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【中華イヤホン MacaW GT600s Pro レビュー】清潔でメタリックな冬空のような澄み切ったクールサウンド。ノズル交換で音質変化も楽しめる。おすすめ

ヘッドライン

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MacaW GT600s Pro

MacaW GT600s Pro

【国内正規品】 MacaW チューニングノズル搭載 ハイブリッド カナル型 イヤホン GT600s Pro

 

この製品のポイント
  • ノズル交換システムによりフラットからドンシャリまでの音質変化を楽しめる
  • ドライで少しメタリックだがすっきりと聴きやすい音
  • ボーカルや楽器音は基本的に清潔で透明に聞こえ、ソリッドでシャープ

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「小型で耳への収まりは良い」

おすすめ度*1

f:id:kanbun:20200305004853p:plain

ASIN
B07F1QZVF9

 小型の金属ハウジングは耳への収まりが非常に良いです。遮音性はそこそこです。  

 

テスト環境

 今回のテストはFiiO M15Hiby R6 PROGalaxy A30ONKYO GRANBEATFiiO M11 Pro SSで行っています。ゲイン設定は基本的に「低」設定です。

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装着サンプル

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【2】外観・インターフェース・付属品「ビルドクオリティは充分に高級感あり。mmcxリケーブル可能」

 付属品はイヤーピースの替え、ノズルの替え、説明書です。ケーブル端子はmmcxです。イヤーピースは茶軸のシリコンタイプの他にウレタンフォームタイプが付属しています。

 ONZOのサブスク版なので付属品の詳細はこれ以上は割愛します。ONZOのサービスについて興味がある方は以下をご確認下さい。

 

www.phileweb.com

www.onzo.co.jm

 

MacaW GT600s ProMacaW GT600s Pro

MacaW GT600s ProMacaW GT600s Pro

 

スペック情報
  • 再生周波数帯域:10~40000Hz
  • インピーダンス:16Ω
  • 感度:98dB
  • ドライバー:ハイブリッド型(ダイナミックドライバー×1, バランスドアーマチュアドライバー×1)

 

【3】音質「3種類のノズルで3種類の音。ノズルごとの変化はそれなりに大きく、フラットに近いバランスからザ・ドンシャリな音まで出せます」

周波数特性イメージ(試験運用中)
銀ノズル(標準)

 

黒ノズル(低域強調。実際にはフラットに近い)

 

金ノズル(高域強調、典型的なドンシャリで最もアグレッシブ)

※周波数特性イメージはあくまでレビューの便宜上、個人的に周波数分布のだいたいのイメージを掴むための参考情報で、測定方法も測定されたデータも非常にアバウトで厳密な信頼性や正確性に欠けます*2

 

レコーディングシグネチャー(試験運用中)

 レコーディングシグネチャーはバイノーラル録音されていますが、品質は良くありません。低域は抜けやすくなるので、イコライザーで低域を持ち上げていますが、それでも充分出ていません。したがって聴いたそのままの音質とは異なりますので、あくまで参考情報ということでお願いします。

 

原曲

www.youtube.com

銀の意志 Silver Will / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation

www.falcom.co.jp

 

銀ノズル

anchor.fm

 

黒ノズル

anchor.fm

 

金ノズル

anchor.fm

 

各ノズルの違い(水瀬いのり「ハートノイロ」)

 パッと周波数特性イメージを見て、音質を軽く聞いた感じ、水瀬いのり「ハートノイロ」みたいな曲が楽しめ、かつ音質変化も感じられやすいかなぁと予想したので、それで各ノズルの違いを簡単に解説します。

ハートノイロ

ハートノイロ

 

銀ノズル

 標準ノズルです。全体的な印象はやや高域に寄せたU字サウンドという感じで、抜けが良くのびやかですが、輝きは相対的に抑えられており、清潔感が意識されています。すべてのノズルの中で風通しが最も良いサウンドで、ボーカルに爽やかな清涼感があり、適度なスネアも金ノズルほどではありませんがアタック感を出し、ハイハットも元気にアタックしてくれます。

