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【ハイレゾ対応イヤホン ELECOM EHP-GB2000A レビュー】適度に低域が落ち着かせる空間に音が浮かび上がる音像重視のモニター的なサウンド。おすすめ

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ELECOM EHP-GB2000A

ELECOM EHP-GB2000A

エレコム ハイレゾ対応 ステレオ イヤホン セミオープン型 〈Grand Bass〉 ダイナミックドライバー φ12mm ブラック EHP-GB2000ABK

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「軽量で着け心地は良い」

おすすめ度*1

ELECOM EHP-GB2000A

ASIN
B07FR3JVSV
スペック・評価
再生周波数帯域 5~45000Hz
インピーダンス 16Ω
感度 96dB
ドライバー

12mmダイナミックドライバー

音質傾向

地味、落ち着きがある、透明感がある、モニター的、大人びている、少し暗い

 直垂らししてもよいですし、シュア掛けもできます。独特のデザインですが、軽量で耳に比較的良く収まります。セミオープン型なので、遮音性はやや低く、音漏れも少し気になるかも知れません。

 

テスト環境 

 今回のテストはHiby R6 ProGalaxy A30ONKYO GRANBEATで行っています。ゲイン設定は基本的に「低」設定です。

 

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【2】外観・インターフェース・付属品「リケーブルは出来ません」

 付属品はイヤーピース、コードキーパー、専用ポーチ、取扱説明書です。

 

ELECOM EHP-GB2000AELECOM EHP-GB2000A

【3】音質「低域音が空間を適度に静寂する中で中高域の音像を丁寧に聴かせる」

 今回は標準イヤピのLサイズを使ってレビューします。

 音を聴いた第一印象は、低域がよく音を沈みこませて、適度に静寂感がある中に中高域あたりの音像が丁寧に聞こえてくるなという感じです。セミオープン型で音が適度に輪郭が落ち着いて聞こえる感じもあり、くっきり感は強くないので解像度が高い印象はそれほど受けないと思いますが、聴き心地が安定していて、集中力を要求しない感じがあります。

 次に各音域を確認していきますと、低域は重低音の深い方を重視しているようです。ベース音はややウンウン感が強めで床鳴りに濁りつつ、深いところで黒い音を聴かせます。ややボツボツした感じがありますが、ライン取りは比較的明瞭です。クリアではない生々しさを重視した音と言えるでしょう。バスドラキックはドシドシと重みを出し、やはり床鳴りを強く出します。胴鳴りは相対的に控えめに聞こえるので、基本的によく沈む静寂感を感じるでしょう。低域弦楽も下にドーンと重みを出し、躍動感は少し抑えた大人びた雰囲気のある渋い印象があります。この低域は中域から適度に離れており、少しワイドレンジ感を出します。スネアとバスドラの関係を見てると、スピード感はわずかにゆったりめで、アタックに対して、キックが遅くついてくる感じがあるかも知れません。

 さて、中域に移ると、低域の熱気はやや強く、中域を少しもやもやさせていることがわかります。ボーカルはやや後退的で、楽器音と50:50か、曲によってはやや埋没して聞こえるかも知れません。しかも安定感のある聞こえ方をしているために、基本的に大人びた印象を受けるでしょう。人によってはシックでかっこいい印象を受けるかも知れませんが、逆に地味で面白味のない印象を受ける人もいそうです。色味は少し抑制的です。また抑揚もやや少なめに思うかもしれません。

 中高域は静寂な中で音像が色味を抑えつつ、しかし鮮やかに浮かび上がってきます。音量を上げても基本的には落ち着いた雰囲気が維持されており、音に透明感があります。少し静かな背景に透明感のある音が薄く透けるように表現される感じがあり、最初は地味に思えますが、聴き込んでみるとこの透明感が音像の把握をしやすくさせていることがわかります。モニター的で無愛想ではあり、やや聴いていると真顔になる感じです。

 高域の高さはマイルドですが、中高域がおとなしめな分だけ、高域の輝きと抜け感が際立つ雰囲気があり、また半開放のハウジングの効果もあるのか、抜けは高くないのに抜けが良い印象を受けます。静寂感のある空間で丁寧に粒立ち感を出す音は価格を考えるとなかなか魅力的でしょう。どうしても価格なりの音の荒っぽさ、もっさり感というものが少しありますので、高級機の音になれた人には物足りないところもあるでしょうが、高域の雰囲気は個人的には好みで、とても良いです。

