TFZ KING EDITION ダブルマグネティックサーキットダイヤモンドドライバー搭載
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる中華イヤホンはTFZ KING EDITIONです。
TFZは2015年に深圳に設立された中国のイヤホン製造メーカーです。設立は最近ですが、精力的にイヤホンを製造しており、エントリークラスからミドルレンジにかけて多数のラインナップを展開しており、中華イヤホンの代表的ブランドになっています。
なおこのレビューはONZO様の素晴らしいサービスを利用して作成されました。感謝とともにONZO様のますますのご発展をお祈り申し上げます。
ONZO様のサービスについて興味がある方は以下をご参照下さい。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:5hz-40kHz
- インピーダンス:18Ω
- 感度:106dB
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
パッケージ
TFZのパッケージは簡素です。イヤホン本体はパッケージの外側から簡単に見えるようになっており、開梱体験もシンプルです。付属品は十分揃っているので不足感はありません。
本体のビルドクオリティは悪くなく、ケーブルクオリティも良好です。
装着サンプル
ユニバーサルIEMタイプのイヤーシェルは耳への収まりが良く、遮音性も良好です。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [標準イヤーピース S装着時 ライブモニタリングON]左右別
- [標準イヤーピース S装着時 ライブモニタリングON]左右平均
- [標準イヤーピース S装着時 ライブモニタリングON]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース S装着時 ライブモニタリングON]左右平均(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース S装着時 ライブモニタリングOFF]左右別
- [標準イヤーピース S装着時 ライブモニタリングOFF]左右平均
- [標準イヤーピース S装着時 ライブモニタリングOFF]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース S装着時 ライブモニタリングOFF]左右平均(自由音場補正済み)
- ライブモニタリングスイッチ比較(自由音場補正済み)
- ライブモニタリングスイッチ比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
全体を見るとわりと典型的なドンシャリのV字型サウンドシグネチャーをしています。
わりとトランジェントが良いので、低域は輪郭が明瞭で、レイヤリングは良好です。低域のキックは明瞭でリズム感はよく、低域のスピード感を重視する人には好ましく思えるでしょう。重さに強調があり、中域からの分離感がよく聞こえます。エレキベースは黒みがあり、じわじわしたエッジ感があって活き活きしながらも、引き締まったスピード感が感じられます。一般的にロック向きの重厚さとスピード感のある低域で個人的にはかなり好みです。
中域はドライで引き締まっています。ボーカルは低域からも高域からも分離されているので、わりとフォーカスは良いですが、ロックなどでは低域にところどころ埋没して聞こえやすく、必ずしも前面にいるわけではありません。ボーカルは息が伸び、少しサ行に強調が出やすく、場合によってツ音も尖りがちに聴こえ、少し息遣いが多めでハスキーに聴こえるかもしれませんが、媚びるような派手さの少ないすっきりした味わいです。
高域は手がかりも多めで、クラッシュも派手気味で高さを感じます。超高域は急速にロールオフしているようなので、抜けの高さに優れているというわけではないですが、スネアやハイハットは全体的にスナッピーでギラつく光沢の輝きが感じられ、ロック曲でキレのあるスピード感ときらびやかな演出感を印象づけてくれます。
個人的にはロック好きの方に是非オススメしたい機種です。
ライブリスニングスイッチの効果について
ライブリスニングスイッチは出力インピーダンスを変化させることができますが、一般的なポータブルオーディオ環境で、具体的にこれとわかるほどの聴感上大きな印象変化があるとは思えません。以下の韓国語のレビューに解説がありますので、翻訳して引用します(引用元サイトにはインピーダンスの測定値も記されています)。
出力インピーダンスが低い機器とマッチングし、スイッチを変更しても音の変化がありませんが、出力インピーダンスが高い機器とマッチングし、スイッチを上げる(ライブリスニングスイッチONにする)とインピーダンス特性の変化により高音が軽く減少し、低音と中音域の割合が増加します。
出力インピーダンスが高い据え置き型アンプなどとマッチングしたときにKING EDITIONのこのような特性を利用して音の変化を作り出すことができるでしょう。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースは標準イヤーピースのSサイズ、ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
ライブリスニングスイッチON
ライブリスニングスイッチOFF
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
ライブリスニングスイッチON
ライブリスニングスイッチOFF
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
2万円くらいでロックサウンドを楽しく聞けるイヤホンを探しているなら、TFZ KING EDITIONを考慮に入れても良いでしょう。派手でスピード感のあるリズムとともに、引き締まったボーカル表現が味わえます。ライブリスニングスイッチに関しては、あくまで個人的意見としては、多くの場合、切り替えても効果をほとんど感じないのでスイッチでの音質の違いを楽しむ目的で購入を検討している場合は、別のノズルシステムなどを搭載したイヤホンのほうがより楽しめるだろうと思います。
TFZ KING EDITION ダブルマグネティックサーキットダイヤモンドドライバー搭載
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