- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良好。通信品質はそこそこ安定している」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「いわゆるモンスタースペック系」
- 【3】音質「中域あたりが広く取られていて、音場が広く感じられるため開放的で、中高域の音が鮮やかに音圧ほどほどに聴きやすい見通し感のあるサウンド」
- 【4】官能性「ウォームでマイルドかつ開放的」
- 【5】総評「通信品質はややすっきりしないが、音質はすっきり暖か、甘く開放的で聞き心地が良い」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良好。通信品質はそこそこ安定している」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
イヤホンのハウジングは小型で耳に捻り込めば、しっかり固定される。遮音性はそこそこ。
対応コーデックはAAC/SBC。通信品質は価格帯ではおそらく標準クラスで及第点といった感じ。移動中は時々プチプチ切れる感じがあり、堅牢性が高いというわけではないが、途切れが酷くて使えないというレベルではない。駅構内でもそこそこプチプチしたり音飛びする感じで、混雑時はかなり途切れは多いだろうといった印象。派手に途切れるって感じではなく、価格を考えると相対的に安定している方だが、感心するほど途切れないというわけでもない。つまり普通か普通よりちょっといいかなという程度。
【2】外観・インターフェース・付属品「いわゆるモンスタースペック系」
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、説明書。
いわゆる中華完全ワイヤレスの一つの潮流である、「モンスタースペック系」である。充電ケース容量は3000mAhでモバイルバッテリーとしても使用可能。イヤホン単体の連続再生時間は6時間で、ケース込みだと95時間になるとかっていうゴリゴリスペック。防水性能もIPX7。その他の特徴としては、一応操作ガイダンス音声が日本語になっている。ただしかなり直訳調で機械翻訳音声みたいだけど。
【3】音質「中域あたりが広く取られていて、音場が広く感じられるため開放的で、中高域の音が鮮やかに音圧ほどほどに聴きやすい見通し感のあるサウンド」
中高域から高域の下の方にかけてディテールがよく、とくにシンバルの聞こえは良い。シャーンという空気感の広がりも金属光沢感もシャリシャリした刻みもきれいに出る。中域方向も少し出張っていて、ボーカルは抜けも良いが、下でふっくらとした支えも適切で、温かみがある。音圧はほどほどで、アタック感少し強めにほどよく圧力をかけたあと、すっきり音が抜けていく感じで、リズムに手応えがある割に後味スッキリ。音場も広く、上方向に開放的でやや広めに感じる。明るさはほどほどで自然。
美点
- 中高域での女声ボーカルの聞こえが良い。
- 中域でも一定の厚みがあり、適度な濃度感があり、音に深さが感じられる。
- 音質は音圧もほどよく、しつこくなくスッキリしており、マイルドで聞き心地が良い。
- 中域で音場が広く感じられるので、解放感がある。
- タムやシンバルといったリズム音に資源が集中しているので、ダンスやポップス向き。
欠点
- 高域の抜けは悪くないが、明るさはセーブされているので、高域のディテール感は少なくとも鮮烈ではない。
- 低域は厚みがあるものの、色は薄味で存在感弱めに思うかも知れない。
- 高域はそれほど明るくなく、低域も主張が抑えめなので、中域が出張ったかまぼこ音質と判断する人もいるかも知れない。
[高音]:シンバルの空気感の広がりは結構あるが、高域の明るさはセーブされていて、キラキラ感や白味は強くなく、マイルドに感じられる。抜けは悪くなく、ボーカルはすっと上に伸びる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中域はややふくよかで音場も広くなる。音はやや後退して奥行き感を出しつつ、広く囲い込む。太さは適度にあり、ボーカルやピアノ音にふくよかさがあるので、充実感はあるが、ほどよく距離感が取られているため、密度感は強く出さない。色味は濃いめではっきりしているが、音圧はやさしめ。