 

 総合すると、静寂感と音像の出し方はよく考えられており、低価格機ですが、センスだけは非常に良い雰囲気があります。音はやや真面目なモニター的なもので、とくに艶やかさは抑えめで地味な感じもありますから、明るく音楽を聞きたい人には選好されづらいでしょうし、 ノリも基本的には抑制的に聞こえて面白味が分かりやすいかというとわかりにくいのではないかと思います。一方で読書のお供なんかにBGM的に静かに音楽を聞きたい系統の人にはこの味付けは悪くないと思えるでしょう。

 

音質因子評価
音質因子 評価
鮮やかさ
(鮮やか/色味が薄い)

やや色味が薄い。どちらかというと透明で静寂。艶やかさが抑えられている分だけ金物は少し目立つが、静寂感を忘れない。

鋭さ

(鋭い/鈍い)

やや鈍い。どちらかというと地味めで半開放でもあるので音の鋭さは空間に中和される感覚がある。
明るさ
(明るい/暗い)
やや暗い。低域が基本的に静寂感を演出し、中高域も少し透明感重視で、ちょっと薄暗いくらいに落ち着いている。
派手さ
(派手/地味)
やや地味。音はちょっと地味。
硬さ
(硬い/柔らかい)
やや硬い。音は中高域で手がかりが多い。
尖り
(尖っている/丸みがある)
やや尖る。やや粒立ち感があるため、少しシャリシャリ感があり、少しシャープに感じやすい。
穏やかさ
(穏やか/騒々しい)
普通。高域が少し毛羽立つ感じが強いが、抜けはよく、全体の印象は適度な騒々しさはほとんどなく聞きやすい。
力強さ
(力強い/嫋やか)
普通。シンバルやギターのエッジが立つようになっており、少しアタックを感じるが、全体的には穏やか。
豊かさ
(豊か/貧弱)

普通。音は上でやや緻密になり、豊満さはないが、情報量は適度にある。

太さ
(太い/細い)
やや細い。上でやや細い印象を受ける。
手触り
(ざらざら/滑らか)
ざらざら。高域でドライに粒立ちを強調する感じがあり、ざらざら感は強い。
粒感
(きめの細かい/粗い)
ややきめの細かい。高すぎる感じではないので、シャープネスは強調されすぎないが、それでも上で細くシャリシャリする感じがある。
清潔感
(澄んだ/濁った)

やや澄んだ。上で風通しの良い感じがある。

潤い
(潤いのある/乾いた)
乾いている。音はドライに聞こえやすい。
重さ
(重い/軽い)
やや重い。低域にしっかり足をついている感じがある。

 

ボーカル因子評価
ボーカル因子 男声 女声
澄んでいるか
(澄んでいる/濁っている)
やや澄んでいる

やや澄んでいる

明るいか

(明るい/暗い)

普通 やや暗い

伸びやかか

(伸びる、突き抜ける/天井感がある)

やや天井感がある

やや天井感がある

潤っているか

(しっとりしている/乾いている)

普通 普通

太いか

(太い/細い)

やや細い やや細い

濃いか

(濃い/薄い)

やや薄い やや薄い

子音が強調されるか

(目立つ/目立たない)

普通 普通

 

空間因子評価
空間因子 評価
主に中域の密度
(ぎっしり/スカスカ)
ややスカスカ
主に高域の高さ
(抜けが良い/天井感がある)
やや抜けが良い
主に低域の深さ
(深掘り感がある/浮き上がりがよい)
やや深堀り感がある
主に中域の奥行き感
(前進的/後傾的/前傾的/後退的)
やや後退的
主に低域と中域の横幅
(広い/狭い)
やや広い
定位感
(頭内的/頭外的)
普通
分離感
(拡散的/密集的)
やや拡散的

 

美点
  1. 空間が清潔
  2. 音の抜けが良い
  3. 爽やか
  4. 色味がやや薄い
  5. 適度な静寂感がある
  6. 聞き疲れしにくい
  7. 落ち着きがある
  8. 適度な手がかり
欠点
  1. 音が地味
  2. 少しノリが悪い

 

