- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感も良く、通信品質も安定している」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間長め」
- 【3】音質「グラフェンらしい緻密な中高域と深掘り感のある低域の組み合わせというワイドレンジハイファイ感のあるサウンド」
- 【4】官能性「ロックやJAZZがかっこいい」
- 【5】総評「一万円以下でロック聴くなら文句なくおすすめですが、何か?」
- 【関連記事】
【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感も良く、通信品質も安定している」
おすすめ度*1 |
---|
ASIN |
豆粒タイプのハウジングで装着感は良好。遮音性はそこそこ。音漏れもそれほどでもないが、シャリシャリ感のある音ではあるので、もしかすると少し目立ちやすいかも知れない。
通信コーデックはAAC/SBC対応。遅延や途絶は感じない。移動中に使ってみた感じ、バスが通ったときや電車に乗り降りするとき以外はほぼ途切れがない。
ただし初回起動時に相性問題が発生し、なぜかONKYO GRANBEATに繋いでも音が出ないという現象が起こったが、何度か接続し直したら問題なく聞こえるようになった。SONY NW-A55ではこの不具合は発生しなかったが、もしかするとスマホによっては最初はうまく音が出ないケースに出くわすかも知れない。
【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間長め」
付属品はイヤーループの替え、イヤーピースの替え、充電用USBケーブル(Type-C)、説明書。
イヤホンの連続再生時間は最大7時間。ケース込みで最大24時間。かなり優秀。
防水性能はIPX5。一応雨の中でも使える品質ではあるが、水没には対応しないので、完全ワイヤレスイヤホンの場合、水たまりに落としたりすると壊れる可能性がある。なので、雨の中ではしまった方が良いかもしれない。
ワイヤレス充電Qiに対応
ワイヤレス充電できる。これは便利。
推奨イヤーピース
標準イヤーピースはドライな質感で装着感は良いが、やや低域の音が抜けやすい印象を受ける。また音も少し柔らかく感じられる。イヤーピースを替えることで音質に張りなどを出すことが可能。おすすめ順。
- AZLA SednaEarfit:これに替えるだけで低域にドンという重みが感じられるようになる。高域も少し発色が濃くなり、コントラスト感は増す。ただし軸が太いので外れやすいかも知れない。
- Spinfit CP360:装着感はバッチリ。音は少しすっきりする。←イチオシ!
- radius Deep mount:中高域の発色がよくなり、ボーカル周りに少し密度が出る。低域はタイトになるのでメリハリ感が増す。
- final E Clear:中高域にすっきり感が出て、解像感も少し増して感じられる。
- Acoutune AET08:低域の存在感が増し、高域がマイルドになる。シャリシャリ感が気になったらこれで。
- JVC スパイラルドット:スパイラルドット++よりは音に張りがないが、軸はこちらのほうが固定力がわずかに高いのでまだ実用できる。
- JVC スパイラルドット++:かなりスッキリと音場が整理され、全体的に解像感が増したように感じられたが、軸が柔らかいため、外す時に抜けて耳に残りやすいし、外れやすいのでやや不向き。
なお大きめのイヤピだとケースに入らない気がするかも知れないが、ケースの蓋はスライド式なので、少しイヤホンを押し込みながらスライドさせれば問題なく収納できる。CP360なら、ケースの蓋に当たる感じはない。
【追記】一部DAPと相性悪いです
amazonのカスタマーレビューでSONY NW-AシリーズのDAPで勝手に電源OFFするってのがあったんで、NW-A55で試しました。たしかに数曲で勝手に電源OFFするんで、他のDAPで試したところ、Astell&Kern KANN CUBEでも勝手に電源OFFするようで、電源管理に通信プロトコルを使ってるのか、スマホやタブレット相手じゃないと長時間使用できない不具合があるようです。
【3】音質「グラフェンらしい緻密な中高域と深掘り感のある低域の組み合わせというワイドレンジハイファイ感のあるサウンド」
音質的には中高域にグラフェンドライバーらしい刻みのよい緻密な感じがあって、シャリ感は強いが、明るすぎず、適度な明度で白化する感じはない。低域は深掘り感が適度にあり、黒い色味がそれなりに出ていて、全体的な色調にはコントラスト感がある。似ている感じの音というと、RHA TrueConnectかな。TrueConnectはこの機種より音は全体的に柔らかめだから、こっちは少しキツい感じだけど。完全ワイヤレスではTrueConnectの音が最高って声も一部にあって人気も高い機種だから、この機種も結構人気が出そうな雰囲気はある。イコライザーで中高域の硬いあたりを丸くして、高域強調してやると、TrueConnectにかなり近づくかな。
手がかりが多くて、しかもあまり明るすぎない適度に聴きやすい色合いの中高域がソリッドに刻んでくる音が一番魅力的で、ギターやシンバルがかなりはっきり聞こえる。場合によってボーカルより目立つくらい。
[高音]:シャリシャリとして刻みを強調する感じで上方向にもそれなりに伸張を感じて開放的だが、色味自体はセーブされていて白化しない濃度感がある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中域はやや清潔だが、温かみも維持されていて、ロックやJAZZ向きの雰囲気。中高域の派手な感じに比べるとややおとなしい印象を受けるが、厚みは一定程度感じさせて適度なクッションを感じさせつつ、中低域付近の一番厚いあたりにつながっている。下では濃厚感が少し感じられる。