[低音]:100hz~40hzまでぼーっとしたややゆるめの振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。低域は音はやや薄めで黒みを強調する感じは強くなく、手応えも少し柔らかい。中域を適度に温めるといった感じの調和的な音。中域が広いので低域は少し分離されてワイドレンジ感がある(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:低域は支えに回っていて、中域が前面に出ており、その中域は奥行き感や広がりに優れ、色も濃いめ。高域はなだらかにマイルドカーブでつながっているが、ボーカルに抜けを十分に確保し、シンバルの空気感の広がりもそれなりに感じられる。大雑把に括るとフラットかかまぼこになり、バランス的には上方向に開放的な印象を受ける。(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:タムが少し力関係で優位にあり、バスドラよりは強い。そのため少し明るめなドラム表現になるが、白味は強調されないので、上に撥ねる感じは強くなく、どちらかといえば鼓面の粘りを感じさせる。バチンバチンといった感じ。シンバルは色が濃いめ。ハイハットは刻みが良いが、白味は強調されないので、暖かい感じの調和的な音色になる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男声ボーカルは少し埋没しやすいが、暖かみがあり、深みも感じられる。女声ボーカルもウォームでふっくらしている。抜けは悪くないが、爽やか系というよりほんわか系で、中域の甘味が強い。
【4】官能性「ウォームでマイルドかつ開放的」
飯島真理「愛・おぼえていますか(MARI IIJIMA sings LYNN MINMAY版)」
もちろん劇場版のままの「愛・おぼえていますか」を聴いても相性が良いが、ピアノ弾き語りのこのバージョンのほうが、おそらく中域充実のこのイヤホンの恩恵をより高く受けるのではなかろうか。ピアノに厚みと温かみがあり、メロウな雰囲気に満ちていて、ボーカルもふくよかで甘味が強く、熟成した味を感じる。
新居昭乃「VOICES(Acoustic Version)」
ボーカルの暖かみとコクがしっかり感じられる。ピアノの音色にも広がりと深みがあり、音に自然な太さがあるにも関わらず、空間に透明感を感じられるほどには音場は広い。弾き語りそのままに近い曲だが、しっとりと濃く味わえる。
MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK II
MINMI「四季ノ唄(Tribute to Samurai Champloo)」
(あくまで個人的評価による)アニソン史上屈指の名曲が、海外レーベルから装いも新たに登場したが、すげぇいい。まあサムライチャンプルーの人気ってヤバくて、私も北米留学中は現地人が、この日本ではあまり有名でないアニメをめっさ好きなのに驚いたくらい。当然私も大好きだったので、仲間を集めて鑑賞会みたいなのを頻繁にした。主題歌の「四季ノ唄」なんかも人気高くて、今回むしろ海外ファンのために発売されたらしいんだけど、アレンジいいね。
で、中域に適度な音場の広さと濃度感があるので、このイヤホンはこの曲向き。高域が明るくないから、独特の寂寥感を含んだ叙情みたいな味がギターに感じられるし、ボーカルも甘く切ない。それでいて音がぎっしりじゃなくて、ほどよく距離を取って奥行き感を伴って立体的に囲む感じがあるから、季節感のある情景の流転と広がりみたいなものが音の広がりに感じられる。
Shiki No Uta (Tribute to Samurai Champloo) (Japanese Version)
坂本真綾「おかえりなさい」
アコースティックギターのコシを重視した感じと、濃いめのシンバルの明瞭な温もり感に包まれて、ボーカルが甘くふっくら楽しめる。適度な温度感と音の広がりを感じさせる少し奥行きを出しながら包み込む音場に、叙情が感じられる。音圧は抑えめで少し奥ゆかしい感じも、なんだかぬくくて気持ちいい。
【5】総評「通信品質はややすっきりしないが、音質はすっきり暖か、甘く開放的で聞き心地が良い」
立て続けに同じ価格帯でかなり通信品質が高い機種を多く手に入れたせいか、最初はこの機種の通信品質には若干物足りなさを覚えた。しかしよく考えてみると、最近の機種がたまたま通信品質高めだっただけであって、この機種くらいの通信品質は価格帯では及第点を充分にもらえるくらいであると思われる。音質は中域でほどよく開放的で、色も濃く、自然なコクと開放感をバランス良く味わわせてくれる印象で、悪くない。中域充実系ではあるので、高低の抑揚は少し抑えられている印象を受けるかも知れないが、奥行きと左右への広がりでカヴァーしているといったイメージだ。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。