AfterShokz Aeropex 骨伝導ワイヤレスヘッドホン 防水bluetooth5.0 コズミックブラック
- 【1】装着感/遮音性/通信品質「薄型で一般的な眼鏡やサングラスと干渉しづらく、装着感は良い。通信品質はそこそこ良い」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「インターフェースは物理式。反応は良い」
- 【3】音質「中高域で適度に解像度を強調しながら、中域に豊かさがあり、温和で透明感のある音響を実現している。低域は音圧低めだが、骨伝導でディテールが補われるので、存在感は充分」
- 【4】官能性「充分に広がりを出してウォームな聴き心地の安定感を出しつつ、艶やかに聴かせる、特に女声でボーカルフォーカス感の強い音響。基本的に万能系だが、JAZZやオーケストラなんかではティンパニの拍動や低域弦楽が弱く感じるかも知れない」
- 【5】総評「骨伝導が欲しいって?買うならこれでしょ!」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「薄型で一般的な眼鏡やサングラスと干渉しづらく、装着感は良い。通信品質はそこそこ良い」
おすすめ度*1 | |
---|---|
ASIN | |
スペック・評価 | |
連続再生時間/最大再生時間 |
8h/- |
Bluetoothバージョン | 5.0 |
対応ワイヤレスコーデック | SBC |
防水性能 |
IP67 |
音質傾向 |
弱ドンシャリ、爽快、キラキラ、ツヤツヤ、ほっこり、ポンポコ、鮮やか、のびやか、温和、朗らか、滑らか、華やか、嫋やか、しっとり |
フレームデザインはかなり工夫されていて、耳にかけるところは薄くなっているので、ほかの耳掛け製品(眼鏡・イヤホン・サングラス)などと共存しやすい。また上からヘッドホンを被ることも可能である。
骨伝導なので遮音性はない。
対応コーデックはSBCのみ。ONKYO GRANBEATとHiby R6 Proで交互に繋ぎながら接続品質をみた。テストしたのは秋葉原駅周辺だが、駅構内ではそれほど途切れは感じない。家電量販店店内でもほぼ途切れない。一方で人通りの多い通りや交差点付近で途切れが見られた。
通信品質的には上位とはいかないまでも、そこそこ安定しているだろう。私の環境では、たとえばSONY WF-1000XM3とこれとどっちが安定しているかというと、WF-1000XM3である。
テスト環境
今回のテストはHiby R6 ProとONKYO GRANBEATで行っている。
【2】外観・インターフェース・付属品「インターフェースは物理式。反応は良い」
付属品は充電ケーブル(独自コネクタ)、低域改善用の耳栓、キャリイングケース、説明書。インターフェースは物理式。反応は良い。
【3】音質「中高域で適度に解像度を強調しながら、中域に豊かさがあり、温和で透明感のある音響を実現している。低域は音圧低めだが、骨伝導でディテールが補われるので、存在感は充分」
音質的には艶やかで光沢のあるあたりの中高域を丁寧に聴かせつつ、中域にも広がりがあって、豊かに膨らむ抱擁感がある。低域は全体のバランスから見ると出音はやや抑えめで、音圧を抑えた清潔な感じになるが、重低音の地熱感は骨伝導の振動で補われるので、一般的なイヤホンで低域を聴く感じとは異なるところに違和感を覚えるかも知れないが、ディテールは充分に感じられる。
遮音性はほぼないので静かなところでないと、音のディテールはややぼやけやすいところがあるが、これまで私が聴いてきた骨伝導の水準を軽く越えているだけでなく、聴き心地とディテールにおいて、かなりの高水準を実現しているのに率直に言って、驚いた。
低域改善用の耳栓が付いてきます
下のような低域改善用の耳栓が付いてくる。効果について個人差があるかも知れないので、今回は詳しく触れないが、耳栓を装着すると、中低域の量感が増し、中域でより豊かになり、ボーカルフォーカス感が増す。曲によっては篭もって感じられる場合もあるので、好みによって使い分けると良い。
音質因子評価
音質因子 | 評価 |
鮮やかさ (鮮やか/色味が薄い) |
鮮やか。低域だけ薄味だが、中高域で充分なツヤ、中域で充分な広がりを感じられるため、音の風味はかなり豊かに表現され、充分に鮮やかな印象を受ける。 |
鋭さ (鋭い/鈍い) |
普通。シンバルやギターにツヤがあり、シャリシャリした感じは鮮明に出るが、上の尖りは空気に溶け込む優しい感じである。また中域に充分な豊かさがあるので、音に適度な丸みが出ている。 |
