TAGOSTUDIOTAKASAKI イヤホン カナル型 T3-02 [φ3.5mm ミニプラグ][T302]
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回はTAGO Studio T3-02を取り上げます。TAGO Studioは群馬県高崎市にあるレコーディングスタジオで、その運営責任者である多胡邦夫さんがこのブランドのヘッドホンやイヤホンのプロデュースをしているそうです。
なおこのレビューはONZO様の素晴らしいサービスを利用して作成されました。感謝とともにONZO様のますますのご発展をお祈り申し上げます。
ONZO様のサービスについて興味がある方は以下をご参照下さい。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:20hz-20kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:112dB
- ケーブルコネクタ:mmcx
パッケージ
イヤホンのパッケージはこの価格帯ではチープです。本体のビルドクオリティは高く、高級感があります。mmcxコネクタが付いていますが、独特の深いプラグになっているので、ケーブル相性があるかも知れません。
装着サンプル
装着感は悪くないと思いますが、イヤーノズル周りが少し太く盛り上がってますので、人によっては若干収まりが悪い可能性はあります。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [AET07 M装着時]左右別
- [AET07 M装着時]左右平均
- [AET07 M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [AET07 M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース M装着時]左右別
- [標準イヤーピース M装着時]左右平均
- [標準イヤーピース M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※「AET07 Mサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー的には低域から中域下部にかけてはわりとフラットに近く、中域上部に目立つ隆起があり、そのボーカル帯域の上はクリーンでボーカルフォーカスが実現され、さらに高域でクラッシュ感が強調される味付けになっており、やや風通しが意識されたチューニングになっているようです。
個人的にはわりと好きな音です。私は低域重視系ではありますが、実際のところ、この機種の低域は量感的にはあまり優れていませんが、重みがしっかり表現されるので、存在感はあります。厚みはあまり強調されない、深掘り感のあるワイドレンジな低域で、適度にキレがありますが、タイトすぎないバランスでレイヤリングがよく、わりとモニター的と感じると思われます。ただエレキベース音は少し細く、人によってちょっと味気ないかも知れません。
中域は中域下部の後退と中域上部の谷によって全体の中で島のようになっており、周囲が清潔な感じではっきりと聞こえます。ボーカルは少しのびやかで語尾が強調され、少しシャウティですが、中域周りは充分にリラックスしているので、そのボーカルの伸びがガシャガシャした楽器音に突っ込む感じもありません。ボーカルのボディはたぶん充分だと思いますが、わずかに足りないと感じる人もいるかも知れません。しかし、中高域にピーク感がなく、子音の尖りはないので、少しシャウティな傾向ですが聴き心地は安定しています。
中高域はギラつきが抑えられており、高域のクラッシュは清潔です。スネアのパワー感はわりとしっかり表現されますが、アタック感はわりと柔らかいので、リズムはゆったりして感じられるでしょう。ハイハットの粒立ちはシルキーで粒立ちが細かく、白さを強調しすぎない適度な透明感のある繊細な音に聞こえます。
全体としては中域を丁寧に聴かせるイヤホンで、低域は少しモニター的な雰囲気がありますが、音場も広く、わりと万能に楽しめるイヤホンです。個人的にはすごくセンスを感じるイヤホンで、Snail's House「[Covered in White]」のような曲は隅々まできれいに見渡すように聞こえますし、左右の定位も非常に明瞭です。Yosi Horikawa「Stars」のような曲の没入感も非常に高く、とても楽しめます。非常に丁寧なチューニングによって中域の透明度が高く感じられます。
レコーディングシグネチャーの「OST」でその優れた中域の透明感を体感してみて下さい。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースは標準イヤーピースのMサイズ、ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
-
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
-
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
「5万円以下で注目に値するイヤホンはどれですか?」と聴かれたら、わりとすぐに思い浮かぶのがこのイヤホンです。やや明るいサウンドですが、ナチュラルで聴き心地がよく、それでいてモニター的でもあり、解像感と聴き心地が両立されています。中域をとても大事にしているチューニング姿勢も非常に好感が持て、優れたバランス感覚を持つその音は万人向きです。これは見逃すべき機種ではありません。
TAGOSTUDIOTAKASAKI イヤホン カナル型 T3-02 [φ3.5mm ミニプラグ][T302]
【関連記事】