- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い。通信品質は価格帯では標準的な品質」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「インターフェースはタッチ式」
- 【3】音質「基本的に音がゆるくなったA8-C5です」
- 【4】官能性「A8-C5のほうがくっきり聴かせてくれるので、よりメロウに感じます」
- 【5】総評「A8-C5がほぼ同じ価格で手に入ることを考えると、苦しい」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良い。通信品質は価格帯では標準的な品質」
おすすめ度*1 | |
---|---|
ASIN | |
スペック・評価 | |
連続再生時間/最大再生時間 | 6h/120h |
Bluetoothバージョン | 5.0 |
対応ワイヤレスコーデック | AAC/SBC |
防水性能 |
IPX7 |
音質傾向 |
中域と中低域重視の弱ドンシャリ、ウォーム、マイルド、もっこり、メロウ、まろやか、ボーカルフォーカスが良い |
イヤホンは小型で耳に良く収まる。IEMのように傾斜が設けられていて装着感は良い。遮音性はこの価格帯の完全ワイヤレスでは結構高め。
対応コーデックはAAC/SBCとあるが、私のテスト環境ではSBCでしか使えなかった。ONKYO GRANBEATとHiby R6 Proで交互に繋ぎながら接続品質をみた。新宿駅構内から街中を歩いてテストしたが、人が多いところでは普通に途切れる。レシーバーはたぶんL側で、送信機器を左側のポケットに入れれば通信品質は若干改善するように思われるが、どちらにしても左右は途切れやすい。
しかし、混雑している場所で途切れやすいだけで、人が多くなければ駅構内などでも通信が安定しているので、おそらく価格帯では標準クラスの通信品質だと思う。
テスト環境
今回のテストはHiby R6 ProとONKYO GRANBEAT、SONY NW-A55で行っている。
【2】外観・インターフェース・付属品「インターフェースはタッチ式」
付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Micro-B)、専用充電ケース、説明書。インターフェースはタッチ式。反応はワンテンポ遅れるくらいの普通の反応速度。
充電ケースはモバイルバッテリー機能付きです。
【3】音質「基本的に音がゆるくなったA8-C5です」
外観が似ていたので、気になっていたが、音を聴いてみるとHiyoo A8-C5と高低バランスがそっくりである。ただA8-C5に比べるとどうも感動が薄かったので、双方をSONY NW-A55に繋いで、よく聞き比べてみた。そうするとやはりハウジングデザインとドライバーは一緒のようだが、チップが違うらしく、A8-C5の方が明らかに奥行き感や音の発色、コントラスト感、輪郭感などでくっきりした手応えが感じられ、Touch Two C5のほうは全体的に音がもっこり、もっさりしていて輪郭が緩い印象を受ける。またA8-C5は重低音が結構はっきり感じられたが、Touch Two C5の重低音はゆるくなっており、ぼやっとしている感じがある。そういうわけで、個人的にあえて踏み込むと、同じ価格であれば、Hiyoo A8-C5を買った方がたぶん満足度は高いと思われる。中高域のくっきり感も違うので、A8-C5のほうが音が活き活きと、そしてみずみずしく聞こえやすい。
美点
- ボーカルフォーカスに優れる
- 音が丸くまろやか
- 音に厚みがある
- 低域もボリューム感があり、柔らかく温和で暖かい
欠点
- 高域が暗い
- 中高域も派手さがなく、音が全体的に地味
- 立体感に欠け、音が平板に聞こえやすい
- 低域のスピード感は少しゆったり
[高音]:高域は中域より奥に位置し、マイルド系。シンバルの粒立ちは悪くないものの、存在感は強調されず、背景に聞こえてくる感じがある。ボーカルの抜けも抑えめで、アイドルソングのような明るいボーカル曲は暗めに聞こえる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中域ではギターとボーカルによくフォーカスされ、ギターの存在感と厚みが強い。ピアノも厚めで、全体像としては暖かみと広がり、穏やかさを併せ持つ。そういう意味で基本的な性格はA8-C5に準ずるが、中高域の発色が控えめで見通し感は若干悪くなっており、よりもっさりした柔らかい感じになっているため、メリハリはゆるめに感じやすい。また演出感も抑えめになる。