 全ノズルの中ではどちらかというと高さを最も意識させるサウンドになっており、音場は開放的です。ピアノ音などは自然よりは少し明るい色づきで、わずかにキンとした緊張感のある凛とした透明感のある音色です。低域は薄味気味なので、全体的にアップトーンな雰囲気があり、音楽全体が上昇気流に乗って聞こえます。

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黒ノズル

 低域強調ノズルです。しかし、実際には低域が強調されると言うよりは全体的に凹凸が減ってフラットに近くなると言った方が当たっており、一般にボーカルは銀ノズルより前に出ており、最もボディが乗って聞こえると思います。

 全ノズルの中で最も聴き心地の良い、落ち着いたサウンドを持っており、銀ノズルの持っていた高域の派手さを適度に維持しつつ、シャープネスを抑え、楽器音に甘味を少し出して聴かせます。その代わりに、楽器音の伸びやかさ、ダイナミズムは明らかに減少し、最も安定的なサウンドを実現します。リズムは落ち着き、スピード感は適度にセーブされますが、元々スピード感早めのイヤホンなので、これでも速いくらいに感じられるかも知れません。

 エレキベース音が明瞭にはなりますが、元々低域は薄味のイヤホンなので、低域強調だからと言って、低域ジャンキーを満足させられるような低域は出ません。

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金ノズル

 高域強調ノズルです。しかし、実際には中域の谷間を深くし、中高域が持ち上げられてアタックが強調されたドンシャリサウンドを作り出すノズルです。そのため実際のところ、抜けの高さは銀ノズルの方が良好に思え、音がより高くまで伸びている気がするかも知れません。

 黒ノズルではボーカルのボディが増える感じでしたが、こちらはボーカルの最も媚びたあたりを強調するので、艶やかで華やかな雰囲気を加え、同様に銀ノズルより前進させます。ボーカルの強調される位置が異なるので黒ノズルとはどちらが前進しているかは単純に比較できませんが、一般に男声ボーカルなら黒、女声ボーカルなら金が相性が良いでしょう。子音の強調が強くなるので、臭みは少し強くなるかも知れません。サ行の刺さりが出る可能性も高いです。

 中高域の楽器音は非常にアグレッシブでスネアは最も前進してビシバシ感を強調し、ハイハットもギラつきを強めます。一方で中域の奥行き感は増すので、ピアノは若干後退し、中域の見通しは非常に良くなっているとともに前方定位的になり、左右も少し広く聞こえます。実際説明書ではクラシック向きと書かれていますが、音の雰囲気がクラシック向きかは好みがあるので置いておくにしても、音場の雰囲気はオーケストラ的になります。

 またリズムはスピード感が最も速く、たたき込みも強く、アタック感が最も強いです。

 銀ノズルや黒ノズルになかった艶やかさと華やかさのある音になりますが、中高域で輝きも強く、押し出し感も強く、ガチャリやすいところがあり、圧迫感もあるので少し聞き疲れはしやすいかもしれません。

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音域印象

 以下、銀ノズルでの音域印象を確認していきます。

 

音質のヒント

メタリック、開放的、抜けが良い、清潔、薄味、クール、スーハー感、子音が目立つ、スピード感がある、タイト、キラキラ、カリカリ、シャリシャリ、酸味がある、ドライ

 

低域「クリア、タイト、清潔」

 低域には全体の中では目立つ方ではありません。ベースはウンウンとした温かみのある響きを持っていますが、熱気が強い感じでもなく、厚みもそれほどありません。バスドラキックは重みを感じますが、ソフトタッチに優しくトントンした感じに聞こえます。スピード感は良く、少しタイトで遅れは感じません。むしろ少し速い印象を受けるくらいです。低域弦楽は厚みはそれほどなく、濃厚感はそれほどありません。深みは少しありますが、明るい印象です。躍動感は強くありませんが、そこそこあります。低域はやや空間が多いくらいに感じるかも知れません。クリアで清潔感はあり、見通しは良いですが、フルボディの濃さはないでしょう。

