オーディオテクニカ ハイレゾ対応 ダイナミック密閉型カナルイヤホンaudio-technica ATH-CK2000TI
【0】免責事項
このレビューは販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。
テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。
一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。
【1】装着感/遮音性/通信品質/ビルドクオリティ
装着感
直垂らしの装着感は悪くない。シュア掛けはできなくはないが、ケーブルが柔らかいので、ややゆるい付け心地になる。シュア掛けしたいなら、たぶんリケーブルした方が良い。
遮音性
遮音性はそこそこ高め。
ビルドクオリティ
ビルドクオリティは高く、A2DCコネクタの着脱もスムーズ。ハウジングの接合面もきれい。
【2】イヤーピース考察
この機種のノズルの太さは普通。比較的万能にイヤーピースを合わせやすい。
- AZLA SednaEarfitを使うと、高域の抜けがわずかによくなり、低域も濃さを増してコントラスト感よく聞こえる。音の広がりも少し増して感じられる。
- SONY トリプルコンフォートは中高域から高域にかけてすっきり明るめに音が抜けるようになる。。
- JVC スパイラルドット++は音場に広がりが感じられ、音の濃淡が丁寧に感じられるようになる。
- final E Clearは中高域以上に開放感が出て、ボーカルの抜けがよくなり、前面に出てくる。ピアノも少し明るくなる。
- Symbio Eartipsは低域と中域の厚みが増して聞こえる。
- Acoutune AET08は低域の厚みが出て、音場全体が少しマイルドで濃厚な感じになる。
【3】音質
総合:24/30
高域:7/10
拡張性は高くなく、金属光沢をはっきり浮かび上がらせる、適度な暗さの高域
- 質感:ややクール、硬質
- 明るさ:暗め
- 拡張性:普通
- 派手さ:やや派手
- 緻密さ:やや緻密
高域の抜けや空気感はあまり強調されず、中域の色味を濃く感じさせる味付け。弦楽もあまり高域を強調せず、つややかなあたりを一番聞かせるバランス。ボーカルはやや中域充実に聞こえやすい。中高域よりは高域が少し引っ込んで感じられるところがある。
中域:9/10
色味が濃く、太い音が充実する中域
- 質感:ややウォーム、太め、輪郭はっきり
- 明るさ:普通
- 横幅:広め
- 奥行き:広め
- ボーカル:自然
中域では音は太めで濃く、輪郭もかなりはっきり出るので充実感が感じられるとともに、定位感や分離感もはっきりしている。人によってはもしかすると音がカチカチかたまっているように聞こえるくらい濃厚で、油絵のような濃度感がある。
低域:8/10
クリアで下まで見通せる低域
- 質感:ややウォーム
- 明るさ:暗め
- 重心:低め
- 重み:普通
- 重低音:地熱感少しあり
100hz~40hzまでブーッという太い振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。
低域ではあまり中低域を強調せず、深くまでクリアに聞こえる印象がある。幅は一様に聞こえ、中域をしたから少し広めに支えている。色味はウォームな方ではあるが、ニュートラルに近く、癖をあまり感じない。
【4】官能性
小田和正「そのままの君が好き」
中域を濃く、輪郭よくはっきり聞かせるので充実感がある。音の根立ちがしっかりしており、ドラムやギター音に太く自然な立ち上がりを感じる。ボーカルは充分に暖かく太く、豊か。
秦基博「水彩の月」
中域に充実感あり。ピアノの音に深みと厚みがあり、輪郭も明確ではっきり聞こえる。高域は穏やかに閉じられているので、中高域よりしたくらいに濃厚感が滞留する感じがあり、ボリューム感もある。
majiko「狂おしいほど僕には美しい」
中域に充分音が集まり、充実している。かなり音が太めで密度感があるので、篭もる感じが出るかなと思ったが、音の解像感はよく、音がマスキングされる感じはない。根立ちが良く太く林立する感じがある。
TVアニメ「坂道のアポロン」「Moanin'」
中域に濃厚感があり、音の根立ちもよいのでJAZZ向きの重厚感を感じる。シンバルの濃く、粒立ちも良い音はかなり精彩がある。金管は高く抜けないで、中域で濃厚な味わいを出す。音が太く輪郭もよく鮮やか。コントラバスやドラムの存在感も強すぎず、中域の厚みをしっかりと味わわせつつ、少し広めに音場を支えて豊か。
ヨルシカ「靴の花火」
中域に充実感があり、音が太いので、迫力がある。音圧も少し強めで密度と濃厚感、音の厚みと重みがはっきり感じられる。ボーカルのやや暗く中域で充実する感じが、この曲にぴったりな気がする。ちょっと鬱屈した雰囲気が思う存分味わえる。濃いギターと厚いドラムがその鬱屈感を濃密にする。
奥華子「恋つぼみ」
豊か。ピアノ音と管楽に厚みと濃度があり、輪郭も太くはっきりしており、充実している。ボーカルも中域で厚みを出して、豊穣。中高域の上の方では少し明るく、ふっくらとした甘味がきれいにたゆたう。
【総評】太く充実した根立ちの良い音を奏でる豊かな中域が魅力
中域の濃い太い音に魅力が感じられる。濃厚で充実感のある太い音がしっかりと音楽を奏で、輪郭も良い。その中域を支える低域も、ゆったりとした広さを持っており、豊か。とにかく音の厚く、くっきりした根立ちのよいところが味わい深い。JAZZやロック、ポップスをぶっとい感じで聴きたい人にはかなり有力候補だろう。男声ボーカルも女声ボーカルも濃厚。
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