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【完全ワイヤレスイヤホン SONY WF-1000XM3 レビュー】ノイキャン性能は個人的にはかなり微妙。しかし音質とヒアスルーは優秀。文句なくおすすめ

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SONY WF-1000XM3

SONY WF-1000XM3

ソニー SONY ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン WF-1000XM3 : 完全ワイヤレス/Bluetooth/ハイレゾ相当 最大6時間連続再生 2019年モデル ブラック WF-1000XM3 B

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「少し耳から出るけど装着感は悪くない」

おすすめ度*1

SONY WF-1000XM3

ASIN

B07TKGGZ47

 ちょっと大きめではあるが、装着感にそれほど不自然さはない。重心が若干外側に向いているので、スポーツなどに使用する場合はイヤピをよく選ぶと良い。遮音性はそこそこ。アクティブノイズキャンセリングとヒアスルー機能搭載。この2機能については次節で詳しく解説する。

 

 対応コーデックはSBC/AACのみ。「音質優先モード」でも接続安定性は高く、外出時移動中ほとんど途切れを感じない。唯一、駅のホームでだけ頻繁な途切れがあったが、目立つのはそれくらい。復帰も早め。

 

【2】外観・インターフェース・付属品「ノイキャンは個人的に微妙というか移動中使用は確実に危ない。ヒアスルーはかなり優秀」

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル(Type-C)、専用充電ケース、説明書。

 

 連続再生時間がノイキャンOFFで最大8時間。ノイキャンONで最大6時間。ケースで3回充電できるので、ケース込みで最大32時間くらい。防水性能はない。

 

 なおこの機種は接続した機種を切断しなくても、次の機種に接続すると通信が切り替わる、マルチポイントもどきみたいな機能が付いている。接続切り替えは非常に早くよいが、マルチポイントではないので、DAP聴きながら携帯電話側の通話待ち受けをするというところまではできない。

 

SONY自慢のノイキャン性能は微妙

 これは私の環境がもしかすると相性がよくない可能性もある*2が、実は店頭試聴段階でノイキャンの利きははあまりよくない印象だったんだけど、ネット上では妙に評判が良いので、ロケテストを詳細に行った。

 個人的にはやっぱり微妙。一応テスト環境を説明するけど、ONKYO GRANBEATに本機を繋いで、音量50%で音楽を掛けながらノイキャンONにして路上テストを行うというもの。

 で、まずわかりやすいように、私の環境でノイズ低減できたものと低減があまり期待できないものを列挙する。

ノイキャンが期待できるもの
  1. 自動車の低速移動時の音
  2. 自転車の音
  3. 革靴系の足音
  4. 対向電車の通過音。ヒュー
  5. 最近の静かなエアコンや扇風機の動作音。サーッ
ノイキャンがあまり期待できないもの
  1. 電車の線路を走る音。キュルキュル
  2. 電車のモーター駆動音。キューンみたいな発進音
  3. 電車の揺れる音。ガタンゴトン
  4. 電車内のナレーション
  5. 自動車の高速走行音。シャーッという路面を擦る音
  6. 自動車の積み荷の音。ゴトゴト
  7. ヒール音。カツカツ
  8. 石段などの硬い階段を歩く音。タンタン
  9. 人の話し声
  10. サーキュレーターの音。ブオーッ

 で、私のロケテストだと、遠くの自動車が大通りを走る音や電車が高架を通る音、店のアナウンス、近くの人の気配なんかは充分に聞こえるんだけど、路地などで後ろから近寄ってくる低速の自動車や自転車の音は全く聞こえなかった。つまり遠くの音は比較的明瞭だけど、自分の近くにぽっかり音がないスペースができるので、これが非常に危険に感じた。遠くの音が聞こえて近くの音が聞こえないと、近くに何もないと錯覚しやすいので、とくに後ろから来る自転車には無警戒になりやすい。

 一方で、ノイキャンが効いて欲しい電車内ではあまり低減効果が得られないので、これは何のためにあるのか疑問。おそらくこのノイキャンの感じだと、騒音が比較的少ない家の中用にちょうどいい感じな印象。少なくとも通勤通学中に使う感じじゃなく、むしろ通勤通学に使ったら危険。

