評「3万円以下で女声ボーカルを元気に聴くイヤホンを選ぶなら、有力選択肢の一つ」
- 【プレミアムレビュー】
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【1】装着感/遮音性/通信品質「遮音性は高い」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
シュア掛けスタイルの機種。装着感は良好で遮音性高め。音漏れ少し。
【2】外観・インターフェース・付属品「片耳すぐ聞こえなくなるという声が意外と多い」
付属品はイヤーピースの替え、ハードケース。ケーブルにはタッチノイズが少しある。
少なくともamazonのカスタマーレビュー見る限り、価格の割にビルドクオリティはあんまり高くないようで、mmcxコネクタ周りの作りが悪いのか片耳聞こえない系のレビューが多い。片耳音出なくなりました系のフリマ出品も管見の限りでは多め。
手に入れたら、mmcxコネクタ周りは念入りにチェックしておいた方が良いだろう。
【3】音質「わずかに硬い印象を受けるが、全体的に濃厚感と明るさのバランスが良い音響」
以下の音質レビューの基準はqdc 3SHになります。価格はちょっと差がありますけど、音の全体的なキャラクターは似ています。比較的どちらも女声ボーカル得意系で、おすすめされやすい機種ですけど、qdc 3SHの女声ボーカルは少しふわっと上に抜ける浮揚感が高いのに対し、ROSE BR5 mk2はもうちょっと張りを意識した濃い感じの声色に聞こえます。
個人的な好みの話で、Chouchoのボーカルを比べると分かるって話になるんですけど、qdc 3SHのほうは同じように明るくつややかですけど、上にふわふわっと浮き上がる感じがあり、なよなよした感じはありますが、女性的で嫋やかです。ROSE BR5 mk2のChouchoはもう少し張りを意識して声に弾力があり、上に抜けすぎないで幾分戻ってくる感じがあります。元気さはROSE BR5 mk2のほうが強いです。よりハキハキした印象が感じられるでしょう。これはおそらくわずかにqdc 3SHのほうが腰高な中域になってるんだと思います。ちなみに個人的なド直球な好みの声質はふわふわっとしたqdc 3SHです。この伸びの差はヴァイオリンの風味でも結構味わえます。色っぽい余韻を出す3SHのヴァイオリンに対して、BR5 mk2のヴァイオリンは高域でちょっと直線的です。
音場に関しては、やや左右が迫っている印象の3SHに比べて、BR5 mk2のほうがすっきりとして聞こえます。BR5 mk2も左右そんなに広くなくて奥行き重視みたいな音なんで、言うほど差はないように思いますが、印象的には3SHの方が圧倒的に密度感が高いです。中低域あたりの厚みが3SHの方が分厚いので、それがダイナミクスに大きく影響しています。
中高域から高域あたりはBR5 mk2はバランスドアーマチュアらしい若干ドライで硬い音になっていて、そこらへんも少し突っかかります。シンバルとか結構シルキーで良い感じだけど、ちょっと硬いかなーって思います。手応えにはなるんで、ここらへんがちょっと硬めの方がアクセントとして気持ちよいっていう人もいるかもしれませんけど、qdc 3SHはここらへんサラッとしているのでその聴き心地になれていると、ちょっと角が立っている感じに聞こえます。そのため、曲によって、わずかに中高域から高域の下の方にガチャガチャ感が出ることがあります。
低域はスピード感も充分あって、分離も良好に思えますけど、ディテール込みで考えると3SHのほうが輪郭はより細かいです。ドラムとベースの分離も3SHの方が良く、濃い黒色の重低音をよりしっかり感じられます。
[高音]:やや硬さがあるが、全体的に充分な明るさがあり、ディテールは細かい。少しドライで冷たい印象を受けるが、中高域付近に暖かみが感じられるので、酷薄な印象は受けない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:低域に近い根元はややすっきりとしており、中高域方向で豊かさを感じさせる。そのため太い印象はあまり受けない。全体的に清潔で透明感があり、見通しは良い。個人的な好みとしてはもう少し根元があったほうがいい気がするが、好みの問題。
[低音]:100hz~40hzまで少しボーッとした振動。30hzくらいでわずかに振動を感じるが、20hzでほとんど無音。こういう振動だと地熱感は少し抑えめで中低域のほうが目立つ感じになるかな(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:音域だけ比較すると比較的バランス良く出ていて、低域が出張る感じもなく、自然に中域につながっている。中域の下の方が少し引っ込み、高域に向かうほど明るくなっていくところはあるから、ドンシャリ系の音とは言えるかも知れない。高域はちょっと硬さを強調するところがあって、5BAも積んでるにしては空気感は意外と抑えめかな(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは少し鼓面が強めでパリパリ系の音に聞こえる。とくにここはもっと色味が濃くて詰まりも良かった3SHとは差が出るところ。音は若干軽めのパツンパツンかな。シンバルは充分粒が細かく空気感を出していると思うけど、この点も3SHのほうがより発色がきれいで浮き上がりがよく、空気感は濃い。3SHを若干薄味軽めにしたドラムセットって感じかな(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男声ボーカルも女声ボーカルも分離は良い。男声ボーカルは少しツルッとした感じが出る。女声ボーカルは少しハキハキした歯切れの良い感じでわずかに濃く聞こえる。
