TRN STMイヤモニ型イヤホン 1DD+1BAハイブリッド 中華イヤホン亜鉛合金プレート+PC樹脂筐体 2PIN 3.5MM 高音質 ノイズ遮断 フィット感良い 中華イヤホン (ブルー・マイク無し)
- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
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「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
TRNはKB EARやKZとともに低価格の中華イヤホンにおける覇権ブランドの一つです。1万円以下、特に5000円前後の価格帯を主戦場とし、パッケージングなどを簡略化してコストを抑えつつ、パフォーマンスに優れた製品を展開してきたメーカーです。一般にはあまり知られていないかもしれませんが、コスパの良さから中華イヤホンファンにはおなじみのブランドで、界隈ではとても人気があります。
今回紹介するTRN STMは以前紹介したTRN ST1の調整版といった感じで、基本構成は変わらないようですが、音質はだいぶ違います。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:10Hz~20000Hz
- インピーダンス:24Ω
- 感度:106dB
- ケーブルコネクタ:0.75mm 2pin
パッケージ
パッケージは3000円くらいの価格を考えると妥当だと思われます。
ビルドクオリティもこの価格帯では標準的か少し良好です。ケーブルの品質は少しチープですが、価格を考えると妥当な気がします。本体のフェイスプレートは高級感があるという感じではありませんが、癖がなく、プラモデルのようではありますが、デザイン的にはかっこよく思える気もします。
わりと感心したのはノズル交換部分の工作精度で、ネジの固定が低価格のわりにかなりよく、おそらく長時間つけていてもネジが外れることはなさそうに思えます。中華のノズル交換システムは時々工作精度がひどいのがありますからね。
ノズルのネジ回りは下手な高い中華イヤホンより精度がよく、使いやすくて安全性と快適性に考慮されており、かなりクオリティを感じました。ただ後述しますが、ノズルの効果自体は……。
装着サンプル
耳への収まりは良く、遮音性も良好です。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
ノズル交換の効果について
この機種はノズル交換によって音質調整ができることがウリになっているので、その点をまず最初に説明します。
公式見解によれば、金ノズルがバランスサウンド、青ノズルが高域強調、赤ノズルが低域強調となっています。実際のところは高域と低域でわずかな変化が見られますが、まあなんとかわかるかなと思えるのは赤ノズルくらいで、ノズル効果による音質変化はたぶんほとんど体感できないと思われます。
音源比較
以下は同じ条件でのレコーディングシグネチャーの比較ですが、まあ個人的には「わかったようなわからないような」といった感じです。あまりこのノズルシステムは気にする必要がなさそうな気がします。ぶっちゃけ装着感の違いの方が大きそう。
- 使用音源:幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
金ノズル
青ノズル
赤ノズル
周波数特性
上から順に、
- [金ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [金ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [金ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [金ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [青ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [青ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [青ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [青ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [赤ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [赤ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [赤ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [赤ノズル 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- ノズル比較(自由音場補正済み)
- ノズル比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
のちほど比較しますが、比較的低域が強調されていたTRN ST1に比べてフラットになりました。かなりバランスがよくなり、とくに中域の透明感は増していて、ボーカルはきれいに聞こえます。サウンドシグネチャー的にはフラットかU字型かなといったところですが、高域がシャープに目立つので、ドンシャリに聞こえると感じる人もいるかもしれません。
TRN ST1の低域はわりとライブ感重視の雰囲気だったのですが、STMの低域はどちらかというと見通しの良いモニター的なものになりました。熱量は減りましたし、わりとタイトに聞こえるようになったために、低域の重厚感を愛するリスナー向きではありませんが、逆にボーカルフォーカスは格段に向上しています。存在感は中域とのバランスが取られてかなり減りましたが、厚みと重みのバランスは良いので、低価格ではわりと良質なように思えます。
低域の後退と中域上部の前進によって、中域の押し出し感はかなり強調されるようになり、ST1と比べると、とくにボーカルフォーカスはかなり向上しました。ややボディが減り、奥行きが強調されるようになっており、モニター感は少し薄まったかもしれません。中域の透明感は増しており、音楽全体の安定感は向上しています。
高域はうまくピークを抑えていますが、カサカサした感じはあります。風通しは悪くなく、音場は背景の奥行きと適度な高さが感じられます。マイクロディテールも少し強調されているので、低価格ではわりと音がシャープで繊細に感じられるモデルでしょう。
TRN ST1との比較
TRN STMがTRN ST1を元にしていることは明らかですが、ただ単にST1にノズルを付けたというものではありません。音質はかなり調整が入っているようです。以下のグラフはTRN STMとTRN ST1の自由音場補正済み周波数特性の比較になります。
両者を比較すると、とくに低域から中域で大きな差が見られることがわかります。TRN ST1はライブ感のある重厚な低域が目立ちましたが、STMはモニター的でもう少しリラックスした穏やかな低域となり、中域のボーカルとリズム楽器の付近は逆に存在感が向上しています。そしてより奥行き感が感じられるようになっており、音場の印象はおそらくST1より広く感じられると思われます。率直に言えば、少しドンシャリ傾向だったST1をフラットにチューニングし直し、とくにボーカルを強化してボーカルホンとして生まれ変わらせたといった感じでしょう。バランス感覚はSTMの方が優れており、スタジオ的な音響で万能性は高くなっています。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースはJVCスパイラルドット++ Mサイズを使い、ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
TRN STMは低価格でそれなりのビルドクオリティを備え、音質のバランスも良いモニター的なイヤホンです。残念ながら自慢のノズルシステムは工作精度はともかく、効果のほどはほとんど期待できませんが、ギミックのある楽しいイヤホンが好きなら悪くないでしょう。コスパは良好です。
TRN STMイヤモニ型イヤホン 1DD+1BAハイブリッド 中華イヤホン亜鉛合金プレート+PC樹脂筐体 2PIN 3.5MM 高音質 ノイズ遮断 フィット感良い 中華イヤホン (ブルー・マイク無し)
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