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【ANC搭載ワイヤレスヘッドホン BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700 レビュー】デザインと装着感、そして何よりノイキャン性能が素晴らしい。音質もより見通しが良い音になった。課題は通信品質。

ヘッドライン

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BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700 ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン Amazon Alexa搭載 トリプルブラック

 

 

 【0】BOSE党が待ち焦がれた新型ノイキャンヘッドホン

 かつては圧倒的なノイキャン性能で業界に君臨していたBOSE。しかし最近はWH-1000XM3でSONYが天下のBOSE様のQC35Ⅱのノイキャン性能をついに追い抜いたという評価が一般的。去年(2018年)のクリスマス商戦前にはBOSE党陣営には悲壮感すら漂い、「クリスマスにはQC45が出るはず!なんでリリース来ないんだ!」という渇望の声に対して、実際のBOSEの施策は製品の価格調整のみの対応で新商品なしというややさみしい展開に。その後、SONYはWF-1000XM3で完全ワイヤレスイヤホン市場に本格ノイキャン時代を招来し、いまやヘッドホン・完全ワイヤレスイヤホンなどで業界の覇者となりつつあります。

 去年までは、ノイキャンあたりにこだわりすぎてむしろ他がおろそかになった失敗作WF-1000Xでブランドイメージに瑕疵がついてしまったSONYを尻目に、アウトレットモールなどでも積極的に攻勢を掛けてBOSE SoundSport Freeが売れまくるという状況でしたが、1年で業界の視界は変わり、BOSEはなんとなく鳴かず飛ばずな雰囲気に。完全ワイヤレスイヤホンでは来年出るノイキャン機種の情報だけ流して、WF-1000XM3のあまりの売れっぷりに動揺するBOSE党をなだめつつ、ようやく主戦場のノイキャンヘッドホンでSONY WF-1000XM3キラーを投入してきました。

 そう、それこそが「BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700(NCH700)」。これまでのQuietシリーズとは一線を画した名前を付けてきたあたり、天下を取り返す意気込みを感じます。これは期待しないほうがおかしいよね!

 

 先日台湾旅行に行った際、桃園空港でこのNCH700がWH-1000XM3といっしょに試せたんで、最近改めてノイキャンにはまっている私は早速テスト。「デザインもかっこいし、装着感も良くて、これはBOSE本気だな」としみじみ実感しました。何よりノイキャンがXM3のわずかにツンとくる感じがなく、非常にナチュラルでしかも性能的に同等っていうね。帰国後早速買いました。

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「デザインと装着感は良いが、通信品質は心許ない」

おすすめ度*1

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

ASIN

B07RSCM9ZZ

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間 20h/-
 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック AAC/SBC
 防水性能

なし

 音質傾向

デジタル、厚みのある音、輪郭パリパリ、透明感あり、見通しが良い、クリアな低域、DTM的な高解像度サウンド

 第一報でこのヘッドホンのデザイン見たときは、「装着感あんまり良くなさそう。ヘッドバンドもすぐ折れそう」って印象を持ったんですけど、実際試してみるとむしろ装着感は素晴らしく、ヘッドバンドが想像以上に伸びます。見た目で硬い質感を想像していると、案に相違してかなり柔軟なので、びびるくらい。

 たとえば低価格中華のDJヘッドホンOneOdio Studio Pro PRO-002にこのヘッドホンを被せてみると、下の写真のように普通に覆うことができます。かなり頭の大きい人でも違和感なく装着でき、しっかりノイズキャンセリングを体感することができます。まあこの予想以上の柔軟性に私は感激しました。さすがBOSEだね!