明るさ (明るい/暗い) |
明るめ。中高域の艶やかさがかなり鮮やか。中域も充分に厚みを出して色づくが、高い刺激音は多くない。ギターのじわじわしているあたりやピアノのポロンとしたあたりなどで温和な明るさを感じる。そのため昼白色から電球色くらいの生活空間程度の明るさを感じる。 |
派手さ (派手/地味) |
派手め。音に色づきは強いので鮮やか。派手なほうの出音である。 |
硬さ (硬い/柔らかい) |
やや柔らかい。中高域でギラつく感じはあるのでやや硬い印象を受けるが、シャープネスは強くなく、中域は膨らみ豊かな広がりがあるので温和で、低域は音圧的に主張が少なく、圧迫感がない。 |
尖り (尖っている/丸みがある) |
やや丸みがある。中高域の出音が派手でピアノ音などにわずかにキンキンする硬さはあるが、中域が豊かに膨らんで音を丸めてくれる感覚がある。基本的に音場には暖かみを感じる。 |
穏やかさ (穏やか/騒々しい) |
やや穏やか。高域ので音が派手だが、音楽表現の全体像は中域充実しており温和で、高域と低域にくどい感じがなく、音が混濁して聞きづらい感じがない。 |
力強さ (力強い/嫋やか) |
普通。低域は量感をほどよく抑え、キレを強調する高域でもない。骨伝導の振動をパワフルと表現できるかどうかが難しいところだが、個人的には、振動音を含めても低域は音圧的には少し緩い印象がある。 |
豊かさ (豊か/貧弱) |
やや豊か。高域・低域に比べて、中域に充実感があり音の広がりがよく、抱擁感がある。 |
太さ (太い/細い) |
やや太い。音はどちらかといえば広がり重視で、包み込んでくる感じであり、やや輪郭をぼやかしながら聞こえてくるので太めに感じるだろう。 |
手触り (ざらざら/滑らか) |
やや滑らか。全体的に中域の広がりが良く、丸みが出る。 |
粒感 (きめの細かい/粗い) |
細かめ。ディテール感を強調する感じではないが、中高域でかなり緻密になるので、シンバルやギターの音には繊細な感じがよく出る。 |
清潔感 (澄んだ/濁った) |
やや澄んでいる。中域は暖かいが、低域にマスキングされる感じがなく、透明感がある。中高域も光沢を出すので、ポロポロとした、水晶のような温和な透明感を出してくれる。 |
潤い (潤いのある/乾いた) |
潤いのある。中高域が鮮やかでつやっぽさが強く、ボーカルもみずみずしい。 |
重さ (重い/軽い) |
普通。低域支配力が強くなく、中域の真ん中かやや上くらいに重心を感じる。 |
ボーカル因子評価
ボーカル因子 | 男声 | 女声 |
澄んでいるか (澄んでいる/濁っている) |
やや澄んでいる | やや澄んでいる |
明るいか (明るい/暗い) |
明るい | 明るい |
伸びやかか (伸びる、突き抜ける/天井感がある) |
やや伸びやか | やや伸びやか |
潤っているか (しっとりしている/乾いている) |
ややしっとりしている | ややしっとりしている |
太いか (太い/細い) |
やや太い | やや太い |
濃いか (濃い/薄い) |
普通 | やや濃い |
子音が強調されるか (目立つ/目立たない) |
普通 | やや目立つ |
空間因子評価
空間因子 | 評価 |
主に中域の密度 (ぎっしり/スカスカ) |
ややぎっしり |
主に高域の高さ (抜けが良い/天井感がある) |
やや抜けが良い |
主に低域の深さ (深掘り感がある/浮き上がりがよい) |
普通 |
主に低域と中域の横幅 (広い/狭い) |
やや広い |
主に中域の奥行き感 (奥まる/前屈み) |
普通 |
美点
- 中高域のディテールが良い
- 中域に温かみがあり、音の広がりも良く、抱擁感があり、聴き心地が安定している
- 低域は量感を抑えて清潔で見通し重視だが、地熱感は骨伝導で補われるので、一般的なイヤホンとは少し印象が異なるが、ディテールは高い
- 音量を上昇させても圧迫感が出にくい
欠点
- 骨伝導の振動もあり、耳に入れるイヤホンに比べて音の輪郭が雑に思われる可能性がある
- 環境音が多い場所では音が埋没しやすい
- 人によっては低域は明らかな重量感不足に感じられる可能性がある
- 音は全体的にキレを強調する感じではなく、メリハリ感は低め
