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元記事
Shanling M6:Android DAP!
中華オーディオの世界は過去10年間で爆発的に拡大しました。この国が特に得意とするのは、優れたデジタルオーディオプレーヤーを製造することです。Shanlingはまさにその分野に特化した企業であり、そして完全にスタープレーヤーとなっています。このレビューでは、Shanling M6のサウンド、デザイン、パッケージ、アクセサリー、仕様などを分析します。M6がどのレベルの製品であるかを知りたい場合には、ベストDAPに関する記事を見てください。
長所
- Android OSに最大限準拠
- 金属とガラスで作られた豪華な筐体
- Wi-FIと双方向Bluetooth通信に対応
- Qualcomm製CPUを搭載し、機敏に動作し、応答性の良いインターフェース
短所
- 保護ケースがパッケージに含まれていない
- 開けにくいMicroSDスロット
ビデオレビュー
工作精度とデザイン
Shanling M6は素晴らしいDAPですが、物理的な工作精度の点で他のミドルレンジDAPと一線を画しているのは、手に持ったときの感触です。とても良好です。ビルドクオリティはAstell&Kernに匹敵し、付属品も同様のクオリティです。重量は200 gで、CNCアルミニウムで作られており、本体を持ち上げると満足感をもたらしてくれる重量と堅牢性があります。しかし残念ながら、iPhoneと同じく、Shangling M6はケースで保護する必要があるプレーヤーです。あなたが自分の持っているスマホやDAPを決して落とさないという自信がある、クレイジーなほど手先が器用な人間でないならば、申し訳ないですがケースに入れて持ち運んだ方がより安全です。
2.5Dの湾曲したガラスパネルが実によい仕事をしてくれます。Shanlingのことをあなたの友人が知らない場合は、彼にM6の実際の小売価格の2倍の値段で売られていると言っても、信じてしまうでしょう。本体に目視できるネジがまったくないという事実は、この製品の完璧性を物語ります。画面には720×1280の高解像度を備えたシャープ製の4.7インチIPS HDディスプレイが搭載されています。
同じ価格帯では、Shanling M6よりも優れた仕上げが施されたプレーヤーはたぶん見つけることができないでしょう。
パッケージ
Shanling M5Sのパッケージはちょっと……ひどかったですが、M6のパッケージのバンドル内容は以下の通りです。
- Shanling M6
- USB Type-Cケーブル
- クイックスタートマニュアル
価格未定ですが、オシャレなレザーケースは別途注文する必要があります。
操作インターフェース
操作インターフェースは最小限のミニマルデザインで、しかもよく機能するように作られています。ギザギザのボリュームノブは目隠ししても簡単に見つけることができ、画面のオン/オフボタンにもなっています。残念なことには、ホイールの反応は敏感すぎる可能性があります。プレーヤーの反対側には、再生/一時停止ボタンと曲戻し/曲送りのトラック操作を行う2つのボタンがあります。操作を確認するために説明書を読む必要がないインターフェースで、チンパンジーでも使いこなせます。高価でありながらシンプルで効率的なデザインのオーディオ機器を見ると、途端に惹きつけられてしまいますよね!
バッテリー性能
素晴らしいことに、M6はUSB Type-Cのコネクタを持ち、QuickCharge 3.0に対応しています。バッテリーは約4000mAhで、Shanlingの公称スペックリストに基づけば12時間連続で使用できます。DSD/FLAC以外のファイル形式を使用したテストでは、画面をオフにした状態で13時間以上の動作が確認されました。それに加えて、充電時間は2時間で済み、3〜4時間かかったM5Sに比べて非常に高速です。4000mAhのバッテリーはパワーでは大幅に劣りますが、非常に長時間稼働します。M6をあちこちいじり回しながら、スクリーンを最大輝度設定にした上でホームセットスピーカーにつなぎ、高ゲイン設定に固定して、DSDファイルの音楽を流し続けてみました。結果は約5.5時間再生でき、一度に何もかもをアクティブに動作させていたことを考えると、この結果は非常に良好です。
M6の入出力インターフェース
M6の入出力ポートはすべて本体底部に存在しています。
- Shangling M6をコンピューターに接続してDAC/アンプとして使ったり、逆にDAPをソース入力元にするためのデュアルウェイUSB Type-Cポート
- 3.5mm3極シングルエンド出力ポート
- 2.5mm4極バランス出力ポート
- 4.4mm5極バランス出力ポート
Shanling製DAPの第1世代は、ほとんど多すぎるくらいの入力出力(実際には同軸入力ばかり)があったのですが、M5sでは4.4mmのバランス出力ポートが取り除かれていました。しかし幸いなことに、M6で再び4.4mmバランス出力ポートが使用できます。
ワイヤレス機能とDAC
M6はわずか499ドルで買えますが、多くの優れた機能を備えています。ワイヤレスオーディオが好きなら、最適なDAPです。 Wi-Fi、DLNA、デュアル方向Bluetooth対応です。つまり、Bluetooth信号をプレーヤーでストリーミング再生したり、プレーヤーから発信したりすることが支障なくできます。M6をBluetoothスピーカーやBluetoothヘッドホンとペアリングしたくなるのですが、ペアリングしづらいとか、頻繁に切断したりとか、ペアリングでバッテリーが消耗してしまうといった問題が1つもありませんでした。あるいは、Shangling M6をBluetoothレシーバーモードで使用し、スマホやタブレットとペアリングするだけで、音楽、映画、Spotify、Tidal、それにYoutubeでさえ最高品質の音質で楽しむことができます。レシーバーモードで使用できるコーデックはSBC/AAC/LDACになります*1。
