「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はEarFun Airです。
EarFunは深圳を本拠地とする中国のワイヤレスオーディオブランドです。2018年に設立されたばかりの新しいブランドですが、その最初のリリース製品であるEarFun Freeは使い勝手の良さでユーザーから支持を集め、5000円以下の完全ワイヤレスイヤホンの定番機種の一つになっただけでなく、CNETが2019年最高の完全ワイヤレスイヤホンの1つに選出し、techraderが太鼓判でおすすめし、CES 2020イノベーションアワードを受賞するなど批評家にも高く評価されました。
EarFun AirはEarFunが投入する第2世代モデルになります。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:7h/35h
- 防水性能:IPX7
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号:211-200113/211-200114
パッケージ
パッケージは価格帯では豪華です。この価格帯にしては開梱体験が楽しめるようになっており、付属品がそれぞれ個別のボックスに入っているなど、丁寧に梱包されています。付属品はイヤーピース、充電用ケース、充電用ケーブル(Type-C)、説明書です。
イヤホン本体はマットなブラックに鏡面仕上げを組み合わせたものになっており、シックで落ち着きがあります。充電ケースはマットブラック一色です。
装着サンプル
いわゆる「耳うどん型」をしています。耳への収まりは良好です。
接続品質
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では標準的な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内ではそれなりです。距離耐性はそれほどでもなく、5m離れると少し途切れやすくなります。遮蔽物があると通信が不安定になります。
またホワイトノイズはわずかにありますが、敏感な人でないと気にならないのではないかと思います。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [標準イヤーピース S装着時]左右別
- [標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
全体を見るとU字型あるいは穏やかなV字型といったサウンドシグネチャーをしています。中域付近がわりと平坦で、フラットに近い感じになっているのがわかります。
低域は重みが少し強調されますが、輪郭はしっかりしており、比較的クリアです。熱気は適度に感じられますが、基本的にわりと平坦に感じられる低域で、モニター的に思えます。ただエレキベースとドラムキックがぶつかりやすく、描き分けはやや明瞭でないように思えます。
中域はわりと清潔で、引き締まっています。ドライな質感で、奥行きが強調されています。ボーカルはわりと前にいますが、スネアやタム、そしてギターはわりとパワフルにボーカルの周辺に陣取るので、ボーカルの周囲は賑やかで、曲によってはフォーカスが甘いと感じるかもしれません。中域はかなりモニター的で音数は少し多く思えます。しかし、高域は高く抜けているので適度な風通しがあり、窮屈ではありません。色づきは良好で明るく、きらきらとしており、ピアノの輪郭は少し固く感じられ、くっきりしています。ボーカルは子音が少し尖り、ツ音は少し強調されていますが、ボディは適度にあるので過酷には聞こえません。息が伸びるので少し抜けがよく感じられ、語尾が少しすっきりしていると思うでしょう。
高域はかなりハイハットのクラッシュが目立ちます。ギラつきもあって派手で生き生きとしています。また高域に形成されるピークで、楽器音の上辺はシャープで引き締まって聞こえます。特徴的なのはドラムサウンドで、私にはパワーをドラム類が、シャープなリズムをシンバル類が役割分担しているように聞こえ、ほとんどの曲でドラムとシンバルが分離的に聞こえます。
音場は少しボーカルライン付近に音が集まる感じがありますが、低域は適度に分離され、高域は高いので風通しがあり、またシンバルがはっきりしているので、わりとドンシャリに聞こえると思います。ハイハットを少し派手に生き生きと聞きたい人にはかなり好ましいはずですし、シャープなサウンドが好きな人にも好ましく思えるでしょう。全体的に静寂感には少し欠け、どちらかというと低域が静かに思えるくらいです。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使い、コーデックはSBCです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
シャープで派手なハイハットが好きなら、この音質はかなり好ましく思えるかもしれません。全体的に引き締まって聞こえるサウンドです。ロックをパワフルに派手に聞きたい人にはかなり好みのウンドに思えるはずですし、中域は賑やかで楽しげに聞こえ、華やかにJAZZを聞きたい人にも気持ち良いサウンドに思えるでしょう。パッケージもこの価格ではしっかりしており、ビルドクオリティも良好です。通信品質は距離耐性が少し弱いのが気になります。
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