※ただし人間には聞きやすい音・聞きにくい音の個人差があるらしいんで、あくまで私の環境で私が試したらこうでしたという参考としてお考え下さい。

 

アンビエントという名のヒアスルーは1,2を争うほど優秀

 わずかにホワイトノイズ感があるけど、ヒアスルーはかなり優秀。私のレビューを長く読んでいる方はご存知だと思うけど、ヒアスルーの使い方は基本的に音楽聴きながら動画を鑑賞するために使ってるんで、その使い方での評価になる。

 で、その範囲だとかなり自然に動画と音楽を同時に楽しめ、取り込み音に引きつる感じとかがなく、非常に共存性が高い。これまで私が個人的にヒアスルーは最高評価としてきたJabra Elite Active 65tに匹敵するか人によってはこちらが勝るという評価になると思う。ただし明確な差はあって、それは自分の声の聞き取りやすさ。Jabraはマイクが多いので、自分の声もクリアに拾ってヒアスルーするので、その点の印象が大きな差になる。

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【3】音質「音質優先モードと接続優先モードで音質は若干変わる」

 じつはこの機種、試したところ、音質優先モードでつなぐ場合と接続優先モードでつなぐ場合で若干音質が異なるよう。具体的には接続優先モードでは中低域が少しカットされ、高域と床面のビシバシが目立つ印象になる。そのため、接続優先モードだとよりワイドレンジ感があり、エレクトロダンスミュージックなんかは意外とこちらのほうが聴き応えを感じる可能性もある。ただし接続優先モードでイコライジングすると高域はとくに濁りやすい。ちなみに音質優先モード中にイコライザーで中低域を少しカットし、高域を強調すると接続優先モードに近くなる。

 音味的には全体的な印象はニュートラル。接続優先モードだともうちょっと高域のクールな感じが目立つバランスで若干印象変わる。音質優先モードでは音場に適度な清潔感がありつつ、中高域のギター音なんかの刻みを丁寧に聴かせ、タムも少し明るめに弾け、ボーカルもちょっと明るめに聞こえてくるような、少しハイファイ感のあるサウンドを味わえる。低域の量感もほどよく、床面のビシバシ感を感じさせてくれつつ、中低域で少し厚みを出してなめらかに聴かせる。

 

付属アプリのイコライザーでさらに音質を変化させて楽しめます

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[高音]:天井感はなく、高域拡張性はかなり高い印象。実際接続優先モードだと高域がよく感じられるが、非常に抜けが良い印象を受けるはず。とくにハイハットの音の広がりがよく、空気感がシャーンと上に広がる感覚を味わえる。これは個人的にいいなって思ってるところ。高域の音色はどちらかというとクール(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)

[中音]:中域はクリーンで少しすっきりしてきて、中高域のギターや女声ボーカルが若干浮き上がって目立つ感じになる。ボーカルの距離感については接続優先モードと音質優先モードでは中低域の聞こえ方の差のせいか印象が異なり、接続優先モードのほうが少しボーカルが前に出てくる印象がある。中域では音は滑らか。

[低音]:思ったより重低音は浅くて、100hz~40hzくらいまでが聞き取れる。やや細身のビーッとした振動。30hz以下はほぼ無音。低音はニュートラルでクリアな感じで、中低域でドラムの厚みと重み、ベースも輪郭がよい感じ。温かみはそれほど感じられないが、充分にスピード感がある(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:中域に清潔感があるので、音場の奥行き感と広さはかなり明瞭に感じられる。おそらくこの音場感が好きって人は出てきそう。高域もすーっと伸びているので開放的で広い(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:タムやスネアはスパイシーにパシッと明るく弾ける。バスドラキックは若干浅い印象を受けるけど、輪郭ははっきり。ドラム音の輪郭にバチバチした粘りも感じられ、やや重心は軽い感じではあるが、充分に精彩のある音を奏で、濃さも適度にあるので存在感あり。ハイハットは明るく、やや白味が強調されているが、粒感はしっかりでもやもやした感じは強くなく、しっかりとシャンシャン空気感が感じられる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカル周りはかなりすっきりしている。私の環境では、音質優先モードでは中低域がわずかに手前に出てきて目立つので、ボーカルはそれより引っ込む印象があるが、接続優先モードではこの中低域の出張る感じはなくなり、素直にボーカルが前面に出る。ボーカルは少し明るめで男声ボーカルは中性的に聞こえる感じはあるが、それほど不自然ではない。輪郭はしっかりしており、息感も細かく感じられるが、サ行の刺さる感じはあまりない。