M6の回路には、旭化成のAK4495S EQ DACがデュアル構成で組み込まれています。DACは音楽ファイル処理を担当しており、この点に関しては、M6は他製品に引けを取りません。最大32bit/768kHzのPCM音源ファイルと最大DSD256までのDSD音源ファイルに対応しています。音楽ファイルのほぼすべてを充分以上に処理してくれ、同じ価格帯の他のDAPに対しても競争力があります。参考までに、最新のミドルレンジDAPであるiBasso DX160(販売価格はM6の499ドルに対して469ドルです)は、最大384kHzまでしか再生できません。
ワイヤレスオーディオの選択肢もあります。以下で詳細に説明しますが、音質の上でも、Bluetoothオーディオは非常にうまく機能します。M6は、LDAC、aptX、およびAACを含むさまざまなBluetoothコーデックを処理できます。有線接続の方がBluetooth伝送よりも優れていることが確認できましたが、その違いはほとんど目立ちませんでした。ほとんどの場合、安心してBluetoothを使用できるでしょう。
ユーザーインターフェースと機能性
M6は、オクタコアのSnapdragon 430 SoCを搭載しており、4GBのメモリと組み合わされています。32GBの内蔵ストレージを持ち(ただし、Androidのシステムが内蔵ストレージを消費するので、使用可能な容量はこれより少なくなると予想されます)、メインストレージ用にmicroSDスロットも1つ用意されています。Android OSに最大限準拠しているので、サードパーティー製のアプリをインストールできます。Androidはカスタマイズされていて、AndroidのSRCによる問題や音質低下を回避しています。Androidベースの最新のスマートフォンと変わらない使い心地です。システムを起動してホーム画面が表示されるまで7秒ほどしかかかりません。UIは高速で応答性が高く、ギャップレス再生は完全に機能し、テスト中、音声の欠損は全く見つかりませんでした。
音質
エントリーレベル製品から高級機種まで、さまざまなヘッドホンとイヤホンを使用してM6をテストしました。シングルエンド出力とバランス出力の両方を、通常のテスト音源だけでなく、さまざまなスタイルとジャンルの楽曲をカバーする最新の音楽ライブラリを用いてテストしました。
私が聴いた感じでは、Shangling M6の音の特徴は、音色はニュートラルに近いですが、フラットだったり退屈な感じではありません。それどころか、DAPの優れた解像度とディテールに矛盾するかのように、そのサウンドには豊穣さと音楽性があります。M6の音は量感があり楽しい音ですが、とげとげしい感じはありません。
音は非常に自然でダイナミックさがあり、低音はタイトで質感に満ちています。このDAPにさまざまなヘッドホンを組み合わせてみれば、それぞれのヘッドホンが持つ独特の低音表現がどのように形成されるかを楽しむことができます。
優れた音色とシームレスなチューニングにより、中域が本当に鮮やかです。色づけは少ないまま、中域はほぼ実体の感じられるボディを持っており、しかも各音の定位は常に明確です。高音も非常に興が乗る感じで、滑らかでありながら音の密度を犠牲にすることのない風通しの良い音に分類されます。ディテール感は豊かであり、レイヤー感と音の正確さに優れた高音の拡張性があります。
M5sやM3sと比較してみますと、Shanling M6の音像印象(サウンドシグネチャー)は、豊かで魅惑的な、温かい中高域を持つM3sにやや傾向が似ています。M6は、もう少し高音の伸びと抜けの良さに、正確な音色表現とより良好な分離感を備えた、よりリファレンスなサウンドです。
音場
Shanling M6の広い音場感はm3sやHidizs AP80よりもはるかに優れています。左から右への空間表現と楽器の分離感は非常に優れています。M5sでテスト音源で楽器音を聴き測った感じでは、これほど広く遠くまで到達する感じはありませんでしたが、ShanlingはM6で音場表現を大幅に改善しています。
M6は、32Ω負荷時に330mWの電力を提供するので、ほとんどどんなヘッドホンでも良好に鳴らしてくれます。AudioQuest Nighthawk Carbonのような素晴らしい音場を備えたヘッドホンも鳴らせることが分かりました。ライブ映像を楽しむ場合、幅広いサウンドを持つヘッドホンモニターと買い合わせるのに最適なDAPです。
総評
ShanlingはこのDAPのために素晴らしい仕事をしました!値段設定は期待される品質を考えると素晴らしく、価格よりもはるかにパフォーマンスに優れています。バッテリー持続時間は非常に良好で、スムーズな操作を実現してくれるAndriod UIとQualcommのCPUはとても心地よく思えました。このミドルレンジプレーヤーはもっとそれなりのパフォーマンスだろうと思っていましたが、ビルドの品質だけでなく、サウンドの品質においても手堅い製品です。
数少ない欠点は、パッケージに保護ケースが含まれていないことと、MicroSDスロットを開けるのが難しいかもしれないことです。それを差し引いても、M6は素晴らしいミドルレンジDAPです。$500付近でDAPを探しているオーディオファンに文句なくおすすめできます。
- 元記事の公開日:2019/09/28
- 著者:Candice Song
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*1:M6はAACにはデフォルトで双方向送受信に対応していない気がしますが、OSアップデートで対応するのかも知れません。