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【中華イヤホン IKKO OH10 レビュー】ドシッとした低域と艶やかさ重視の中高域を持つ。OH1に比べて濃厚感が増し、価格帯最高クラスのメロウなサウンドを手に入れた。ボーカルフォーカスは良い。おすすめ

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IKKO OH10

IKKO OH10

IKKO(アイコー) OH10 Obsidian(オブシディアン)ハイブリッドイヤホン リケーブル対応

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は軽い」

おすすめ度*1

IKKO OH10

ASIN

B07VH916DQ

スペック・評価
再生周波数帯域 20~40000Hz
インピーダンス 18Ω
感度 110db
ドライバー構成

2ドライバー(BA×1, DD×1)

 音質傾向

メロウ、濃厚、どっしり、ツヤツヤ、潤っている、みずみずしい、濃い

 ハウジングはOH1が航空アルミを使用しているのに対し、丹銅を使っている。変更点は材質だけでデザイン自体はOH1から変わらず、装着感は相変わらず良好。遮音性も結構高い。

 

テスト環境

 今回のテストはCayin N6II/T01Astell&Kern KANN CUBEa&norma SR15ONKYO GRANBEATHiby R6 Proで行っている。なおイヤーピースは個人的なレファレンスである、JVC スパイラルドット++のLサイズを使っている。

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【2】外観・インターフェース・付属品「2pinリケーブル対応」

 付属品はイヤーピースの替え、専用キャリイングケース。

 

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【3】音質「ツヤとコクを強く出す中域から中高域へのフォーカスと、ドシッと下に重い中低域を持つ」

 個人的にIKKOの音響デザインは最初のリリース製品OH1の頃から注目していた。丁寧なボーカルフォーカスと、価格帯では一段上の質感を持つ、力強い低域表現をうまく組み合わせた聴きやすさと迫力を両立させたそのサウンドに、素直に驚嘆したことは以前OH1のレビューに書いた

 OH1のリバランスモデルとされるOH10についても当然関心を持っていて、リリース当初に早速聴いてきたことは以前報告したが、そこでも述べたようにOH1に比べてより重心が低いサウンドになっている。当時の感想として、OH1よりアグレッシブな高域というのはいまいち掴み切れていなかったが、今回じっくり貸し出し機を提供して頂き、試聴する機会を得て、なるほどたしかに曲によってシンバルに明らかに金属的な硬質感が強く出る感じがあり、基本的に滑らかでシルキーな質感のOH1よりは幾分ジャキッと手応えを感じさせる攻撃的な輪郭を持っているようだと気づかされた。金管の粒立ちもより強調されているように感じる。ただ高域の明るさ自体は基本的にOH1の方が強く感じられる。

 低域音がドシッと重く出る感じはOH1に比べて強く感じられ、高域が少し暗くなった分だけ中域によりフォーカスされるようになり、音のコクは強くなっている。そのため音のツヤをより強く意識させるようになった。

 私はこの音に、夕日を浴び、その光をツヤツヤと反射する水面をたたえた、海のような豊かさを感じる。

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私はそのサウンドを豊穣の海と呼びたい!


 

 このイヤホンについて私が持つサウンドイメージを曲で表現するとなると、たとえば次のような曲になる。

 

DAP相性

 やや中域から中高域で濃く出る傾向があるので、標準ケーブルだと輪郭感が甘いDAPにつなぐと少しもやっとしやすい。好みにもよるだろうが、a&norma SR15のような少し音をならすような広がりを持たせるDAPにつなぐと、低域のドシッとした重みが強く出やすく、支配的になるところがあり、音場に少し重たげな感じが出てくる。

 同じように重みを感じさせやすいN6II/T01も重みが強いが、こちらは中高域でカッツリした手応えがあるために、低域支配力が強すぎる感じはない。個人的にはN6II/T01と繋いだときの音が一番濃厚で説得力を感じるが、人によっては濃すぎるかもしれない。

 個人的な観点では、DAPではESS系の輪郭を強調する中高域表現と相性が良い印象を受け、Hiby R6 Pro、ONKYO GRANBEATで中高域により明確な分離感が感じられ、音により繊細さが感じられる印象を受けた。個人的にはとくに分離感で優れるKANN CUBEが手持ちでは最も相性が良いように思う。

 低域支配力が少し強く、音も濃いめに出やすいため、やや音場が詰まりやすいところはある。Luminox Audio Reflectionにリケーブルしてバランス接続してみると、音場の詰まる感じはなくなり、明るさも増して風通し良く聞こえるようになる。

 

