- 【1】装着感/遮音性/通信品質「どんぐり型のかわいいデザイン」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「リケーブルは出来ません」
- 【3】音質「シャープで緻密、メタリックでドライ。キレキレの音で、分解能サウンドの究極系の一つ」
- 周波数特性イメージ(試験運用中)
- レコーディングシグネチャー(試験運用中)
- ファーストインプレッション
- スマホでも充分高解像度です
- 爽快で繊細、緻密かつドライでメタリック、しかし甘い響きを持つアコースティックギターとハイハット(ハルカトミユキ「17才」)
- クールで繊細な中にも暖かみが感じられる。ただし人によっては統一感に欠ける音に思えるかも知れない((K)NoW_NAME「Baby's Breath」)
- メタリックでスピード感のあるハイファイ系ロックサウンド。基本的にドライだが、エレキギターエッジには潤い感もある(鈴木克崇「決戦 FFRK Ver. arrange from FFVI」)
- 意外なことにピアノには潤い感があり、バイオリンの倍音も素晴らしいのでアコースティックな曲も美しい(大原ゆい子「ユビオリ」)
- 【4】概括
- 【関連記事】
【1】装着感/遮音性/通信品質「どんぐり型のかわいいデザイン」
ASIN | |
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B00K6ZXYLG | |
スペック・評価 | |
再生周波数帯域 | 5~25000Hz |
インピーダンス | 16Ω |
感度 | 98dB |
ドライバー |
ハイブリッド型 (9mmネオジムDDドライバー×1+バランスドアーマチュア×1) |
ハウジング材質は航空宇宙グレードのチタンを使っており、軽量で頑丈です。どんぐり型の独特のデザインですが、装着感も良いです。遮音性も案外悪くありません。
テスト環境
今回のファーストインプレッションのテストはFiiO M15を使って行っています。ゲインは「高」設定です。
装着サンプル
【2】外観・インターフェース・付属品「リケーブルは出来ません」
付属品はイヤーピースの替え(コンプライとシリコン)、航空機アダプター、ヘッドホン変換プラグ、説明書です。
【3】音質「シャープで緻密、メタリックでドライ。キレキレの音で、分解能サウンドの究極系の一つ」
周波数特性イメージ(試験運用中)
※周波数特性イメージはあくまでレビューの便宜上、個人的に周波数分布のだいたいのイメージを掴むための参考情報で、測定方法も測定されたデータも非常にアバウトで厳密な信頼性や正確性に欠けます*1。
レコーディングシグネチャー(試験運用中)
レコーディングシグネチャーはバイノーラル録音されていますが、品質は良くありません。低域は抜けやすくなるので、イコライザーで低域を持ち上げていますが、それでも充分出ていません。したがって聴いたそのままの音質とは異なりますので、あくまで参考情報ということでお願いします。
原曲
銀の意志 Silver Will / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ファーストインプレッション
今回は標準イヤピの中で、シリコンのLサイズを使ってファーストインプレッションを確認します。個人的には、このイヤホンの場合、とくに高域を抑えるために大きめのイヤピやコンプライを使用する方がよいように思います。もちろん粒立ち感と繊細さを重視して小さいサイズを選ぶのも自由です。
スマホでも充分高解像度です
インピーダンスが16Ωなので、比較的スマホでも鳴らしやすいです。Galaxy A30で鳴らしてみたところ若干鳴らし切れてないのか、高域の空気感が欠けますが、この機種の高解像度系の雰囲気は良く再現されます。むしろシャリ感が若干抑えめな分だけ、スマホで聴いた方がクセがなく、単純な高解像度サウンドに聞こえる印象すらありました。
爽快で繊細、緻密かつドライでメタリック、しかし甘い響きを持つアコースティックギターとハイハット(ハルカトミユキ「17才」)
見事に高域に伸び上がるこのイヤホンの音は、非常にメタリックで繊細、シャープな音を持ってます。高さも充分にあり、開放的で細密で分解能の高い音を聴かせてくれ、とくにアコースティックギターやハイハットといった金物は粒立ちも良く、キラキラと輝く音をアタックも良く聴かせてくれます。
ハルカトミユキ「17才」のような曲を聴くと、新品同然のきらびやかさと硬さを持ったハイハットがきれいにクラッシュし、アコースティックギターは少し眩しい輝きを放ちながら細かい刻みを聴かせてくれます。音は細く細密で分解能が高くなっています。
さて、このように書くと相当エッジが鋭く、攻撃的で落ち着きがないサウンドではないかと思われるかも知れません。その想定は半ば当たっており、たしかにこのイヤホンはエッジがシャープでとげとげしく、アグレッシブさを持っていますが、しかし高域の本当に高いところは丁寧に閉じられているので、音にスウィートな甘味が乗っており、この曲でどこかノスタルジックで幻想的な虹色の色合いを金属光沢に感じさせてくれます。