[低音]:100hz~40hzまで、重たい振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。低域では中低音はそれほど強調されず、中低音の下辺から重低音あたりの広がりが意識されやすく、重心が低い。A8-C5に比べると低域も少し見通しが悪くなっていて、深いところの広がりが感じづらくなっている。そのためどことなく中低域の優しさが感じられ、よりウォームで温和な低域に感じられる。スピードコントロールはゆるめ(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:屈折ピラミッドのように底辺が広かったA8-C5に比べると、深いところの広がりは抑えめになり、中域の真ん中と中低域に強調がある感じになった。そのため縦軸がやや狭くなった感覚があり、それに伴って音の強弱がゆるくなった感じが出て、若干ナロウレンジになったように思われる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムセットはタムの手応えはやや柔らかく粘り、少し余裕を持ったバスドラキックが重めに響く、バッツンバッツンといった感じのゆったりしたサウンド。ハイハットは濃いめだが、奥の方で聞こえるので存在感はそれほどでもない。しかし中低域が膨張しないので、ドラムにシンバルがマスキングされる感じはない。基本的にはドラム優位の下に重い重厚サウンド。A8-C5に比べるとバスドラの深みが少し浅く、ドラムは全体の重みがやや軽い印象を受ける(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男声ボーカルも女声ボーカルも温かみのあるふっくら系サウンド。どちらも色味は濃いめで前面にしっかり出てくる。明るさは強調されず、甘味や湿っぽさのある感じの声色。A8-C5に比べると中高域でツヤが強調される感じがなくなり、ややドライでもさっとした感じになった。
【4】官能性「A8-C5のほうがくっきり聴かせてくれるので、よりメロウに感じます」
鹿乃「day by day」
【SONY NW-A55で鑑賞】この曲をA8-C5と聞き比べてみた。ぶっちゃけまず中高域の聞こえがA8-C5のほうがしっかりしており、ボーカルの明るさ、ギターのカッティングの輝きと浮き上がり、エッジと発色、シンバルの鮮やかさにかなりの差を感じる。また中域下方の静寂感が違い、A8-C5のほうが清潔でより背景がしっかりしているのに対し、Touch Two C5のほうが静寂感が足りず、中高域から中低域にゆるくつながっている感じになってしまっている。そのせいで低音の存在感もやや甘い。全体としてはTouch Two C5のほうがよりボリューミーで、ボーカルもより甘味を感じさせてくれるところもあるが、メリハリ感では少し物足りなくなっており、個人的にはA8-C5のほうが好み。
昆夏美「虹のかけら」
【SONY NW-A55で鑑賞】この曲も聞き比べてみると、まずドラムの躍動感が違う。Touch Two C5は中低域と中域の境目が緩く、少しぼんやり篭もった感じがあるのに対し、A8-C5はここをしっかりパリッと輪郭を感じさせて描き分けてくるので、ドラムのパンチが明確でより躍動的に感じられる。またベースの沈み込みもよりしっかり浮かび上がる。さらに中高域のシンバルやギターの刻みもより明るく明瞭。この曲ではやはり中高域の鮮やかさが風味に大きく影響しそうなので、A8-C5のほうが優れていると言えそうだ。
虹のかけら(TVアニメ『一週間フレンズ。』オープニングテーマ)
KOKIA「愛はこだまする」
【SONY NW-A55で鑑賞】この曲を聞き比べてみるとTouch Two C5も悪くないかもと少し思えるかも知れない。A8-C5が中高域くっきりめで少し中域で透明感を出すのに対し、Touch Two C5の音はややぼんやりふっくらで甘味がある穏やかな感じがある。ボーカルが若干明るさが足りなくて埋没気味な印象も受けるが、調和的で穏やかな雰囲気を感じる。A8-C5はボーカルは中高域に明るい感じがある分だけもう少し伸びが良く、息感も少しくっきりして聞こえ、空間が澄んで透明感が感じられる。Touch Two C5で感じたボーカルの埋没感はほとんどない。あれ?やっぱA8-C5のほうが上位互換かな?
【5】総評「A8-C5がほぼ同じ価格で手に入ることを考えると、苦しい」
音の好みはあるので迂闊なことは言えないけれども、やはりA8-C5のほうが解像度は高く聞こえるはずなので、両者がほぼ同じ値段で売られている場合はこちらを敢えて選ぶ必要性をあまり感じない。通信品質の面でもA8-C5のほうが私のテスト環境では優秀だったので、なおさらこちらを選びづらいと思われる。
ところでTouch Twoシリーズはこれで、初代、V2、C3、C5と確認されたわけだが、C4は見たことがない。どこかにいるはずだと思うんだが。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。