 

中域「奥行き、清潔、細い」

  中域は凹んでおり、一度奥行き感を出した後、中高域に向かって前傾しています。ボーカルは少し奥まり、楽器音が包み込んでいる雰囲気が感じられると思います。音は整理されて聞こえ、横幅をそれなりに感じさせてくれますが、一般的に太さには欠けて聞こえます。楽器音やボーカルはボディが少し不足して感じられるかも知れませんが、その分空間の見通しが良く、またシャープ感が音に伸びやかさと高さを感じさせてくれます。

 

高域「ギラつき、煌めき、高さ」

 中高域から高域で煌めきやシャープネスを強調するところがあり、音はメタリックでミニチュア的に聞こえます。高さや繊細さはよく感じられますが、倍音は少し強調されますので、弦楽の筋立ち感も強く、シャリシャリして聞こえるかも知れません。クールな雰囲気に聞こえると思います。アコースティックギターやハイハットの粒立ち感はしっかりしており、解像感は高いですが、少しカリカリギスギスした感じもあり、人によっては親しみが湧かない音に聞こえるかも知れません。音の質感はドライです。

 

ボーカル「ドライ、ハスキー、息の強調」

 ボーカルはボディの不足を感じやすいところがあり、やや細い印象を受けます。息の伸びが強調され、子音にも少し強調が出やすく、尖った印象を受けるかも知れません。歌詞は明瞭ですが、銀ノズルでは存在感の上でボーカルが主役になりにくいところがあります。また少しかすれがちでハスキーに聞こえやすいところもあります。

 

音場「高さ、見通し、乾燥感」

 音が少し細く輪郭がシャープに感じられるので、分離感は良好で、音が細い分だけ空間が多く、見通しが良い印象を受けると思います。高さは充分にあり、奥行きも感じられます。音はよく整理されて聞こえると思います。

 

全体印象

 ドライでメタリックなサウンドです。音の輪郭はシャープで低域でも見通し感は良く、全体的に解像感が高い印象を受けると思いますが、厚みや暖かみに欠けるので、やや人工的な響きに聞こえやすいところもあります。一般に金物は非常に鮮明で存在感があるでしょう。

 

音質因子評価
音質因子 評価
鮮やかさ
(鮮やか/色味が薄い)

鮮やか。金物はかなり発色良く粒立ちも細やかに聞こえるはずです。

鋭さ

(鋭い/鈍い)

やや鋭い。メタリックでシャープな感じがあります。
明るさ
(明るい/暗い)
明るい。少し煌めき感は強く、明るい音場になります。
派手さ
(派手/地味)
派手。ギラつきは少し強めです。
硬さ
(硬い/柔らかい)
やや硬い。どちらかといえばカリカリシャリシャリ系です。
尖り
(尖っている/丸みがある)
やや尖る。抜けが良いところもあるのでそれほど鋭利さが目立ちませんが、基本的にシャープです。
穏やかさ
(穏やか/騒々しい)
やや騒々しい。低域の暖かみは少し足りないので厚みが足りず、やや音が角張りギラつきます。
力強さ
(力強い/嫋やか)

普通。リズムのアタックは良好でスピード感も良いですが、量感的なパワフルさはそれほどありません。

豊かさ
(豊か/貧弱)

やや貧弱。少し音が細く、中域で涸れた感じが出るかも知れません。

太さ
(太い/細い)
やや細い。音は普通よりちょっと細めかもしれません。
手触り
(ざらざら/滑らか)
ややざらざら。手がかりは少し多めでシャリシャリしています。
粒感
(きめの細かい/粗い)
ややきめの細かい。少しリズムが細かく、アコースティックギターのエッジなども粒立ちがやや細かいです。
清潔感
(澄んだ/濁った)

