こんな人におすすめ
- 耳を塞がない安全なウェアラブルオーディオデバイスを探している
- 音質にあまりこだわりがない
- シャキシャキした音が好き
GOOSERA H11の概要
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる製品は骨伝導イヤホン「GOOSERA H11」です。
5000円付近のわりと安めの価格設定で、最新のBluetooth 5.1に対応し、aptXコーデックも使えるというのが魅力の骨伝導イヤホンになります。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Recommended」として、比較的多数の人にとって買って損がないオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:12h
- 防水性能:IPX7
- 対応コーデック:aptX/AAC/SBC
- 技適番号:210-140288
パッケージ&ビルドクオリティ
パッケージは価格帯では標準クラスです。付属品は充電用ケーブル(Micro-B)、キャリイングポーチ、説明書です。
ビルドクオリティは価格なりといったところです。パッケージの説明によるとエコ素材で作られているらしいです。
装着サンプル
バンドも柔軟で軽量、装着感は悪くないです。
接続品質
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では優秀な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内ではわりと安定しています。距離耐性の点でも問題なく、5m離れてもシームレスでした。また、遮蔽物があっても通信は途切れません。
ホワイトノイズはほとんどありません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースは右耳側にあり、下部に+と-の物理ボタン、側面にタッチパネルがあります。
電源ON
+ボタンを3秒長押しします。
電源OFF
+ボタンを3秒長押しします。
ペアリング
電源をONにした際に接続先がないと自動でペアリングモードになります。
リセット方法
- +と-のボタンを同時に5秒長押しします。
- 「ドードー」という音が鳴り、LEDが点滅すればリセット成功です。
曲再生
曲停止中にタッチセンサーを2回タップします。
停止
曲再生中にタッチセンサーを1回タップします。
通話応答
着信時にタッチセンサーを2回タップします。
通話終了
通話中にタッチセンサーを2回タップします。
通話拒否
着信時にタッチセンサーを2秒長押しします。
音声アシスタントの起動
通話中でないときにタッチセンサーを1.5秒長押しします。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
- [1回目測定]左右別
- [1回目測定]左右平均
- [1回目測定]左右別(自由音場補正済み)
- [1回目測定]左右平均(自由音場補正済み)
- [2回目測定]左右別
- [2回目測定]左右平均
- [2回目測定]左右別(自由音場補正済み)
- [2回目測定]左右平均(自由音場補正済み)
- [3回目測定]左右別
- [3回目測定]左右平均
- [3回目測定]左右別(自由音場補正済み)
- [3回目測定]左右平均(自由音場補正済み)
- 1~3回目測定比較(自由音場補正済み)
- 1~3回目測定平均(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー解説
単純に低域が出ていない、シャリシャリ傾向のブライトサウンドです。
音質解説
率直に言って音楽再生時にもイヤホンがほとんど振動することがなく、骨伝導らしさがありません。
この点はAfterShokz OpenMoveのレビューに掲載されている周波数特性を見てもらえばわかりますが、骨伝導イヤホンはイヤホン自体が振動するため、周波数特性にその振動による細かなピークが現れます。
そして、このイヤホンは低域が全く伝導されていないので、骨伝導独特の深みのあるサウンドも出ません。
安物の骨伝導イヤホンは振動が足りずにシャカシャカスカスカのサウンドになるか、逆に震えすぎて籠った低域バカになるかのどちらかになりやすいですが、このイヤホンは前者で、骨伝導イヤホンというよりはイヤースピーカーというべきです。
低域は薄味で存在感がありません。バスドラムキックは軽く、エレキベースも深みがなく、音楽全体は軽っぽいです。中域を邪魔することが全くないので、ノイズ感はほとんどありませんが、面白みもありません。耳穴近くにイヤホンのスピーカー部分を近づければ、少しだけ低域の存在感は増します。
中域は印象的です。ボーカルは最前列で聞こえ、ニュアンスも良く、中域は前進的で奥行きも感じられます。ただしクリア感はあまり期待できないので、付帯音は少し多く、全体的に曇った印象を受けるかもしれません。
高域はギラつきが強いですが、シンバルはおとなしめです。ボーカルニュアンスは少し強調され、媚びた感じがありますが、息の伸びはあまり強調されず、それほど高く抜ける印象はありません。
音場は奥行きがあり、少し幅広にパノラマ的に聞こえます。解像度は高くなく、聴き心地は悪くないですが、音量を上げるとシャウティになりやすいところがあります。
音質的な特徴
美点
- ボーカルフォーカスが良い
- 圧迫感のないすっきりした音質
- 奥行き感のあるサウンド
- ノイズのない低域
- 聞き心地は安定している
欠点
- 拡張性のない低域と高域
- 音量を上げるとシャウティになりやすい
- クリア感に欠ける
総評
GOOSERA H11は骨伝導イヤホンというよりイヤースピーカーです。装着感は良く、音質は聴き疲れしませんが、骨伝導サウンドとはいいがたい軽っぽい音です。音場は横に広く、奥行き感もあり、耳の外側に広がっているので広く感じられますが、上も下も拡張性に欠け、開放的に思えるものの、真の意味で音の広がりが良いわけではありません。しかし、圧迫感のない着け心地、周囲の音が聞こえる安全性、12時間の連続再生時間を魅力的に思う人もいるでしょう。
もし、まじめに骨伝導イヤホンを求めているなら、もう少しお金を積んでAfterShokz OpenMoveを買った方がよいかもしれません。
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