[高音]:高域はマイルドカーブして減衰している。減衰は空気に溶け込む感じで自然。中高域でかなり艶やかさと繊細さが感じられるバランスになっているので、解像度は高く感じられるはずだが、シャープネスは強くないウォームな印象に感じるはずである(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中域は真ん中に充実感があり、ボーカルに充分な濃さと実体感があって、ピアノや弦楽の音にも広がりが充分に感じられる。これらの楽器音はガラス質の光沢感を感じさせつつ、厚みと深みも出してポロンという感じの温かみのある質感を充分に出してくれるだろう。またロックではギターに充分な縦幅と厚みを出してくれ、鮮やかにジュワジュワするエッジ感を出しつつ、横の広がりと少しの黒みも感じさせてくれるくらいのバランスになる。ギターの音色に潤い感は出やすい。中域下は少し清潔にされているので、奥行き感が感じられるようになっている。
[低音]:音の振動波自体はかなり淡い感じでぼーっとしている振動である。100hz~50hzくらいまで素直に減衰する印象で、40hz以下はほぼ無音。骨伝導振動は100hzでかなり強く、周波数を下げていくにつれて穏やかになるが、40hzくらいまで感じられる。中低域は少し清潔な印象でパンチの強調を感じない。一方、キックやベースのあたりでは骨伝導振動が強く出るので、その地熱感、地鳴りを肌で感じさせてくれる。低域は普通のイヤホンとは音響原理が異なるので、厳密にほかのイヤホンと比較して論じるのは難しいが、一般的に、見通しよく、ベースで深みを感じる印象を受けるはずである。重低音はどちらかというと振動になっており、音が濃く黒く出るわけではないので、重みのほうはあまり感じないと思われる。骨伝導振動を除けば、音自体は浅い感じなのでリズムコントロールは良く、低域は迫力不足に思うかも知れないが、ディテールは良好に感じるはずである(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:中域から中高域にディテールの集中がある、温和で伸びやかなサウンドに聞こえるはずである。厳密にはドンシャリとは言いづらいが、中域下から中低域は後退して清潔感を重視している印象を受け、重低音は骨伝導でややはっきりと出るので、ドンシャリに近い立体感を感じると思われる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:バスドラムキックやフロアタムの音は骨伝導振動になりやすく、本体全体の振動につながりやすいので、これらの音が強い曲ではややリズムパート全体の印象がガタガタして感じられる可能性はある。上辺ではタムやスネアがやや膨張感を出す暗めのパッツンパッツン、ないしバッツンバッツン系のドラムスになる。シンバルの浮き上がりは良く、ハイハットはやや濃いめに、非常に艶やかにチンチンチリチリしたあたりを聴かせてくれる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男性も女声も中域で充分に甘味を出し艶やかになる。色味も濃いめ。男性ボーカルだけ相対的に色味が薄くなりやすいが、それでもボーカルフォーカスは良く、基本的に前進して聞こえてくるはずである。女声ボーカルはふっくらとした実体感と温かみがありながらも、少し高いところで艶やかさを増す傾向にあるので、大抵の曲でサビに向かうにつれ、しっかり鮮やかになってくれるメリハリ感があるだろう。ツ音系の子音は少し尖るが、基本的に丸い声色。
【4】官能性「充分に広がりを出してウォームな聴き心地の安定感を出しつつ、艶やかに聴かせる、特に女声でボーカルフォーカス感の強い音響。基本的に万能系だが、JAZZやオーケストラなんかではティンパニの拍動や低域弦楽が弱く感じるかも知れない」
菅野よう子「White Falcon」
【ONKYO GRANBEATで鑑賞】上の動画は実演奏版である。私が聴いたのはサントラ収録版なので、若干音の印象が異なっている可能性があるが、アレンジなどはされていないので、おそらく基本は変わらないはずである。
さて、このイヤホンでこの曲を聴くと、音の広がりも良く、弦楽音や金管音に充分な艶やかさとみずみずしさがあって華やかで、奥行き感もあり、低域管楽にドシッとした重みもある。しかし一方で、ティンパニの音に膨らみがなく、低域弦楽も薄味で床面がやや清潔すぎてスカスカする印象を受ける。骨伝導の振動感は強く出るので、音の一番底の深みの持つ鳴動感はむしろはっきり肌で感じられるのだが、ティンパニの音に厚みがなく薄いために重厚感にいまいち欠ける。このイヤホン特有の、ディテールは良く、深さも感じられるが、重みが感じられない低域はしたがって、フルオーケストラのような重厚で低域の情報量の多い音楽をいまいち不得手とするところがある。