やや澄んだ。ややメタリックにギラつきますが、基本的には清潔で抜けが良いです。

潤い
(潤いのある/乾いた)
乾いた。潤い感はあまりありません。
重さ
(重い/軽い)
やや軽い。低域は少し支えが弱いです。

 

ボーカル因子評価
ボーカル因子 男声 女声
澄んでいるか
(澄んでいる/濁っている)
やや澄んでいる やや澄んでいる

明るいか

(明るい/暗い)

明るい 明るい

伸びやかか

(伸びる、突き抜ける/天井感がある)

やや伸びやか やや伸びやか

潤っているか

(しっとりしている/乾いている)

乾いている 乾いている

太いか

(太い/細い)

やや細い やや細い

濃いか

(濃い/薄い)

やや薄い やや薄い

子音が強調されるか

(目立つ/目立たない)

やや目立つ やや目立つ

 

空間因子評価
空間因子 評価
主に中域の密度
(ぎっしり/スカスカ)
ややスカスカ
主に高域の高さ
(抜けが良い/天井感がある)
やや抜けが良い
主に低域の深さ
(深掘り感がある/浮き上がりがよい)
やや浮き上がりが良い
主に中域の奥行き感
(前進的/後傾的/前傾的/後退的)
やや前傾的
主に低域と中域の横幅
(広い/狭い)
やや広い
定位感
(頭内的/頭外的)
やや頭外的
分離感
(拡散的/密集的)
やや拡散的

 

美点
  1. 見通しが良い
  2. 手がかりが多い
  3. 充実感がある
  4. メタリック
  5. 音の粒立ちが細かい
  6. エッジが立っている
  7. アタック感がある
  8. アコースティックギターがきれい
  9. 明るい
  10. タイト
  11. スピード感がある

 

欠点
  1. 充実感に欠ける
  2. 低域が薄味
  3. やや軽薄

 

音質特性(サウンドシグネチャー)
[高域]
  • 抜けの高さ*3:A
  • 金属光沢感:A
  • クラッシュ:B
  • アタック:A
  • ツヤ:B
  • ディテール:A
Hint

 高域の分解能は高く、ややシャープに粒立ちを強調します。手がかりが多く、硬めのメタリックな煌めき感を楽しめます。しかし音が少し無機的で人工的に感じられるかも知れません。

 

[中域]
  • 甘味:B
  • 広がり:C
  • 濃厚感:C
  • コク:C
  • 太さ:C
  • ディテール:B
Hint

 中域は少し清潔です。ボーカルフォーカスは良いとは言えず、楽器音に少し埋没気味に聞こえるかも知れません。また低域が薄いので楽器音に沈み込みと量感的な厚みを感じづらく、実体感には少し欠けて聞こえるかも知れません。

 

[低域]
  • 深さ:B
  • 重さ:B
  • パンチ:B
  • 厚み:C
  • 熱気:C
  • 鳴動:C
  • ディテール:B
Hint

 低域はクリアな印象でやや軽い印象を受けます。すっきりと見渡せる感じになっており、モニター的ではありますが、暖かみや深み、重みに欠けるので、音楽全体が少しふわふわして聞こえるかも知れません。

 

[解像度・立体感]
  • 音場評価*4:B
  • 分解能*5:A
  • 音像明瞭性*6:A
  • 明るさ:A
  • 聴き心地:C
Hint

 音場はそれなりに広く、開放的で価格帯では充分な方です。手がかりが多く、煌めき感とともに音像が鮮やかに描き出されるので明瞭性は高いですが、少し金属的できつい感じがあります。音場の暖かみに欠けるので、聞き疲れはしやすいかも知れません。

 

[パーカッション・リズム]
  • ドラムの雰囲気:バスドラキックよりスネアの方がスナッピーさも出しながら目立ちやすいので、若干シャカシャカした細かい感じのリズムに思えるかも知れない。
  • ハイハットの雰囲気:ハイハットの粒立ちは少し派手めにシャリシャリする。
  • 弾け:A
  • 粘り:B
  • 重み:C
  • 濃さ:C
  • スピード感:A
Hint