[低音]:100hz~30hzまで少し締まった太さのある振動。20hzでも振動感があり、深掘り感は充分出るだろう。低域の感じもTrueConnectに似ているような感じがあり、黒く塗り込めるような感触がある。中低域には少し厚みがあって、ウォームな感じが出る(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:JAZZやロックではドラムに低域にウォーム感が出やすく、やや熱気を感じつつ、中高域の発色と刻みを楽しめる。音のディテールは1万円以下にしては全体的に高レベルで、低域でもベースとドラムのボディが描き分けられて感じられるし、中高域でギターやシンバルの色味をソリッド感重視の緻密な感じで楽しめる。変に明るくないから、妙に浮かれた感じも出ない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:適度な厚みとタイトさがあるドラムで、タムやスネアの鳴り方がかなり自然で強調がない。ドラムはバッツンバッツンと厚みを出しつつも黒く粘りがあって、躍動的。
シンバルも細かく刻みが入り、粒感が良く、明るすぎない深みのあるチンチン音を聴かせてくれる。パーカッション周りは価格帯ではかなり高精細で再現度が高く、楽しい印象を受ける。ハイハットはドライな砂粒感があり、非常に締まって男らしくかっこいい。輪郭も良くそれほど明るくないのによく浮かび上がる。好みの音ってのもあるけど、これはおすすめしたい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男声ボーカルは自然でドライ傾向。女声ボーカルは少し暗めだが温かみがある。声色の輪郭に手がかりが多くて、高域方向では息遣いにディテールが感じられるから、さわやかさは感じやすい。それほど分離を強調しないので、楽器と距離感がやや近く思えるかも知れない。
【4】官能性「ロックやJAZZがかっこいい」
UVERWorld「CORE PRIDE」
ドラムは一定の膨張感を感じさせつつ、タイトに締まって粘る感じが出るので躍動感とメリハリ感が同居していてすごく楽しい。明るくないのにドライでクリアに刻みを聴かせるハイハットも最高で、ボーカルの声色も自然でややドライに息感をよく聴かせてくれる。
ずっと真夜中でいいのに。「サターン」
今日発売したアルバムの中で
— ACAね(ずっと真夜中でいいのに。) (@zutomayo) 2018年11月14日
サターン という曲を弾き語りました#正しい偽りからの起床#ずとまよ pic.twitter.com/hqU7zTDtz2
個人的にはこの曲、このイヤホンで聴いて欲しい。中高域のほどよく緻密ながら、ドライで明るすぎず、中低域が暖かくて濃厚な感じがあるのが、この曲の楽しいところを満遍なく聴かせてくれてる感がある。深掘り感も充分。ハイファイ感があって緻密なのに、適度な温度感があって適度な濃度のある空気感が維持されているから、聴きやすいし、充実感がある。ボーカルの甘い感じもすっごくいい。この曲をこの価格でここまで満足に聴かせてくれるってだけで個人的にはお気に入り。イヤピはSednaEarfit推奨。どうもイヤピの密閉度が低いとボーカルのサ行刺さりやすくなる様子。
KANA-BOON「まっさら」
温度感が自然で、ギターのエッジはすごくきれいでディストーション決まりまくり。ボーカルの適度な温度感に充実感があって、輪郭にも手がかりが多くて、息感や息継ぎが丁寧に感じられる。すっげーいいね。
ヨルシカ「藍二乗」
やべぇわぁ。この曲のドラムセットの表現、パネェわぁ。緻密で刻みが良いのに、明るすぎて鼻につく感じがないから、温かみのある感じでずっと楽しめるわー。標準イヤピだとドラムとベースの厚みと重みが足りない感じだけど、SednaEarfitに替えれば解決だわ-。この曲を楽しむなら、1万円以下の定番にしてよさそう。少なくとも1万円以下でこれ以上の表現はほとんど思いつかない。このイヤホンで「五月は花緑青の窓辺から」も聴いて欲しい。
【5】総評「一万円以下でロック聴くなら文句なくおすすめですが、何か?」
これはいいです。すげぇロック楽しめます。イヤピはSednaEarfitをおすすめします。音質はロックに関する限り、かなり完成度高いです。デザイン的にも洗練されています。
中域や低域に空気感も充分にあるので、JAZZもたぶんかなり満足できると思います。文句なくおすすめで、とくに言うことないかな。近い価格だと直近に紹介したJVC HA-LC50BTはポップス・アニソン寄りのロック向きな感じでしたが、こちらはよりJAZZに寄った正統派ロック向きです。まあAUKEY EP-T10のハイハットやギターにあるジャリジャリギラギラした感じが、アニソンだと人によって邪魔かなって思ったので、こういう評価にしましたけど、個人的にはアニソンも普通に聴いてます。
ちなみに音質的にはたとえ4000円くらいでも価格差分の違いは充分にあって、解像度はHA-LC50BTの方が優秀でメリハリ感も高いです。好みによりますけど、むしろ場合によっちゃHA-LC50BTは音質だけなら2万円クラスの格上完全ワイヤレスと勝負できますからね。
最近AUKEY急激にレベルアップしてるけど、オーディオに本気出してるね?
【関連記事】
*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。