 この柔軟なヘッドバンドと優しいイヤーマフのおかげで長時間着用していても全く負担感がありません。またさらっとした材質のイヤーマフは肌触りも良く、通気性も一定程度あるので、比較的蒸れません。真夏日はさすがにじっとり汗が付きますが、それでも耳に当たる感触はさらっとしています。

 

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 対応コーデックはAAC/SBCのみ。個体差の可能性もあり、私の手に入れた個体がたまたま通信品質が弱いか相性が出ている可能性もありますが、残念ながら通信品質は満足できませんでした。完全ワイヤレスイヤホンのSONY WF-1000XM3以下です。手持ちのDAPにつないで秋葉原でロケテストしたんですけど、そもそも秋葉原でなくても腰ポケットからDAPを出し入れしただけで普通に途切れます。それほど人のいない駅構内でもプチプチします。秋葉原の路上でも結構プチプチ。通信の多い電器店の店舗内でもプチプチ。とにかく途切れる場面が結構多くて、これはかなりがっかりでした。

 私の場合、音楽目的というより単純にノイキャン目的で使っているところもあるんで、まあプチプチしてもいいかなと思いますけど、普通にワイヤレスヘッドホンとしての通信性能は高く評価できません。しかし、BOSE製品はiPhoneに対しては通信品質が高いと評判なので、Appleユーザーの人は通信品質の不安定感を感じることはないかも知れません。私はAppleユーザーじゃないので、わかりません。

 通信品質の点はむしろ安い中華のノイキャンヘッドホンOneAudio A9なんかのほうが率直に言って安定度が高いです。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProONKYO GRANBEATで行っています。

www.ear-phone-review.com

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【2】外観・インターフェース・付属品「妙に洗練されたインターフェース」

 付属品は充電ケーブル(Type-C)、キャリイングケース、AUXケーブル、説明書。インターフェースは側面に電源やノイキャンを操作する物理インターフェースがあり、曲操作などはヘッドホン部分の表面のタッチインターフェースで行います。このあたりの洗練された使い心地は人によって好ましいと思うでしょう。

 

 一方で、私は個人的にはノイキャンだけを使いたい派なので、ノイキャンだけONにするのに面倒な手間が必要なこの機種のインターフェースデザインが若干煩わしく、ノイキャンだけを使いたい場合はまず電源を入れて、そのあとBluetoothをOFFにする作業を伴います。この点もたとえば低価格中華のノイキャンヘッドホンOneAudio A9やMeloAudio Urban TravellerはノイキャンだけスイッチONにできます。装着感とかデザインでは劣りますが、ノイキャンの手軽さでは中華の格安ヘッドホンが勝るというのが私の評価です。

 

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

 

【3】音質「低域を強調しない、フラットで見通しの良いデジタル系サウンド」

 音質は中高域が一番きれいに聞こえる、厚みと透明感のある音で、輪郭は少しパリッと強調して出るのでデジタル的な感触ですが、解像度感は高いです。以前のBOSEと違って低域は厚みを出しつつも抑制的でむしろ深みを強調するようになっており、深掘り感に優れた奥行きと広さを感じさせるワイドな音響になっています。

 高域は上品に閉じていて、開放感を出しつつ、マイルドにロールオフしていき、中域は広さと奥行き感があって、音の広がりも良く、ゆったりとしています。低域は中低域の厚みもしっかり出しますが、強調は強くなく、厚みはありますが音の弾力が良くスピード感があり、むしろ沈みの良さを感じさせ、深掘り感が感じられます。はっきり言って、これまでのBOSEのワイヤレスヘッドホンの中で最高にバランスが良く、音場表現も優れたものになりました。それでいて、音のデジタルで独特の張りと厚みがある感じはいつものBOSEで、ユーザーの期待を裏切りません。ここまでの音質を実現したなら、aptXHDなどの上位コーデックに対応しなかったのは、かなり残念ではありますけど。


美点
  1. 開放的で見通しが良いが、厚みもしっかりあって少し暖かく聞き心地の良い中域
  2. 高域は丁寧に調整されていて、中域の明るさと色彩感を大事にしつつ、マイルドに閉じている
  3. 輪郭もしっかりしており、ややデジタル的に解像感をしっかり出す
  4. 低域は量感的にわずかな強調が加えられているが、しつこく膨らむこともなく、厚みがありながら、重低音までよく沈む
欠点
  1. 相変わらずBOSEっぽいデジタル系サウンドでコンピュータ的な音響
  2. 高域のディテールは抑えめ
  3. 基本的に渋みのないツルツルした音

 

