- 個人的な神曲「スノウ・グライダー」について
- 「スノウグライダー」のここが好き
- 「スノウ・グライダー」の聞きどころ
- 各機種の周波数特性比較
- 聞き比べレビュー
- 【総評】個人的にはReecho×Peacock Audio Springの圧倒的透明感を推したい
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個人的な神曲「スノウ・グライダー」について
この曲はRun Girls, Run!「Share the Light」のカップリング曲です。このシングルはメイン曲である「Share the Light」もいい出来なんですが、カップリングの「キラリスト・ジュエリスト」「スノウ・グライダー」も秀逸な名曲揃いです。はっきり言ってシングルとしては贅沢すぎてレベルが高いのですが、今回は透明感のある名曲「スノウ・グライダー」を取り上げて、手持ちの中華イヤホンで聞き比べてみたいと思います。
Run Girls, Run!はWake Up! Girlsプロジェクトから派生した声優アイドルユニットです。
「スノウグライダー」のここが好き
まずなんといっても透明感のある中域と甘みのある媚びたアイドルボイスが魅力的です。低域のドラムサウンドがわりと味わいに影響が大きく、イヤホン/ヘッドホンの特性によって空間の滲み具合に差が出て、音響機器の違いも楽しめる曲です。
「スノウ・グライダー」の聞きどころ
今回は聞き比べるに当たって、この曲の聞きどころ要素を個人的に分析し、その満足度で評価してみることにします。
- 中域の透明感:澄んだ中域と相性が良い曲です
- タイトさ:リズムのキレがあると引き締まる曲です
- ボーカルニュアンス:細かなニュアンスが味わえると気持ち良い曲です
- 甘み:サウンドに甘みがあり、充実していると満足度が高い曲です
- ボーカルのコケティッシュさ:媚びた雰囲気があると色気に差が出ます
- 熱気:中域の聞き心地に影響します。ただし熱気が強すぎると中域の透明感に不足を感じるかもしれません
各機種の周波数特性比較
聞き比べの内容に進む前に、参考用に各機種の周波数特性の比較グラフを掲載します。イヤーピースはAET07を使用し、各機種の自由音場補正済みの測定グラフを1khzで交差するように調整しました。
聞き比べレビュー
聞き比べは接続先としてFiiO M15を使って行っており、Pure Music Modeを有効にし、ゲインは高設定して聴いています。
Reecho×Peacock Audio Spring
このイヤホンは中域の透明度が非常に高いイヤホンです。こういうデジタル的なアイドルソングとはとくに相性が良く、澄んだ空間表現と、前面に出てくるニュアンスに優れたボーカル表現が味わえます。ボーカルはわりとシャウティですが、ボーカルの周囲は清潔で上方向に空間があるので、楽器音のガチャガチャしたあたりに突っ込むことはありません。低域方向は今回の機種では最も清潔で、見通しが良く、熱気はほとんどありませんが、リズムがタイトです。
- 中域の透明感:A
- タイトさ:A
- ボーカルニュアンス:A
- 甘み:B
- ボーカルのコケティッシュさ:A
- 熱気:C
今回の中では一番ボーカルフォーカスが良く、透明度が高いサウンドを持っています。クリアで明瞭な解像感、キラキラした雰囲気、タイトなリズム感が組み合わさったハイファイ感のあるサウンドを実現してくれますが、押し出し感も強く、やや聞き疲れしやすいところがあります。音質は少し癖が強いですが、こういう曲とは相性抜群です。
このイヤホンは1万円台では豪華すぎるほどパッケージとビルドクオリティが高く、隠れた注目機です。
AUDIOSENSE DT200
低域の深いところからエネルギッシュさを引き出してくれ、中域も艶やかで色づきが良く、ボーカルもニュアンスが丁寧で甘味が充分にあるのが魅力です。くっきり感という点ではReecho×Peacock Audio Springには適いませんが、より安定した聞き心地とより自然なふっくらしたボーカルボディがあり、少し濃厚な甘味があります。Springがわりと硬い印象の音だったのに対し、こちらは適度に角が取れたマイルドな音像感を持っており、Springが柑橘系のジューシーで甘酸っぱい音だとすると、こちらはふっくらした甘味のある饅頭やアップルパイのような菓子パンの甘味があります。
- 中域の透明感:B
- タイトさ:B
- ボーカルニュアンス:B
- 甘み:A
- ボーカルのコケティッシュさ:A
- 熱気:A
今回の中では低域が一番深いところから地熱を伴って聞こえます。中域の音像は適度な暖かみの中で聞こえ、ボーカルフォーカスも良く、自然な甘味があり楽器音とボーカルの距離感も付かず離れずで調和的です。
BQEYZ Spring 2
AUDIOSENSE DT200に比べるともう少し中域に音が集まっており、ボリューミーです。甘味があって少しアンニュイな雰囲気もあるボーカルは、アイドルというよりはもうちょっと大人びて聞こえ、艶味のあるセクシーさを感じさせてくれます。低域はわりと厚みがあるので今回の機種の中ではタイトさでは一番劣ると思いますが、それでも充分に引き締まっています。むしろ膨張感とリズムの明確さのバランスが良く、人によっては今回の機種の中で最も自然で人間味のある活き活きした床面だと思うかも知れません。
- 中域の透明感:B
- タイトさ:B
- ボーカルニュアンス:B
- 甘み:A
- ボーカルのコケティッシュさ:B
- 熱気:A
中域の透明感が高いイヤホンですが、厚みも適度にあり、ナチュラルな音、充実感を愛する人には最も好ましい選択肢です。やや熱気が強く、ボーカルも安定的で少し落ち着いていて、コケティッシュというよりは奥ゆかしい雰囲気に感じるかも知れませんが、それがそそるという人もいるでしょう。私もそそられます。
Shozy Form 1.4
BQEYZ Spring 2とはライバル関係にある機種で、音質傾向はよく似ています。しかし、こちらはより厚みが抑制され、重みが重視された低域と、よりエッジ感のある中高域を持っており、Spring 2よりは全体的に引き締まった音がします。この曲でもSpring 2よりドラムは重みが感じられて重厚、ボーカルのニュアンスもより繊細でのびやかに聞こえます。好みはあるでしょうが、おそらく多くの人にとって、この曲をアイドルソングとして、より正統派に近く表現しているのはSpring 2よりShozy 1.4ではないでしょうか。
- 中域の透明感:B
- タイトさ:B
- ボーカルニュアンス:A
- 甘み:A
- ボーカルのコケティッシュさ:A
- 熱気:A
Spring 2との傾向の違いはわずかで、解像度の点ではSpring 2のほうが優れていると言えるところも多いのですが、よりエッジ感があり、活き活きしたサウンドを奏でてくれます。こういった落ち着いた曲でもやはり、アイドルソングには元気なのびやかさが欲しいと思う人が多いでしょうから、こういう若い女声ボーカル曲を楽しむ場合はSpring 2よりForm 1.4のほうが躍動的で楽しいと思うかも知れません。
【総評】個人的にはReecho×Peacock Audio Springの圧倒的透明感を推したい
最終的には個人の好みになることですが、個人的にこの曲を聴くのにこの4機種の中でどのイヤホンが一番おすすめかと言えば、Reecho×Peacock Audio Springです。中域の透明度の高さは他のイヤホンの比ではなく、ボーカルニュアンスは非常に優れています。ただ、シャウティな感じもあり、万人向きではないかもしれません。
おそらくこの曲を楽しむのに万人向きなのはAUDIOSENSE DT200かShozy Form 1.4のどちらかです。
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