【4】官能性「全体的に解像度良く、女声ボーカル曲をきれいに聴かせるが、同様の女声ボーカル向けイヤホンに比べて、わずかに硬く、元気すぎるところがある」
nano.RIPE「月花」
今回たまたま某店でこのイヤホンが強気価格で販売されてたんで、これは高すぎなんじゃない?と思って値切ったら、今度は逆にかなり安い値段提示されたから買ったけど、以前BR5 mk2も候補に入れつつ、やっぱ3SHかなって思ってそっちを先に買ったのは、たとえば大好きなこの曲の聴き応え。
BR5 mk2はやっぱり中域から下が少しスリムになっちゃってるので、この曲で低域に重みが出づらく、そのせいで中域にも濃厚感がなかなか出ません。そして高域方向はちょっと硬いので、低域を充分に味わうために音量を上げると高域で少しガチャガチャ感が出てきます。ただこれはあくまで3SHと比べてって話で、全体的に音の解像感は良く、透明な空間にハキハキとした明瞭な楽器音とボーカルが聞こえてくる音楽に仕上がっています。
ただし、クライマックス付近のふんわりとボーカルが幻想感を強調する場面では、BR5 mk2の聴かせ方は元気過ぎちゃって、ハキハキと歯切れ良くてやや興ざめしちゃいます。シンバルも若干硬くて覚醒感を出しちゃうかな。すっげー細かい注文なんだけど。3SHはここの幻想的な味をかなり忠実に聴かせてくれます。こういう細かなニュアンスは同じ女声ボーカル向きイヤホンでも3SHのほうがうまいです。あとは低価格ではSIMGOT EM2もここのニュアンスの出し方、個人的にはかなりいいです。
ハルカトミユキ「17才」
この曲も金属的な音が多いせいか、ROSE BR5 mk2の個性がやや強めに出ちゃうところがあって、やっぱちょっと硬い。もちろんカチカチよく決まっているとも言えると思うんだけど、全般的にレベルが高いからこそ、意識が細かいところに向いちゃうところがあって、やっぱ少し高域に尖りがあってガチャガチャ感があるかな。
とくにこの曲の場合、情感の篭もったディテールの高いボーカルが気持ちよく歌っている、すぐ隣くらいにシンバルが聞こえてくることが多いから、余計に硬い音で来られると悪目立ちするかもしれません。ボーカル周りもうちょっと整理した方がいいかな。あるいはシンバルにちょっと空気感というか清涼感が足りない感じですね。
17才(期間生産限定アニメ盤)(Blu-ray Disc付)
the peggies「スタンドバイミー」
若干ROSE BR5 mk2に厳しめの評価になっちゃったかもしれない曲ばかりだったから、素直に聴き応えを感じた曲を挙げると、たとえばこの曲。
少し硬めで輪郭が分かりやすい音質のおかげで、全体的にメリハリ感がきれいに感じられるし、パワフルさも感じられます。好みの問題だとは思いますけど、たとえば3SHで聴くと、この曲は少し上に明るすぎちゃって、ボーカルに圧力みたいなのが足りずに空気漏れしちゃってるみたいな印象を受けるから、この曲みたいな切実なボーカル表現にはBR5 mk2のほうが合うと思います。
ヨルシカ「藍二乗」
これも好みの問題っちゃ問題かも知れないけど、この曲もちょっと濃いめの硬い中高域で聴いた方がカチカチッと嵌まる感じがあって好きかな。とくにシンバルに濃さとか硬さとかが感じられないと、この曲はちょっとフラフラしちゃうかも知れない気がします。しかし、細かい要望を言わせてもらえば、もう少しドラムはボディを感じさせて欲しくはあるかな。上は結構キレキレに頑張ってるのに、ドラムがちょっとだけ付き合いが悪い印象がなくもありません。
【5】総評「3万円以下で女声ボーカルを元気に聴くイヤホンを選ぶなら、有力選択肢の一つ」
女声ボーカル向きとは言いますが、結構カッツリした感じで元気のいい方の音なんで、はっきりしたリズムを取る曲の方が基本的に相性が良いです。それもハイハットやライドシンバルがカッツリ仕事する系の曲に合います。ただそこらへんがカッツリ仕事してる曲だと逆に、低域のちょっと薄い感じがバランス的に気になってくる可能性はあります。全体的にバランス良く、音も分かりやすく聴かせてくれるんで、一聴した第一印象はいいんですけど、慣れてくると風味とか余韻がもうちょっと出せないかなって感じてくるところはあります。
とはいえ、3万円以下なら随一というくらい、おすすめであることに違いはありません。
【国内正規品】ROSE 5BA搭載リケーブル対応カナル型イヤホン BR5 MK2 ブルー BR5MK2-BL
【プレミアムレビュー】
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。