 

【4】官能性「中域がクリアで音場の広さが存分に味わえつつ、高域はよく伸び、低域も重心はやや上だが量感しっかり。組み立てはよい」

Pharrell Williams「Happy」

 この曲はシンバルとドラムの鼓面、ハンドクラップの音がかなり明るめにパチパチ弾ける感じで聞こえる。ボーカルも周りがすっきりした感じで浮き上がって聞こえてくるので、メロディーラインとリズムはかなり明瞭でスピード感も遅れなく、非常に快活。この曲では、バランス的には中高域にディテールが集中するから、少しそこだけ浮き上がる感じがあり、人によっては低域スカスカって感じる人もいるかも知れない。

 


Happy (From "Despicable Me 2")

 

Rina Sawayama「Cherry」

  高域方向で精緻な感じがあり、低域のスピード感も充分なので、こういうダンスサウンドは聴き応えがある。音場も広く開放的で、シンセやリズム音が音場から弾け出すように明るく抜けていく。ボーカルは明るく、少し輪郭が強調されて空間の中でくっきり分離されながら上に伸びていく。昔からSONYってこういう感じの曲に強い印象だけど、このイヤホンもご多分に漏れない。

 


Cherry

 

大隅寿男「キャラバン」

 JAZZはちょっと明る過ぎるし清潔すぎるかなって思ったんだけど、普通に良い。この曲のシンバルがかなりクリアで手がかりが多くて楽しいってのもあるけど、何より金管の粒立ちが凄く良くて、透明感のある感じでよく上に伸び、下では渋みもちゃんと出ている。ピアノはやや明るめだけど、ツヤツヤ感はきれい。低域がややクリアすぎる感じはあり、重心も高い印象を受けるので、ドラムがわずかに軽っぽいかもしれない。あと濃厚感はない。

 なおほかのJAZZ曲を聴いた感じでは、コントラバスのえぐりは浅いのでそこも気になる人はいるかも知れない。

 


キャラバン

 

LiSA「一番の宝物 ~Yui final ver.~」

  たぶんこの曲は賛否両論ありそう。音場はクリアで広い。ベースの音色がどちらかというと中立的なので、温かみにはやや欠け、そこらへんにムード感を感じている人には少しすっきりしすぎに思えるかも知れない。またこの曲ではボーカルがかなりパワフルに伸びるが、それもかなり突き抜け感が強く感じられる。サ行も刺さらないが、少し息感は強調され、アコースティックギターは鮮やかできれいだが、ギターのカッティングやタムの鼓面にはややパリパリした感じがあって、若干薄皮っぽい印象もある。さわやかに見通しよく仕上がっているが、少し濃厚感には欠けるので、この名曲を普段どう楽しんでるかで若干評価が分かれそう。上では非常に伸びやかなので、弦楽の伸びる感じや金属的な光沢感がきれいに出るのが好きなら、気に入るはず。

 


一番の宝物~Yui final ver.~(DVD付)【完全生産限定盤】

 

 

 

【5】総評「非常に完成度が高く、3万円以内という価格は個人的には驚き」

 音質はワイドレンジ感と見通し感に優れ、とくに中高域・高域で解像度感が素直に味わえるので、最近のポップスやエレクトロダンスミュージックは相性良さそう。おそらく音場の開放感・解像度感ではBang&Olufsen E8 2.0に匹敵するかそれ以上と感じるはず。ロックはウォーム感がそれほどないあたりが好みを分けるかも。ヒアスルーもレベルが高く、接続安定性も高く、機能性で文句はない。タッチパネルの感度だけ妙に敏感だけど、誤操作して困る感じもなさそうなので、これは問題ないだろう。

 個人的にはアクティブノイズキャンセリングだけちょっと微妙で、これならせっかくの高解像度な音質を生かしてLDACに対応して欲しかったんだけど、今のままでも充分クリアなので大した不満ではない。文句なくおすすめ。

 

SONY WF-1000XM3

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

*2:SONY NW-A55でもテストしたので、相性が良くないわけはないと思うけどね。

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