美点
  1. ツヤがある中高域
  2. とくに女声へのボーカルフォーカスに優れる
  3. ドシッと重くスピード感もあってリズムコントロールの良い低域
  4. 音が濃くはっきりしている
  5. 高域の高いところに強調があり、粒立ち感はしっかり
  6. 基本的にはウォームで聞き心地が安定している
欠点
  1. 高域は少しだけ暗く、基本的にマイルドカーブしている
  2. 低域支配力が少し強く、音源によっては篭もった印象を受けるかも知れない
  3. 開放感は抑えめ

 

[高音]:高域は基本的にマイルドカーブして尖りや派手さを抑えているが、シンバルの空気感や金管の粒立ちは少し強調されていて、やや目立つように調整されている(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中高域にツヤツヤのあたりに強調点がある。中低域方向は引っ込み、中高域に向かって前傾しているようなので、中域は少し明るく、ギター音やボーカルはやや上で伸びて感じられる。しかし高域はマイルドに調整されているので、突き抜けすぎず、自然な高さで消えていく。

[低音]:100hz~40hzまで厚ぼったい振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。ドラムキックに強調点があり、少し広めにドシッと出る。中低域の上側で膨らむ感じはない。そのため一般に沈み込みはよく聞こえるだろう。OH1と異なり、ベースよりドラムの方が強く感じる。この低域は制動力が良く、どちらかといえば広がりのあるブーミーな系統の音にも関わらず、音がゆるくなる感じはほとんどない。ただし元々量感は多めなので、音量を上げるにつれ膨らみが大きくなりやすく、コントロールが緩くなり、ボワつきやすくなる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:シャリシャリではないが、少しアグレッシブな高域と、中高域のツヤ出し感、中域からよく分離されたどっしりした低域というキャラクターを考えると、普通はドンシャリと分類されると思われる。低域支配力がやや強く、音場には温かみがある。どっしりとした低域が広く感じられ、次に中高域でも少し広がりを感じさせるような音響になっている。縦軸よりは横幅に広く感じられるだろう。中域でやや前屈みなところもあり、低域も近いので奥行き感はあまり強調されない印象がある(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:タムやスネアも少しビシバシ感が強く、バスドラキックも重くはっきりズドンが出るうえに、リズムコントロールもよいので、かなりドラムスは活き活きと躍動的に聞こえる。弾みの良いバズンバズン。スネアやタムはビシバシしているが明るさは控えめなので、ハイハットのチンチンした感じは良く出るし、高いところのシャンシャンもそれなりに感じられるため、浮き上がりも良い(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは女声ボーカルに比べると、やや薄まる感じがあるが、それでも適度にフォーカスされている。声色はややホットでツヤもある。女声ボーカルへのフォーカスは強く、ツヤはたっぷり聴かせてくれる。高域方向へは少し閉じている感じがあるものの、中高域で少し伸びてマイルドに抜けていくので、天井感はほとんど感じない。

 

【4】官能性「ツヤのある、あでやかなみずみずしい中高域が一番の魅力。そして、少し強めの低域はその中高域に命を吹き込む」

水瀬いのり「Wishing」

youtu.be

【SR15/Cayin N6IIで鑑賞】音の輪郭が柔らかいSR15だと少しふんわりする感じがあるので、中域で音がべたーっと広がる感じがある。またこの曲はキックにそれほど強調がないので、やや柔らかめにぼやっとして聞こえるところはあるかも知れない。ただその分ボーカルフォーカスは強く、甘味とコクもよく出てまろみのある声色で聴かせてくれる。

 それに比べると、Cayin N6II/T01は中高域でもう少しドライで硬質な手がかりをはっきり出し、より目鼻立ちが良い感じになる。コントラストが増した感じがあり、低域も心なしかより濃い。中域では濃厚感が増していて、少しバタ臭い、音が太い感じがあり、没入感は高い。牛乳でたとえると、SR15の音が低脂肪乳に思えるほどには、コクと濃厚感が増して感じられる。ドンシャリ感は高まっていて、リズム音はちょっとまろやかですっきり気味のSR15に比べて、ズシャズシャとした、より重さと手応えを感じさせるものになっている。

 


TVアニメ「 Re:ゼロから始める異世界生活 」後期エンディングテーマ「 Stay Alive 」

 

Uru「Scenery」

【Cayin N6II/KANN CUBEで鑑賞】Cayin N6II/T01は風味を出す空気感のようなフロアノイズがあり、さらにピアノのサステインペダルを踏む音もかなり明確。さらにベース音にどっしりとのしかかる重厚感がある。OH10の濃厚感の出し方はうまいが、Cayin N6II/T01はさらにそれを磨き上げてくれる感じがある。ただし目鼻立ちは濃いめで音も太く、圧迫感はやや強くなる。

