「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はAipower KSOUND EP-K06NCです。Aipowerはモバイルバッテリー製品やオーディオ製品などで有名なAUKEYの姉妹ブランドです。どういう棲み分けになっているのかはよくわかりませんが、Aipower製品はアクティブノイズキャンセリングなどの付加価値のあるオーディオ製品を相対的に多くラインナップしているブランドのようです。このEP-K06NCも完全ワイヤレスイヤホンのアクティブノイズキャンセリング搭載機種として登場し、しかも価格が安いのが特徴です。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:5h/25h
- 防水性能:IPX5
- 対応コーデック:AAC/SBC
パッケージ
イヤホンのパッケージ全体はこの価格帯では標準クラスです。付属品はイヤーピース、充電用ケース、充電用ケーブル(Type-C)、説明書です。
装着サンプル
装着感は良好で、わりと適当に嵌めてもしっかり収まると思います。遮音性はそこそこです。
接続品質
価格帯では標準クラスです。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では接続は良好です。距離耐性もそれなりに優秀ですが、5mくらい離れると少し乱れます。それ以上離れても通信はそれなりに安定しています。ただし、遮蔽物がある場合はほとんどつながりません。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、私にはほとんど聞こえません。
ANC性能&ヒアスルー
まずヒアスルーですが、結構自然です。ホワイトノイズ的な音も少なく、この価格でこれくらいのヒアスルー性能があれば十分なんじゃないでしょうか。この価格くらいの機種はこれまでヒアスルーは不自然なものが多かったのですが、この機種のヒアスルーはかなりいい気がします。
ANCの効果は実際のところあまり感じないのですが、イヤホン本体の遮音性と合わせて公称の20dBくらいのノイズカットは実現しているようです。下はヘッドホン(beyerdynamic DT990 Edition 2005 600Ω)から基準ノイズを流して測定し、その後標準イヤーピース Mサイズをつけ、ANCをONにして、もう一度ヘッドホンから基準ノイズを流し、このイヤホンの遮音性能を1/6オクターブごとに測定したものです。今回の測定では、基準ノイズに対し、20hz~20khzの可聴域での平均遮音性能は13.43dBくらいありました。わりと優秀なんじゃないでしょうか。高域のノイズカット幅が結構大きい気がします。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [AET07 M装着時 ANCあり]左右別
- [AET07 M装着時 ANCあり]左右平均
- [AET07 M装着時 ANCあり]左右別(自由音場補正済み)
- [AET07 M装着時 ANCあり]左右平均(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース M装着時 ANCあり]左右別
- [標準イヤーピース M装着時 ANCあり]左右平均
- [標準イヤーピース M装着時 ANCあり]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース M装着時 ANCあり]左右平均(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※「AET07 Mサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャーを全体的に確認すると、低域が少し盛り上がっていますが、全体的にはフラットに近いです。わずかにU字で少しウォームサウンドといった感じでしょうか。
低域の重みは少し強調されます。ただし中域も充分前進しているので、低域のせいで聞こえにくい印象はあまりないと思います。低域の熱気は少し中域に滲み出して聞こえますが、中高域の光沢感、賑々しさもよく強調されるので、濁りが強いとは感じないと思います。低域のレイヤリングは悪くなく、深いところもノイジーにならないので、エレキベースは少し理性的ですが、わりとはっきりしていてロックは満足できる気がします。バスドラムキックも締まりがよい印象です。レイヤリングはわりといいんじゃないでしょうか。
高域方向がマイルドでロールオフもわりと早いので、高さはあんまりありませんが、そのおかげで中域の甘味が目立つようになっており、アコースティックな曲なんかとは相性が良いですし、少しレトロな雰囲気もあります。ディテール感は細かいというほどではありませんが、楽器音の輪郭はしっかりしており、ボケて聞こえる感じはほとんどないと思います。
ボーカルフォーカスは悪くありませんが、低域はわずかに前進的で、中高域も少し派手なので、人によっては埋没的に聞こえるかも知れません。ボーカルは少し明るく、上向きで、子音の尖りはありませんが、息の伸びが感じられます。エレキギターやアコースティックギターのエッジの色づきが良く、スネアもわりとスコッとキレが良く感じます。
中域に少し音が集まるかなとは思いますが、わりと万能にリスニングできそうで、おすすめしやすい機種です。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。SBCで接続し、ANC機能をONにしたうえ、標準イヤーピース Mサイズを使用しています。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
少しウォームですが、フラットに近く、中域が丁寧に聞こえ、万能に近い音がします。ヒアスルーやANCについても価格の割に優秀な気がしますし、これらの機能の入門機としてはかなりいいのではないでしょうか。
気になる点としては通信品質がどうも物足りない気がするので、混雑した場所なんかではもしかすると不安定かも知れないところだけです。
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