[高音]:高域の高さはそれほど高くないが、中高域が適度に透けて高域の輝き成分などが聞こえやすくなっており、抜けは必ずしも高くないが、すっきり感がある。よく聴いてみるとおそらくボーカルの抜けなどは高くなく、比較的早く減衰してる感じがあるが、雰囲気でうまくのびやかに感じられるよう調整されている。中高域は薄味で、ツヤが足りない感じがあり、そのため高域音が目立ってこの領域に入り込んでくる余地があって、曲によっては中高域の響きよりシンバルの音が強く音をかき乱すように聞こえるのが好みを分けそうである。その高域音も抜けていないので、清潔ではあるが、風通しは印象ほどよくなく、少し滞留する。こういう傾向の音は人によってはノイジーで安っぽく聞こえることも多い。ただしボーカルを浮き上がらせてよく聴かせてくれる静寂感があるという意味ではプラスでもある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域は音の色味は強くなく、清潔で透明である。沈み込みの良い低域音とあまり艶やかでない中高域音のおかげで、中域に適度なフォーカス感がありつつも押し出し感を抑え、圧迫感がないので聴きやすい。中域の厚みは足りてない感じがあるので、音に豊かな印象はそれほど受けないが、かといって音に存在感がないわけでもなく、全体として空間だけでなく音色にも透明感を目指しているような味付けである。比較的前面に出てくる高域音とのバランスもあり、なんとなく音が奥まって聞こえやすい感じがあるが、すでに述べたように周囲の中高域音と中域付近の低域音が清潔なので、埋没感はほとんど出ない。そのため聴いてると「なんとなく音が遠いけど、聴きづらくもないから、落ち着ける音だな」という印象になる。

[低音]:100hz~40hzまで淡くぼんやりとした太いボーッという音。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。低域は基本的に見通しが良く、深いところのベース、バスドラキックがよく目立つようになっている。ライン取りもわかりにくくならないよう厚みを抑えており、スピード感は一般に悪くないはずであるが、ややゆったりめで少し遅めの印象を受ける。低域弦楽は深みもあまりなく、色味もどちらかというと透明で下でコクを出す感じはあるものの、沈み込みがあまり強くない印象を受けるが、一方でゆったりめで懐はあって適度に音場を支えてくれる感覚もある。全体的に低域は深い床鳴り感を重視しているようである(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:音の好みにもよるが、解像感は価格帯並みよりはよく感じられる可能性もあるし、逆に高さはあまりないのに出張ってくるシンバルや金物がざわついて聞こえ、それが中高域の響きを邪魔してつねにノイジーだと感じる可能性もある。その点で賛否両論はありそうである。露骨に安っぽい音にも聞こえるというのもごもっともだろうし、一方で価格の割にモニター感を意識した品のある調整であるとも主張できそうである。ここらへんは普段のイヤホンの音の好みに左右されそうではある。色味は薄い傾向にあるうえに開放的で抜けが良いので、音が聴きやすい反面、スカスカ感も出やすい。立体感は適度にあって奥行きと幅が自然に存在しており、やや頭外的な広さがある。刺さりや低域由来の篭もりなどの不快要因を極力減らしつつ、コストの限られた中で全音域をバランス良く聴かせるためにこの音に行き着いただろうコンセプトが見えるので、好きか嫌いかは別にして、私にはかなり努力の感じられる製品に思えることは事実(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:スネアの鼓面は立ち上がりは普通ではあるが、ディケイはゆったりめに聞こえ、やや余韻を残しながら走って行くように聞こえる。バスドラキックも追随性が高い感じではなく、スネアのやや暗いバツンという音に、やや間を開けてついてくる感じがある。ややゆったりめのバツンバツン。全体のスピード感はロックの好みによっては多少遅めに感じるかなという程度。早い足回りの曲では少しキレが悪いかなと思う可能性はある。ハイハットはスネアの鼓面に対しては高く、少し輝いて聞こえ、どちらかというと明るくはないスネアに対しては充分に明るく、存在感がある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは中域にボディの安定感が一定程度あり、甘味も適度にあるが、基本的にはドライで抑揚はそこそこで、人によってはやや個性を感じづらいところがありそうな声色である。ニュートラル的という意味でモニター感があり、モニター的な音になれているとむしろ好ましく思える可能性は高い。子音はあまり目立たず、息の抜けもあまり強調せず、サ行の刺さりは一般的にないだろう。声色は男女ともに少し大人びて落ち着いており、私には大抵の曲で真顔で真面目に歌い込んでるように聞こえる。