 KANN CUBEはむしろ音場を気遣っているような出音で、たとえば低域はのしかかり気味のCayin N6IIの音に対して、より下で重く、中高域も低域から充分に離されて、中域に少し開放感が出て若干風通しが良く感じる。

 OH10はこの曲でUruのみずみずしいツヤと深みのあるドシッとしたコシを感じさせてくれ、潤い感と甘味をよく共存させてくれるが、とくにCayin N6IIの表現にはドカッという重みがあって、より濃く切迫したものがある。KANN CUBEのほうは幾分スッキリしてむしろ圧迫感をセーブしている感じすらあり、聞き心地は安定していると言えるが、迫力では少し劣る。ただし分離感と解像度という面ではあきらかに音の聞き分けが丁寧にできるのはKANN CUBEのほうではあるが。

 とにかくこの曲では、OH10は映画的なドシッとした低域音響と、艶やかでコクのあるボーカル表現とそれをメロウに支える中域を濃厚に感じさせてくれ、かなりの説得力を発揮してくれる。

 


願い (期間生産限定アニメ盤) (Blu-ray Disc付) (特典なし)

 

西木康智「Octopath Traveler -メインテーマ-」

【Cayin N6II/Hiby R6 Proで鑑賞】Cayin N6II/T01は中域で少し渋い感じがあるので、木管や弦楽に少し古風な空気感があり、この曲の神話叙事詩的な世界観が出ている。しかも上の方ではシンバルがかなりドライな感じで清涼感を出すのも、炭酸水がはじけるような感じで曲に味わいを出している。もちろんOH10の濃厚な表現力あってこそで、横幅の広い雄大な音響のおかげでオーケストラの広がりが丁寧に出る。

 さて、一方のHiby R6 Proのほうはもう少しデジタル的な中域になっており、全体的にツヤ重視でみずみずしく上に花開くような蓮華を思わせるサウンドになっている。Cayin N6ii/T01が質感的にシンバルにコントラストを出して強調していたのに比べると、こちらのシンバルはむしろ管楽や弦楽の延長線上にある潤い感を持っており、水しぶきを上げているかのよう。

 どちらにせよ、OH10はこの価格帯では壮大なオーケストラサウンドにも強いほうで、サウンドトラック曲などでも充分に満足させてくれるだろう。

 


OCTOPATH TRAVELER Original Soundtrack

 

Rasmus Faber「Cha-La Head-Cha-La(Jazz Ver.)」

【Cayin N6II/Hiby R6 Proで鑑賞】Cayin N6II/T01は中域で広がりのある燻るような濃厚感を、高域で清涼感のある乾いた爽快な音を奏でるのが特徴だが、OH10は音が濃く太く目鼻立ちがくっきりしているので、それだけその質感の差を丁寧に感じさせてくれる。この曲の中域で元気いっぱいなサウンドが画面から飛び出してくるように、パノラマに聞こえてくる。低域の存在感もしっかりしているので、低域弦楽のボンというあたりは活き活きと聞こえてきて、しかもリズムコントロールはよく明瞭。JAZZは少しくっきりさせて聴かせる感じだが、ノリはとても良く、よい雰囲気に思う。

 Hiby R6 ProはやはりCayin N6II/T01と比べると、全体的にみずみずしい。低域の鳴り方もN6IIがどちらかといえばドンドンという重さを感じさせるのに対し、R6 Proは滾々と湧き出る泉のような少し浮き上がりのよい印象を受ける。

 


ラスマス・フェイバー・プレゼンツ・プラチナ・ジャズ ~アニメ・スタンダード Vol.4~

【5】総評「OH1との価格差が気になるが、より濃厚でメロウなサウンドは魅力的」

 ぶっちゃけ個人的にはOH1との価格差がどうしても気になるところで、実売価格で5000円以上の差を考えると、どうしてもOH1に目が行きがち。ただこちらのほうがよりコクとツヤがあり、どっしりとしたメロウサウンドを聴かせてくれるので、ポップスやR&Bではより説得力を感じやすいことが多いのは事実。とくに湿っぽいボーカルはうますぎるくらい。それに低域の量感多めにも関わらず、リズムコントロールがよくて楽しい。

 個人的にはこのイヤホンとCayin N6II/T01を組み合わせたときの音にかなりの魅力を感じる。

 

IKKO OH10

IKKO OH10

IKKO(アイコー) OH10 Obsidian(オブシディアン)ハイブリッドイヤホン リケーブル対応

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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