∀ガンダム オリジナル・サウンドトラック 2 ディアナ&キエル
(K)NoW_NAME「rainy tone」
【ONKYO GRANBEATで鑑賞】この曲の、中域で透明感と暖かみのある感じがよく出る。出だしのシンバルはシャリシャリというよりはシュリシュリに近く、質感も滑らかで、温かみのある砂粒感のある音になる。ボーカルはふっくら感を少し出しつつ、ツヤもあって潤いと甘味も感じられる、みずみずしいボイス傾向。ギターが膨らみやすい曲だが、その少し湿ったじんわりしたあたりを強調するので、温度感と湿度が高めに感じる。
ところで低域だが、まずドラムは大抵のイヤホンでもしかすると結構ドコドコ膨らんでやや重たげな感じになると思われるが、このイヤホンではそこは清潔に、重さをあまり感じさせずにベースの地熱感を骨伝導振動込みでやや強めに感じさせるので、少しベース優位で深いところでギュンギュンくる感じになる。このドラムがどちらかというとスコスコ清潔で、ベースの方で抉ってくるバランスは、聴いてみると個人的にはなかなか好み。低域が清潔なおかげで、少し泣き出しそうなボーカルが浮き上がって、しかもベースのじんわり感とも合わさって、印象的に聞こえてくるように思えるからだ。
そういうわけで、このイヤホンで聴く、こういうしっとりしたロックは非常に情感に訴えかけてくる気がする。たとえばAimer「StarRingChild」とか。
突如始める、#Aftershokz Aeropexで聴くオススメ曲その1。Aimer「StarRingChild」。潤い感と熱気に満ちたジュワジュワギターと清潔でうるさくないドラム、ベース優位の深みのある表現、しっとり感の強い泣き出しそうなほど切実なボーカル。素直に心に刺さる🤩https://t.co/6egeyAv1OX
— audio-sound @ hatena (@audio_sound_Twr) October 28, 2019
「灰と幻想のグリムガル」エンディング・テーマ「Harvest」
西沢幸奏「Brand-new World」
【Hiby R6 Proで鑑賞】まずこの曲はところどころガラス質の透明感を強調するシーンがあるが、光沢感とツヤがよく感じられるこのイヤホンはそこでかなり透徹した感じを強く出してくれるので気持ちが良い。Hiby R6 Proにもやや潤い感を強調する傾向があるせいもあるだろうが、ギターとボーカル、シンバルに潤い感があり、全体的に活き活きと艶やか。ボーカルの息にじわっと媚びた甘味がのるセクシーさがある。唇のリップの潤い感が見える感覚すらある。本来は床面を強調すべきドラムは清潔系でやや輪郭が緩く、量感的にもパッとしないのが好みを分けそうだが、ボーカルのみずみずしく妖艶な声色と、ウォームで実体感がありながら、奥行きがあり透明感も感じる音場に、かなり満足できる印象を受ける。
【5】総評「骨伝導が欲しいって?買うならこれでしょ!」
骨伝導をさんざん小馬鹿にして来た私だが、Aeropexの音はかなり完成度が高く、むしろ同価格帯のイヤホンより装着感が安定しており、耳に圧迫感がないだけ優れているとすら言える。とくにカナル型イヤホンではどうしてもおろそかになりやすい低域のディテール感は重低域の鳴動が骨伝導になってる分だけより分析的になっており、重みには欠けるが、深さと見通し感は非常に良くモニター的である。中域の充実感はすでに充分なレベルで、艶やかな音を開放的に聴かせてくれる。
実を言うと、これまで店頭試聴でAfterShokz製品は何度も聴いてきたが、ぶっちゃけ魅力を感じてこなかった。しかしそれはやはり遮音性が低すぎて店舗のうるさいところではその魅力を十分に感じられなかった可能性が高い。遮音性の低さはノイキャンヘッドホンを被るなどしてカバーすることは出来る。
Aeropexを手に入れてからは私の外出時のオーディオは「完全ワイヤレス+Aeropex+ノイキャンヘッドセット」のスタイルが一般的になり、なんだかんだいって手放せなくなってしまった。
まとめ
- 音質は骨伝導では最も良く、とくに女声ボーカルの艶やかで潤いのある色気は秀逸
- 通信品質やバッテリー性能もまずまず満足できる
- 遮音性は低い
AfterShokz Aeropex 骨伝導ワイヤレスヘッドホン 防水bluetooth5.0 コズミックブラック
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。