- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「見た目はNT100とクリソツ」
- 【3】音質「TE-D01dの低域を濃くした感じ」
- 【4】官能性「重厚でややどっしりしたドンシャリ」
- 【5】総評「充分に密度感があり重厚なサウンドと安定感のある通信品質。ロックにおすすめ」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
イヤホン本体はAVIOT TE-D01gやNAIN ZEENY TWSとほぼほぼ共通デザイン。耳への収まりは良く、遮音性はそこそこ。
対応コーデックはaptX/AAC/SBC。通信チップはQCC3020を搭載している。通信安定性は高く、駅などでもほぼ途切れを感じない。
後継機種のM5のレビューもあります
【2】外観・インターフェース・付属品「見た目はNT100とクリソツ」
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、説明書。
外観はケースを含めてNUARL NT100とクリソツ。キットは同じものを使っているのだろう。
防水性能はIPX7でこれもNT100と変わらない。
連続再生時間は6時間でケース込みの最大再生時間は42時間。
【3】音質「TE-D01dの低域を濃くした感じ」
素性的にはAVIOT TE-D01dやgと近縁関係にある機種であることは確実なので、期待は結構高かったが、聴いてみると想像以上に好み。TE-D01dに比べて低域の厚みと濃さを重視している感じで、そのせいか全体的に音が太く感じられる。高域方向のきらびやかさは抑えめになったが、背景の黒みが増した分、音が少し濃くはっきりしているので、コントラスト感は高まっている。ある意味ガツガツしたところのある、ちょっと媚びた感じの低域重視のドンシャリで、ありがちな音ではあるが、音の味がわかりやすく楽しい。
美点
- 低域にしっかりした濃さと厚みがある。
- 全体的にコントラストが高く、音がはっきりしている。
- 音の輪郭もわかりやすい。
欠点
- わかりやすいドンシャリで独自性を感じない。
- 全体的に音がややデジタル的で音圧重視。
- なんていうか、音の出し方が直情的で、ちょっと雑。ボーカルとか結構ギャンギャンしやすい。
[高音]:高域についてはぶっちゃけTE-D01dの方が抜けが良く、「お、なるほどJapanチューニングってこんなんね」ってのが逆算して分かる。中高域から高域にかけての立体感はTE-D01dのほうが優れていて、同じ曲でも音が伸びて抜ける感じや、奥行き感がよく感じられる。T5の音は全体的に音を近く聴かせる傾向があるが、高域でも押し出しが強い感じがあって、音の煌めき感や色味は分かりやすいが、平面的で抜けはあんまり良い印象を受けない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中域でも高域と同様のことがいえ、少なくとも奥行き感は抑えめ。左右もちょっと狭く、音が全て前屈みである。中域は低域と高域の押し出しが強いので引っ込んでいる感じではあるが、全体的に音が近いので、あんまり奥行きを出す感じがなく、なんだかんだいって押し出し強め。相対的に弱いだけで、結構音圧しっかり前に出てくる。そういう意味で音がぎっしりしている。
[低音]:100hz~40hzまでややぼーっとした振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。色味の違いは若干感じるが、NT01AXやTE-D01d、TE-D01gとよく似ている。低域はかなり押し出しが強く、音は濃い。厚みはそこそこある(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:密度感は高めで、低域がやや強めに音場を囲むくらいに聞こえる。TE-D01dなどに比べると音の重心が少し低く、色味も濃く、暗めに聞こえるかもしれない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:パーカッションもなんかTE-D01dあたりと似ていて、タムの鼓面がちょっとパリパリしている感じ、バスドラに膨らみが少しあって柔らかみがある感じ、地熱は意外と少なめな感じと共通な印象が多い。TE-D01dはタムのほうが目立ったが、こちらは低域が重いバツンバツン系。ハイハットは意外と発色抑えめで少しなめらかに空気感を出す(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:低域に濃さがあるので、男声ボーカルは意外と濃いめでしっかり聴ける。むしろ高域が少し暗く、明るい女声ボーカル曲では少し重たさを感じるかも知れない。全体的に少し太め。
【4】官能性「重厚でややどっしりしたドンシャリ」
ClariS「again」
この曲だと少し低域がどっしりする感じがあるのと、音が少しぎっしりして密度感があるのでボーカル周りに開放感があまりなく、そのボーカルも少し太めで上で暗く、重たげに聞こえるかも知れない。ある意味でボリューミーでちょっと濃度高めにしっかり聴かせる感じではあるけど、この曲はTE-D01dのキラキラ感重視の方が好きかな。抜けもよくなくて、なんかもさっとして聞こえる。少なくとも音場の見通し感はTE-D01dの方が良い。
Fairy Castle(初回生産限定盤)(Blu-ray Disc付)
雨のパレード「Summer Time Magic」
この曲は結構重厚なので、このイヤホンの方がTE-D01dより聴き応えがあるかと思ったけど、案に相違して、やっぱりTE-D01dのほうが立体感があって面白い。ボーカルもTE-D01dのほうが前に出てきて、背景はしっかり奥行き感を出すし、上方向への抜けも良い。結局音の濃淡でのコントラストはそれほど差が無くても、TE-D01dのほうが奥行き感やメリハリの差なんかで濃淡以上に音にコントラストを感じさせてくれるので、少なくとも音の基本部分はクリソツなのに、聴き応えはだいぶ差を感じる。いろいろ言われているけど、こうして聞き比べるとAVIOTバカにできんね。
ずっと真夜中でいいのに。「秒針を噛む」
もうちょっと重厚というか、暗めの曲にしていくとT5のほうがいいかなと思えてくる。たとえばこの曲だと、TE-D01dはタムやピアノライン、シンバルあたりがちょっと明るすぎて鼻につく感じがある。ボーカルもちょっと浮ついて感じられるかな。ちょっと上で風通し良くてスースーする感じがあって、この曲の濃度感をいまいち軽くしてしまっている感じがある。T5は高域少し暗めに中域以下に音を閉じ込める感じがあり、低域も黒く濃く音場を支えているので、音の重心が安定してボーカルも憂鬱げな味が強く感じられて、味わい深い。クラシックやロックの重厚な曲はT5の方が「リアル」に感じられるだろう。
少なくとも私が聴く限り、T5のほうが鬱屈した「厨二的」世界観を感じさせてくれるので、好きだ。
nano.RIPE「絵空事」
この曲もT5のほうが個人的には好み。シンバルもはっきり聞こえるけど、白味は抑えられていて、ほどよい明るさで仄暗いくらいの感じで、ボーカルも抜けが強くないので、開放的になりすぎず、中域に少し滞留するから、浮かれの少ないギターと一緒にじんわり心情を歌い込んでくれる。
【5】総評「充分に密度感があり重厚なサウンドと安定感のある通信品質。ロックにおすすめ」
QCC3020を搭載して通信品質的にはかなり安定が見られるし、バッテリー的にも1日充分使える使用時間を実現し、音質的にも10000円台機種にも引けを取らないとなれば、まあコスパは良いとしかいいようがない。高域の明るさが足りない感じはあるので、明るいアニソンなんかは少し抜けが足りない感じがあるけど、JAZZや重厚系のロックなんかは逆にしっかり聴ける印象。アニソン・EDM的な音作りのAVIOT TE-D01dやgに比べて、よりロックしてるイヤホンなので、ロックやJAZZ好きなら個人的にはこっちをおすすめする。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。