NF AUDIO カナル型イヤフォン クリアブラック NF-NM2-CBK
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はNF Audio NM2です。NF Audioは日本ではあまり知られていないメーカーですが、中国では廉価で良質なインイヤーモニターの製造メーカーとして一定の地位を築いています。
NM2はそのNF AudioがDTMやステージモニタリングのプロ用途に耐えうる音質と廉価な価格設定を兼ね備えたモニターイヤホンとしてリリースしたモデルです。実際のところ、その看板に偽りはなく、廉価なモニターイヤホンとしてかなり有力な選択肢になりえるでしょう。
- NM2はダイナミックドライバー搭載カナル型イヤホン(シングルユニット)です。
- ダブルキャビティダイナミックドライバー「MC2L-10」を搭載
- 強力な磁気回路を有しているためスマートフォン、パソコン、オーディオプレーヤー、タブレットと機器を選ばずご使用いただけます。
- イヤホンケーブルは着脱式採用のためリケーブルにより自分好みにカスタマイズすることも可能です。(コネクタの形状によりご使用いただけない場合がございますのでご注意ください。)
- カスタムイヤホン分野で蓄積してきた経験と人間工学に基づき設計されたハウジングは長時間のご使用でも疲れにくく快適な装着感を提供します。
- ステージモニタリング、音楽制作、電子楽器のパフォーマンスなどプロフェッショナルアプリケーション向けに最適化されたモデル。
なおこのレビューはONZO様の素晴らしいサービスを利用して作成されました。感謝とともにONZO様のますますのご発展をお祈り申し上げます。
ONZO様のサービスについて興味がある方は以下をご参照下さい。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:10hz-40kHz
- インピーダンス:18Ω
- 感度:108dB
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
パッケージ
イヤホンのパッケージはこの価格帯ではわりと豪華です。付属品はイヤーピースの替え(バランスタイプと低域強調タイプ)とキャリイングケース、3.5mm→6.3mm変換プラグ、説明書(日本語含む)です。
装着サンプル
装着感は良好です。ユニバーサルIEMタイプで、耳への収まりは良く、遮音性も良好です。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [AET07 M装着時]左右別
- [AET07 M装着時]左右平均
- [AET07 M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [AET07 M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース(バランス) M装着時]左右別
- [標準イヤーピース(バランス) M装着時]左右平均
- [標準イヤーピース(バランス) M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース(バランス) M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース(BASS) M装着時]左右別
- [標準イヤーピース(BASS) M装着時]左右平均
- [標準イヤーピース(BASS) M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース(BASS) M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※「AET07 Mサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
まず付属のイヤーピースですが、バランスタイプはおそらくAET07だと思われます。そしてBASS(低域強調)のイヤーピースのほうですが、高域が少し落ち着く感じがあるものの、聴感的にも測定上もそれほど低域が強調されるわけではないようです。
サウンドシグネチャー的には低域が少し隆起していますが、非常にフラットなバランスでモニター的と言えます。中高域と高域に少しピークがあり、ディテールが強調されて聞こえるようになっています。
低域の少しの隆起によって、サウンド全体はどちらかといえばウォームになっており、聴き心地に安定感があります。低域のレイヤリングはモニターモデルとしてはわずかにディテールとレイヤリングが甘い気がしますが、ベース音の沈み込みも良く、深みがしっかりと感じられます。
中域はボーカル帯域に少し強調があり、ボーカルは少し前面に出てきます。ボーカル周りの清潔感は中庸か、わずかに濁っているかも知れません。中域上部から中高域下部の落ち着きによって、楽器音は安定的で音像の聞こえも良く、中高域上部の強調によって、抜けと色づきも調節されています。派手ではありませんが、艶が充分に感じられ、音の輪郭もはっきりめに聞こえるでしょう。トランジェントも良好で、音にハリと透明感が感じられます。
総合すると全体的によく調整されたモニターモデルで1万円ちょうどくらいでフラットなモニターサウンドを探している人にはおすすめできます。癖のないサウンドですが、低域の重みは少し強めなのが、モニターとしては好みを分けるところかも知れません。
※私のブログのレコーディングシグネチャーを聴く場合の標準イヤホンとして、推奨します。
Moondrop Starfieldとの比較
同じ価格帯で同じようにニュートラルなサウンドを持つMoondrop Starfieldと比較します。
上のグラフはどちらもAET07のMサイズをイヤーピースとして使用し、自由音場補正済み測定グラフが1khzで交差するように調整したものです。2番目のグラフは1khz以上の拡大図です。少なくとも特性上はMoondrop Starfieldのほうがよりフラットで、モニター的と言えるでしょう。
一方で、Starfieldに比べてNM2はより艶やかで賑やかな感じがあるので、Starfieldの音が少し味気ないと思っている場合は、NM2のほうがより楽しく思えるでしょう。また、ボーカル表現は一般に、NM2のほうが活き活きしていると感じると思われます。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースは標準イヤーピースのバランスMサイズ、ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
さて、1万円台のニュートラル系定番機種というとわりとMoondrop Starfieldがもて囃されていますが、このNF Audio NM2はそれと競合するダークホースです。パッケージ内容は明らかにStarfieldより良く、音質的には少し派手にはなりますが、充分に代替可能です。ニュートラル系のサウンドが好きなら、Starfieldに手を出す前に、NM2を考慮に入れておいても損はないでしょう。
NF AUDIO カナル型イヤフォン クリアブラック NF-NM2-CBK
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