 パーカッションは一般にスピード感重視で、スネアのスナッピーさやハイハットのシャリシャリ感が強いので、人によってはうわ滑って聞こえる可能性があります。ボディの鳴りがあまりないのでスカスカして感じられる可能性があります。タイトで空間成分が多く、ビシバシ感はやや強めです。

 

[ボーカル傾向]
  • 甘味:C
  • 媚び:B
  • ボディ:C
  • コク:C
  • 息感*7:A
  • 子音*8:B
Hint

 ボーカルはボディに欠けるところがあるので、やや薄く、乾燥していて女声ボーカルはハスキーに聞こえるかも知れません。子音は少し強調され、歌詞は明瞭です。

 

【4】官能性「開放的でスッキリ系メタリックなサウンド」

Tia「ちょっと出かけてきます」(vs Moondrop Starfield)

ちょっと出かけてきます

ちょっと出かけてきます

【FiiO M15(Pure Music Mode)で鑑賞】この曲の高域の金物系の音の粒立ちは強調され、ピアノも光沢が強めになります。そのためパリカリキラッとしたちょっと歯ごたえのある音の粒を楽しみながら、少し薄い清潔系のボーカルの、かすれがちの繊細な息遣いを聴く感じになります。低域は存在感が薄いので、音に太さはなく、空間は多めでリズムはタイトです。人によってはガチャつく印象を受けることもありそうで、甘味は少なめのクールサウンドになりますが、シャープネスがあってソリッドな手がかり多めの感じになるので、分解能の高い音が好きな人には好まれると思います。

 

  同じ価格帯で同じく見通し感の良い音場を持つMoondrop Starfieldと聞き比べてみます。Starfieldは低域がしっかりしており、ドラム音の胴鳴りがしっかりしていますから、実体感がある音がするのはStarfieldでしょう。暖かみと甘味もあります。またボーカルのボディもしっかりしているのでかすれる感じはあまりなく、少しふっくらした厚みのあるボーカルになります。高域ではハイハットが清潔で透明感があり、アコースティックギター音は黄金色くらいに色づいています。音場の広さは同等くらいだとしても、充実感という点ではStarfieldが一般に勝っているので、万人向きなのはStarfieldのほうです。

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 個人的には濃い音が好きなので、Starfieldの方が好きです。

 


ハートリアライズ

 

fhána「天体のメソッド ~Quote from Stardust Interlude~」(vs NF Audio NA1)

天体のメソッド ~Quote from Stardust Interlude~

天体のメソッド ~Quote from Stardust Interlude~

【FiiO M11 Pro SS(Pure Music Mode)で鑑賞】音は繊細に輝きも少し強めに聞こえるので、この曲の繊細な雰囲気をよく楽しめます。ボーカルは清潔で楽器音と比べてもフォーカス感があまりなく、存在感が適度にセーブされているので、全体の透明な楽器音の中に埋没して、透明に沁み込むように聞こえてきます。それでいて息の伸びや子音の輪郭は少し強調されているので、歌詞が聴き取りづらい感じはありません。ピアノ音や弦楽音は沈み込みがほとんどなく、濃さもないので透明で澄み切ってシャープに聞こえます。

 

 同じ価格帯で同じようにモニター的と言える音を持っているNF AUDIO NA1と聞き比べてみます。NA1はGT600s Proに比べてくっきり感がある音を持っており、より色づきがしっかりしています。音が少し太く、中域で少し密度が増しているので、音場は少し狭い感じになっていますが、ボーカルに甘味とボディがあるので声の伸びに濃淡があって現実感があります。透明で透けたGT600s Proの冬の空気のようなボーカルに比べると、滑らかですが艶があってみずみずしさも感じられるのでもう少し春めいている声色です。楽器音も全体的に少し艶やかで化粧を感じます。逆に煌めき感は適度に落ち着いており、メタリックなギラつきは目立たないようになっています。 

