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元記事
Moondrop S8 vs A8:バランスドアーマチュア8基のサウンド!
Moondropからソーシャルメディアアカウントを介してIEM S8を新しくローンチしている写真が何枚か報告された2ヶ月後、最終的に11月11日からMoondrop S8が発売されることが正式発表されました。かなりのディテール感を持つ、素晴らしいIEMである以前のモデルA8の成功に続き、Moondrop S8には多くの改良が加えられています。最初にIEMを確認してみましょう。
技術仕様
Specifications | Moondrop A8 | Moondrop S8 |
Price (USD) | US$666.66 | US$699.99 |
Driver type | 8 balanced armature | 8 balanced armature |
2 Knowles CI-22955 Dual Low Frequency BA Drivers | 2 Sonion 37 Series Dual Low Frequency BA Drivers | |
4 Moondrop Custom Mid-Frequency BA Drivers | 4 Moondrop optimized Custom Mid-Frequency BA Drivers | |
2 Moondrop Custom High-Frequency BA Drivers | 2 Knowles SWFK High-Frequency BA Drivers | |
Impedance | 32Ω | 16Ω±15%@1Khz |
Sensitivity | 110±3dB | 122dB/vrms |
Socket | 0.78 2pin flat(legacy westone) | 0.78 2pin flat(legacy westone) |
Housing | Semi- customized type with medical UV acrylic | Semi- customized type with medical UV acrylic |
Cable | Universal cable with 1/8″ jack | Litz 6N OFC 1/8″jack |
全体的に、A8は非常にクリアに聞こえ、優れた透明感と解像度を備えています。非常に印象的な音場とイメージングに、優れた分離感を備えている点ではA8もS8も共通しています。ただし、S8は、A8モデルと比較して、より自然なトーンとサウンドイメージングを実現しています。
低域の比較
Moondrop A8
Knowles CIシリーズの低域ドライバーが搭載されています。他のすべてのバランスドアーマチュアドライバーをはるかに超えるダイアフラム面積により、他製品に卓越した低歪みと、高速かつエネルギッシュな低域を提供します。
「ディスプレイドライバーの数を増やしている」タイプのコンポジット低域バランスアーマチュアドライバーとは異なり、大型の独立した低域ドライバーは、パフォーマンスを向上させ、音をよりクリーンにします。
左右それぞれに搭載された2基の独立したKnowles CIバランスアーマチュアドライバーは、単一のCIよりも力強く、コンポジット低域ドライバーのフルダイナミクスよりもはるかに優れており、歪みが低くなっています。
特別に設計されたローパスフィルターと組み合わせることで、A8はこれまでのイヤホンにない、高速で濃厚な低域を再現できます。
Moondrop S8
低音ドライバーに関して、区別されたベント付き低音レシーバーのバックボリュームが追加されたバージョンに変更されたため、ダイアフラムは、通常のベント付きドライバーよりも歪みが少なく、典型的なクローズドバランスアーマチュアユニットに比べてより自由に動きます。これにより、S8は、ダイナミックドライバーのような、より高速な低音レスポンスを実現しています。
中域の比較
Moondrop A8
中域に4基のバランスドアーマチュアドライバーを使用しているので、A8の中域と中高域の全体像はBlessingよりも丸みを帯び、よりパワフルになります。Blessingと同じタイプの超高域バランスアーマチュアドライバーは、Blessing同様の超高域再生能力をもたらしており、同様のフラットな応答も実現しています。この中域/高域のドライバー構成により、A8は過去の製品よりも価格が高くなってしまいましたが、以前よりも音が肉厚になり、それでも変わらず自然なトーンを維持しています。
Moondrop S8
Moondropは、以前のA8から引き継がれた明確な中域チューニングの持続に成功していますが、独自の中域用バランスアーマチュアドライバーをカスタマイズしました。VDSFターゲット応答に準拠し、さらに超低歪みも実現しています。Moondropは、電力効率と自然なトーンに焦点を合わせ、回路設計を改善しました。S8はA8と比較すると、より自然で解像感のある音が実現されています。
高域の比較
Moondrop A8
超高域位相整合性
正確な周波数応答を得るために、バランスドアーマチュアドライバーの周波数分割構成する場合、すべてのドライバーが担当する周波数帯域に位相面で高い一貫性を保証する必要がありますが、A8で音のつながりについての問題はなく、複数のドライバーを採用したことで、共通の音に不一致が見られるといったことはありません。
Moondrop S8
高域はKnowles SWFKドライバーによって処理されます。比較的低い歪みと、高いカットオフ周波数により、適切な回路設計も相まって、フラットで滑らか、かつ詳細な高音を提供し、S8の卓越した高音再生能力のハードウェア的な基礎となっています。
全体像:A8 vs S8
ハーマン・ターゲット・レスポンス
マルチドライバーIEMの典型的な「音の不整合」のパターンの1つは、通常、調整が不十分なクロスオーバー回路によって引き起こされるドライバー間の位相の不一致によって引き起こされます。
Moondropは、「ハーマン・ターゲット・レスポンス(Harman Target Response)」と「Bruel & Kjaer 4128 Head and Torso Simulator 拡散音場」に基づいて、最新の録音環境と音響に最適化するために、A8では新しいターゲット応答曲線を目指したと述べています。この考え方に基づけば、広い音場と非常に透明な高域応答に重点が置かれます。
上に掲載したS8の位相測定グラフは、高い位相整合性を示しており、クロスオーバーによる位相シフトはほとんどありません。これにより、S8は空白のない、自然でリアルな音場と、ドライバー同士の競合による奇妙な「スピッティング*1」音のない滑らかなトーンを提供するポテンシャルが実現されており、マルチドライバー構成のIEMで起こりうる、一般的な欠陥を回避しています。
装着感
最近では、カスタム設計に半ば似せたシェルを備えた多くのユニバーサルIEMが見られますが、Moondrop A8とS8もその1つです。 A8とS8は、ユニバーサルイヤホンに生じうる外音ノイズを完全に遮断します。A8とS8はぴったりしたフィット感と遮音性を備えたカスタムIEMのように思えるくらいです。
- 元記事の公開日:2019/11/07
- 著者:Candice Song
Moondrop S8 New Generation 8BA In Ear Monitor IEM Earphone with 0.78-2Pin
MoonDrop A8 Knowles 8 BA Unit Driver IEM In-Ear Earphone
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*1:「唾を吐く」という意味です。ここでは音がぶつかってガチャガチャしないことを言っていると思われます。