[高音]:高域はどちらかというと中高域の引き立て役で、中高域に比べてディテールが強調されず、マイルドに抜けていく感じになっている。充分に明るいが、高域で派手さを強調する感じはない。基本的に適度な開放感を出しつつ、中域から気を散らさないよう配慮されている。そのためシンバルのクラッシュなどは見た目の明るさの割に意外と地味に感じるかも知れない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域は中高域でつややかさを充分に味わわせてくれる。ギターのエッジやピアノの表面に潤いのある光沢感が感じられ、ボーカルもやや明るめに伸びる。中域でも厚みは一定程度あり、しかもクリーンで見通し感も良く、奥行きが充分に感じられる。

[低音]:100hz~30hzまで輪郭に明瞭感がある振動。20hzでもわずかに振動感が残る。低域は中低域で一定の厚みを出しつつ、重低音の方が広く、クリアに沈む見通しの良い感覚がある。量感的には少し強調が加えられているが、中域に浸食する感じはない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:中高域が最もよく聞こえ、次に低域、高域といった力関係になる。音場は幅もあって広いが、どちらかというとより奥行き感に優れた立体感を持っている(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムはわずかにバスドラの広がりと重みが優位に聞こえる。タムは少し粘り腰でバスドラの熱気と黒みが少しドライに色づけする。バズンバズンという音。ハイハットは少し白味を出し、シンシンとした音(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは少し明るく質感的にもややツルッとしているが、充分に濃く、太さも感じられる。吐息に熱気もある。女声ボーカルは甘味よりは中高域のツヤが少し強めで明るく伸びる。とはいえ中域での太さも充分にあり、自然な膨らみがある。

 

【4】官能性「DTM的に音楽を楽しみたい人向け」

安月名莉子「Glow at the Velocity of Light」

【Hiby R6 Proで鑑賞】こういうデジタル系ポップスには強い印象。音の輪郭をはっきりパリッと出しつつ、ツヤと厚みのある感じで聴かせてくれる。低域も深みも充分で立体感もしっかりと感じさせてくれる。ボーカルも輪郭がはっきりと楽器との分離感を出しつつ、みずみずしいつやっぽさを出す。やや質感がデジタル的で人工的だが、それが近未来的な音響を感じさせてくれ、この曲とは相性が良い。

 どうでもいいけど、今回のMVはSiaっぽい感じで攻めてて楽しいね。

 


TVアニメ 「 彼方のアストラ 」 エンディングテーマ 「 Glow at the Velocity of Light 」

 

Gilead「Die Nacht」

【Hiby R6 Proで鑑賞】質感的にはかなりパリパリツルツルしてデジタル的な音響に寄るけど、見通し感は良く、低域に厚みがあるので重厚感も充分。楽器音がデジタル的になり、質感がパリパリしているのが人工的で好みを分けそうだが、解像度感は高め。

 

 

Madeon「You're On ft. Kyan」

【Hiby R6 Proで鑑賞】こういうデジタルなEDMは非常に得意で、奥行き感を丁寧に出しながら楽しませてくれる。低域に厚みがあって足場も充分だし、その低域も量感は結構あるのに深みまで透明に沈んでいく音色で臭みがないから、きれいに楽しめる。奥行き感があるので没入感も高く、気持ち良く楽しめる。

 


Adventure (Deluxe)

 

La Nef「Le Chateau du Graal (The Castle of the Grail)」


 【Hiby R6 Proで鑑賞】透明感のある音の中にもほどよく厚みがあるので、デジタルで少し人工的な音にも関わらず、意外とこの曲で暖かみを感じさせてくれ、ややツルッとしているものの、きれいに聴かせてくれる。DTM的な音質ではあるものの、解像度は高く、静寂感も丁寧に表現されている。

 


V 2: PERCEVAL-LA QUETE DU GRAAL (THE QUEST FOR THE GRAIL)

 

【5】総評「完成度は高いが、それに比して通信品質がやや見劣りする」

 デザインはよく、装着感も非常に満足でき、ノイキャン性能は現状最高クラスであり、DTM的ながら解像度も高い音質を持っています。ほとんど欠点のない機種ですが、通信品質だけは個人的に満足できる感じではなかったのだけが非常に惜しいところ。またここまで高価な機種で、ここまでの音質を実現しているなら高音質コーデックに対応して欲しかったというのが素直な感想です。

 

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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