- 【1】装着感/遮音性/通信品質「軽量」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「DAC内蔵」
- 【3】音質「やや低域によった少しもっさりしたサウンド」
- 【4】官能性「JAZZを濃厚に聴くには良い」
- 【5】総評「通信品質はあまり高くない。ノイキャンは悪くないが、音質はちょっと現代的じゃないかな」
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【1】装着感/遮音性/通信品質「軽量」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
軽量で付け心地は軽い。遮音性はそこそこ。
アクティブノイズキャンセリング搭載だが、イヤホンタイプということもあり、遮音性向上はほどほど。たまたま季節柄、家の目の前で盆踊りをやっていたのでそれでテストしたが、ANCをOFF時にドンドコドンと太鼓の音が聞こえるのに対し、ANCをONにすると太鼓の音が少し遠のく。曲をかけるとANCがない時はドンドコドンが少し曲に混ざるバランスで、ANCをONにすると全く聞こえなくなるくらいの性能。ANCをON/OFFする前後で音質に変化は感じなかった。
通信コーデックはSBCのみ。この機種は距離耐性が弱いらしく、3mほど離れると途切れやすくなり、5m程度で完全切断されることもある。再生機器に近いと安定するようだが、外出中は周囲に人が多いと途切れを感じることも多そう。
【2】外観・インターフェース・付属品「DAC内蔵」
付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、説明書。ケーブルにタッチノイズはほとんどない。
連続再生時間は15時間と長め。防水性能はIPX5。
【3】音質「やや低域によった少しもっさりしたサウンド」
音質的には中域の下から中低域あたりに膨らみを感じる。中高域付近では音に濃さがあるが、高域は少し色味が薄く、暗く感じるかもしれない。少なくとも空気感はそれほど強くない。全体的に音圧はそれほど高くなく、マイルドに感じるだろう。中域に濃さがあるので、中高域でも手がかりが多いが、音の印象としては低域と親和的で少し音が下に落ち着いていく安定感のあるサウンドに感じられ、躍動感は抑えめに感じるだろう。
美点
- 低域に厚みがあり、中域も色が濃く重厚感と濃厚感がある。
- 中域でも音が太く、色味もしっかりしていて充実している。
- 音圧はほどほどでマイルド。
欠点
- 高域はやや暗く、ディテール抑えめ。
- 音の張りはそこそこで、躍動感には乏しいかもしれない。
[高音]:高域はやや暗めで空気感の広がりは抑えめ。中高域の濃い音に比べると薄味に聞こえやすい(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:中高域ははっきり濃く、その下の中域でも厚みを感じる。奥行き感は抑えめで音は少し平面的に聞こえるかもしれない。とくに開放感がないので中域で音が滞留してコクを出し、濃厚感がある。しかし低域も結構厚いが出張らないので、曲次第ではあるが、なんとなく中域に音が集まるかまぼこな印象を受けるかもしれない。
[低音]:100hz~40hzまでぼーっとした振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。厚みが少し強調された暖かい音で、床面はあまり強調されず、手応えは柔らかい(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:中域に一番の厚みがあり、低域がそれをやはり少し穏やかに厚く支える。高域は少し閉じていて、中域充実な印象(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムは樽形に膨らむような感じで、タムは軽く粘り、バスドラは潜るというより膨らむ。厚めのバツンバツンあるいはボツンボツンかな。ハイハットはやや暗めでシャンシャンした音の浮き上がりが悪いので、ちょっともやもやして暖かく聞こえるかも(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:男声ボーカルがもわっとした熱気がある。女声ボーカルも抜けよりは甘味を出して熱気を感じさせる。場合によって少し暗い。
【4】官能性「JAZZを濃厚に聴くには良い」
池田綾子「風の谷のナウシカ」
こういう中域でつややかさと豊かな味わいを出す曲の満足度は高い。高域や低域が中域のまろみを意識して、音を目立ちすぎないようにセーブしているから、シンバルに浮ついた感じがなく、低域弦楽も深みを出し過ぎずに中域を暖かく支える。何よりボーカルがふくよかでぬくい。調和的にほっこり聞ける。
羊毛とおはな「空が白くてさ」
ギターにコシとコクがあり、温度感と濃厚感があってとてもトロトロ。この曲のゆるふわな雰囲気がすごく丁寧に感じられてボリューミーで、まったりできる。ボーカルも甘味が強く、濃い。これはいいね。
小田和正「風と君を待つだけ」
小田和正の中でも好きな曲。中域にボリューム感があるとまろみが出るので、この曲なんか悪くないはずとの期待から聞いてみた。個人的な感想を言うと、温度感は良いんだけど、ボーカルが少し埋没してもっさりしちゃうかな。いろいろイコライザー試した結果、やはり高域の明るさ不足か、抜けが足りない。
下の「歌うたい」っていうイコライザーを使ってようやくボーカルに適切な伸びが感じられて、ボーカルも前面にしっかり出てくる。
大隅寿男「CARAVAN」
中域で濃厚感を出す感じで、高低の抑揚をちょっと押さえた濃厚な感じは、やはりJAZZ向きに思う。この曲なんて濃くしっかり厚みが中域に集中する形で豊かに聞ける。シンバルやピアノの音色、コントラバスの音も中域に滞留して、音場をひたすら濃厚にまろやかにする。タムも明るく撥ねないポポンという、しなやかな張りのある音で風味がある。
【5】総評「通信品質はあまり高くない。ノイキャンは悪くないが、音質はちょっと現代的じゃないかな」
ボサノヴァとかJAZZに向きそうな中域充実のサウンドで、音に暖かみがあるのが特徴。ロックやポップスは少しもっさりするのと、音場に奥行き感があまりなく、ボーカルが埋もれるバランスになりやすいのが難しい。やはりJAZZでほどよい濃厚感のある音をほんわか聞くのが一番よさそう。かなり浸れる。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。