 

【4】官能性「低価格で全音域適度に把握できるモニター的な音を求めているなら選択肢の一つ」

秦基博「言ノ葉」(vs ELECOM AMA25813)

言ノ葉

言ノ葉

【GRANBEATで鑑賞】ほどよく色味を抑えて、音場全体に静寂感を適度に出しており、その空間ではボーカル、アコースティックギター、シンバル、ドラムのゆったりした音が目立つ感じで聞こえます。抜けは高くないので見た目ほど開放的ではなく、風通しは良くないですが、それが比較的透明な色合いにほどよい濃厚感をもたらして自然な色づきを印象づけています。ボーカルは少し細く薄味で、歌い上げるというよりはメロディーを丁寧に聴かせる感じですが、この曲の落ち着いた雰囲気にはよく合っています。ドラムのスピード感はゆったりしており、少し余韻を残す懐が感じられ、冷静で落ち着いた曲に適度に沁みる叙情を残しています。そのため一見無味乾燥に見えて、音が滲むように心に入ってくる感覚があります。

 

 同じELECOMのAMA25813と聞き比べてみます。まずAMA25813はEHP-GB2000Aと同じく、音は少し薄味傾向に思われますが、より高域方向を重視しており、スネアのアタックは増し、シンバルやアコースティックギターの輝きはよりはっきり目立たせ、ボーカルは子音の起伏は多くなっており、筋立ち感が出て、より元気な印象を受けます。やや中高域付近でガチャガチャしやすいところはあり、薄味で透明系のボーカルの近くでチャリチャリした音が派手に聞こえるので、聞き苦しい感じは出やすいかも知れません。少しシャカシャカ気味に聞こえるので、軽っぽい表現になっており、浮揚感はありますが、落ち着きに欠け、音像にも集中させてくれない感覚があるかも知れません。

 

 個人的な意見としてはAMA25813の方が手がかりは多いですが、どちらかというとこの曲は落ち着いて聴いた方が滲み出る音の雰囲気が出る気がするので、EHP-GB2000Aの方が好きです。

 


言ノ葉

 

fripSide「only my railgun」(vs KBEAR KB06)

only my railgun

only my railgun

【Galaxy A30で鑑賞】最近忘れかけていたことを思い出しました。それは再生機器の問題です。最近音の分析にこだわってしまってるのと、多くのDAPの動作確認もでき、しかもイヤホンの聞こえ方を複合的に把握することができるという利点を重視してDAPばかりで聴いていましたが、そもそも価格帯によっては多くの人はスマホで音楽を聴くことを目的にイヤホンを選ぶのではないかと思います。したがって、スマホでどう聞こえるかという視点を忘れてはいけないのではないでしょうか。そういうわけで今回以降、手持ちのGalaxy A30も加えてちょいちょいテストすることにしたいと思います。

 

 で、この曲をスマホにつないで聴いてみました。音源はamazon musicのHD版です。さて、このイヤホンの場合、これくらい音数が多めの曲でも適度に落ち着いて聞こえます。手がかりがかなり多い高域方向は華やかさを抑え、音数も少し減らし、ボーカルとのバランスを考えている印象がありますが、それでもこれくらい中高域偏重な雰囲気があるとボーカルは埋没気味に聞こえやすい気がします。一方で音量を上げても音が落ち着いており、音が露骨にうるさくならず、むしろ音像はうまく崩れずに押し出されて感じられるような丁寧なチューニングを感じます。音はどちらかというと地味で、この曲をノリノリで聴かせるというよりはむしろスピード感を抑制し、個々の音像を適度に余韻を絡めて把握しやすいように聴かせる、そういう音になります。

 

 KBEAR KB06と聞き比べてみます。少なくとも小音量では、スマホで聴く際に解像度が高く思えるのはKB06の方でしょう。はっきりと音の粒立ちを拡散させ、しかも空間は清潔でボーカルも前面にクリアに聞こえます。ただし音量を上げると音の尖りはきつくなり、中高域の手がかりの多いところにボーカルが突っ込み始め、少しうるさげにガチャガチャすると思います。小音量でさわやかに聴いている分にはいいですが、音量を上げて聴くような人の場合、この曲は少しノイジーな印象を受けるかも知れません。しかし適正音量付近では爽やかかつ手がかりが多く、分解能的な解像度があり、リズムもノリが良い感じで聞こえるので、EHP-GB2000Aよりは楽しく聞こえるはずです。