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 この曲をクールで少しスースー肌寒いくらいの張り詰めた感じで聴きたいなら、GT600s Proが清潔で透明な澄んだ空気感のある冬空のような音楽を聴かせてくれます。もう少し暖かみのある正統派モニター的なサウンドが好きならNA1を選ぶと良いです。NA1は万能系と言える音で、基本的に万人向きな雰囲気があります。

 


ソナタとインターリュード

 

Endorfin.「Sincuvate」(vs SIMGOT EM2)

Sincuvate

Sincuvate

【Hiby R6 Pro SSで鑑賞】粒立ちは繊細に出ますが、少し音が硬めでガリガリくらいの手応えがあります。ドラムサウンドはタイトでスピード感がありますが、アタックが強くビシバシするので少しせわしなく思えるかも知れません。ただ疾走感は良く出ているので、リズムの激しい感じが好きならかなり満足できるはずです。ボーカルはかなり透明で、楽器音に埋没していますが、例の如く子音は明瞭で歌詞はしっかり聴き取れます。ややガリガリカリカリした感じが強いですが、抜けの良いところがあるせいか、ギシギシ感はそれほど強くありません。

 

 同じ価格帯くらいで女声ボーカルが魅力的なSIMGOT EM2と聞き比べてみます。EM2は中域で充分に甘味があるので女声ボーカルがほっこりしており、楽器音の艶もツルッとした光沢感があります。低域はやや厚みを出してドンドコ感が強めです。そのため、GT600s Proのやたら足回りが早かったせわしないリズムに比べると もう少し踏み込みがしっかりした、安定感のあるどっしりした床面になります。

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 個人的に聴きやすく、好みなのはEM2なんですが、緻密でスピード感があるのはGT600s Proのほうです。

 


Sincuvate

 

【5】総評「硬いメタリックな清潔系サウンドが好きならおすすめ」

 基本的には清潔でクールな音を持っており、高域で粒立ち感とシャープネスが強調され、やや手応えと手がかりの多い、ソリッドなサウンドを聴かせます。実体感は抑えめで、音が透ける傾向があるので、ボーカルの存在感はやや薄味ですが、子音は強調され息感もはっきりしているので、歌詞が聴き取りづらいということはあまりないと思います。ノズル交換で音質変化も楽しめるので、手ごろな価格の割になかなか楽しめる一品です。

 

  • メタリックサウンド
  • 開放的で清潔な空間
  • ノズル交換で音質変更可能

 

MacaW GT600s Pro

MacaW GT600s Pro

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

*2:音量による変化、各イヤホンの特性を考慮した補正などを行っておらず、測定環境もスマホマイクで集音しているので非常にアバウトで厳密ではありません。レビュー執筆の参考に使っていたものの、これまでは公表してきませんでしたが、これまでサンプルを取って聴感上の印象と照合してきた感じ、それなりに参考にはなりそうなので、試験的に公開していきたいと思います。いずれ勉強を深めて信頼性を高めていきたいとは思いますが、本ブログは周波数特性の測定をメインとしていませんので、期待しないで下さい。私自身も聴感上の音像印象の解釈の補助として利用しているだけで、この周波数特性イメージを全面的に信頼し、依拠しているわけではありません。

*3:全般的に言えることですが、この評価は主観的であり、しかも音はバランスと好みが大事だということに留意して下さい。Aのほうがその分野では優れていると判断していますが、たとえばシャリ付きが苦手な人はクラッシュがAの評価のイヤホンは避けるべきです。あと稀にSが出てくると思いますが、Sは「やりすぎ」という意味で、必ずしも良い評価とは限りません。ただしその音質特性が好きな人には良いでしょう。

*4:価格帯を考慮した相対評価です。

*5:価格帯を考慮した相対評価です。

*6:価格帯を考慮した相対評価です。

*7:主にサ行が刺さるかどうかです。スーハーしている感じが強いかです。

*8:主にツ音が尖るかどうかです。Aに行くほど尖ります。

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