 

 個人的にはEHP-GB2000Aのほうが地味ですが、音像がわかりやすく落ち着いて聴けるので聞き疲れしにくいので好きですが、客観的に優劣を付けているとは言い難く、単純に私の聴き方の好みの問題の気がします。

 


only my railgun TVアニメ「とある科学の超電磁砲」OPテーマ

 

Tetrarkhia「Heroic Spark」(vs KBEAR Knight)

Heroic Spark

Heroic Spark

【Hiby R6 Proで鑑賞】このイヤホンでこの曲を聴いた第一印象はおそらく「なんかノリが悪い」でしょう。シンバルはそれなりに走り、ギターエッジはほどほど伸びやかですが、ドラムに走る感じがあまりなく、全体的に走り出したい寸前で気持ちを抑えて、踏ん張ってるみたいな聞こえ方で、妙に聴き心地は良いですが、なんか躍動感と疾走感が足りない気がするかも知れません。音に派手さもありません。しかし聴き込んでみると、むしろすこしゆっくりめに丁寧に瞬間を少しスローモーションにするように音像を聴かせて意外と、音がわかりやすいことに気づくと思います。わかりやすいことと楽しめることは別の話なので、好まれるかはわかりませんが、ベースの熱気が結構出ていてライブ感があるのに、中域ではそのもやもや感さえ透明に透けているような、薄味でゆるやかながらも音像が把握できる感覚があり、落ち着いて聴きやすいです。

 

 イントラコンカ型のKBEAR Knightと聞き比べてみます。構造上の違いはありますが、ぶっちゃけ両者ともにセミオープンみたいなもんですから、音の傾向は意外と似ているかも知れません。一聴して気づくのは、Knightのほうが低域が中域との接続が良いので音が濃く、おそらく一般にスピード感も勝り、ボーカルに甘味が感じられるほどには色づきがあるということです。実際にはEHP-GB2000Aのほうが低域は出ているはずと思いますが、EHP-GB2000Aの低域は深いところで出るので小音量では目立ちませんし、印象的には厚みのあるKnightの低域のほうが存在感があるように感じられます。EHP-GB2000Aはリズムでは、スネアとシンバルでどちらかというとシンバルが主導していた印象を受けましたが、Knightの場合より押し出されてアタック感のあるスネアのほうが主導して聞こえます。EHP-GB2000Aのどちらかというと透明な表現に比べると、もう少し濃厚で、ボーカルは媚びて聞こえます。

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 この曲の場合、おそらく一聴した面白味はKnightのほうがノリが良く、媚びがあって、ボリューム感もあり、楽しみが多い気がします。私個人の意見としては意外とEHP-GB2000Aの音のほうが好きかも知れないと思いますが、あまり一般的でないような気がします。

 


Heroic Spark(初回限定盤)(CD+DVD)

 

【5】総評「BGM的に音楽を聴きたいなら悪くないです」

 ぶっちゃけこの音、センスを感じるんですが、低価格でこの音がウケるかというと、どうなんだろうというのが個人的な感想です。音像はなかなか丁寧に出し、聞き疲れしにくさもあって、手がかり感もそこそこあって透明感もある、なかなかのバランス感覚を感じるんですが、地味すぎる気もします。個人的にはこういう雰囲気が好きで、集中力を要求せず、没入もあまりしない感じなので、読書の片手間に音楽を聴くなんてときには効果を発揮しそうですが、むしろこの価格帯では音楽に没入したい需要が多い気がします。

 難しいですが、私はいいイヤホンだと思います。逆に言うと、この価格帯でこういう音をちゃんと提供しているELECOMって、売れるかどうかは別にして、音作りの方向性がしっかりしてるよなぁという感想を改めて抱きました。このメーカーはもう少し評価されるべき気がします。

 

  • 適度な静寂感で落ち着きがある
  • 音像が聴きやすい
  • 色味が薄く、地味

 

ELECOM EHP-GB2000A

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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