そのため細く緻密さを強調する音が人工的になりすぎず、どことなく人肌の雰囲気を感じさせ、鋭い音なのに滲むというか馴染むような響きを持っています。こんなにも金属的で攻撃的で細く緻密にも関わらず、どこか聴き心地が良いのはこの甘味のおかげに他なりません。
ボーカルはたしかに実体感が足りず、子音は尖り、息もやや強調され、またアコースティックギターやハイハットが少し煌めく中に突っ込んで聞こえるので、ややガチャガチャする印象もありますが、高域の開放感は充分で立体感があるので、聴きづらい感じは相対的に多くはありません。しかし、人によっては粒立ちの情報量も多くて、音がギラつく感じも強いので、きつい感じが強いことは事実です。
低域は高域に比べて存在感は抑えめですが、膨らみは一定程度強調されており、アタックが強くタイト傾向の音ですが、穏和に少し浮き上がりを感じさせ、安定感があります。あまり深みが出る音ではありません。
とにかく、どんな曲であれ、金物のキラキラ感が好きな人にとってはこのイヤホンは魅力的な選択肢の一つであることは間違いありません。
クールで繊細な中にも暖かみが感じられる。ただし人によっては統一感に欠ける音に思えるかも知れない((K)NoW_NAME「Baby's Breath」)
相変わらず非常に繊細で粒立ちと煌めきがあり、しかも清潔なアコースティックギターとハイハットがきらびやかで甘味のある音を聴かせてくれます。ボーカルも甘味があり、やや鼻にかかったり、ハスキーなところもありますが、ちょっと媚びてコケティッシュな艶やかさを忘れていません。しかも低域は穏和で、高域でかなり硬く細い音が中域より下に行くと柔らかく沈んでいく感じがあります。
ただし、こうした雰囲気は高域と低域の質感差を目立たせやすいとも言え、低域側を穏和にすることで質感差を感じにくいよう、うまく調整されてはいますが、人によってはその雰囲気の違いが気になるかも知れません。
メタリックでスピード感のあるハイファイ系ロックサウンド。基本的にドライだが、エレキギターエッジには潤い感もある(鈴木克崇「決戦 FFRK Ver. arrange from FFVI」)
低域が若干薄味気味なので、ライブ感は出にくいかも知れませんが、メタルサウンドが好きな人には文句なくお勧めできるスピード感とギターサウンドの粒立ち感を持っています。スネアの打ち込みも速度がありますが、ハイハットもさらに遅れがなく、クラッシュを気持ち良く、メタル感を存分に出して聴かせてくれます。エレキギターも金属的にギラついていながら、甘い雰囲気もあって冷徹すぎず、どこかノスタルジックな風味があってじんわりするところもあります。
キレキレのメタルサウンドにも関わらず、どこか叙情的な雰囲気はこの曲にぴったりで、中盤に「仲間を求めて」のフレーズが入るところで、どこかもの悲しい雰囲気が出るのですが、そのちょっと切ない感じがちゃんとギターの潤いに乗って味わえます。
意外なことにピアノには潤い感があり、バイオリンの倍音も素晴らしいのでアコースティックな曲も美しい(大原ゆい子「ユビオリ」)
やや硬くクールな雰囲気なので、アコースティックな曲は暖かみや潤い感が足りないと思うかも知れませんが、決してそうではありません。この曲を聴けばピアノに潤い感があって、つややかで美しい音色で、打ち込みはしっかりしていますが、意外にきつくなく穏和で優しい雰囲気すら感じることに気づくはずです。そして甘味がたっぷりあります。アコースティックギターも刻みは繊細なのに甘味があってどこかノスタルジックです。ピアノ音はたしかに単体で見ると実際のところ潤い感が強いわけではないのですが、周りの楽器音がより乾燥しているため、相対的に潤い感が目立つようになっています。
ボーカルは少し乾燥していますが、甘味はたっぷりです。少し息遣いが強調され、細くハスキーさが混じる感じがありますが、涸れるほどではありません。これらの音を確認すると、このイヤホンがただシャリシャリ高解像度なだけでなく、低域が適度に量感をコントロールし、聴き心地につながる暖かみを調整していることがわかります。
そして弦楽です。倍音が強調され、ややヒステリックですが、甘味がたっぷりあるのできつい感じがなく、どこかもの悲しささえ感じてしまう美しい響きがあります。
【4】概括
私はどちらかといえば低域ジャンキーですが、このイヤホンに関しては高域寄りのシャリシャリ系にも関わらず、この音を愛さずにはいられません。緻密でクール系の雰囲気で倍音や粒立ちが強調され、スピード感は早く、ドライさがありながら、しかしピアノ音には潤い感が感じられ、甘味がたっぷりあって、アコースティックな曲ではノスタルジックな雰囲気を存分に出してくれる別の側面を見せてくれます。
個人的にはこの音作りには素晴らしいセンスが感じられます。
【関連記事】
*1:音量による変化、各イヤホンの特性を考慮した補正などを行っておらず、測定環境もスマホマイクで集音しているので非常にアバウトで厳密ではありません。レビュー執筆の参考に使っていたものの、これまでは公表してきませんでしたが、これまでサンプルを取って聴感上の印象と照合してきた感じ、それなりに参考にはなりそうなので、試験的に公開していきたいと思います。いずれ勉強を深めて信頼性を高めていきたいとは思いますが、本ブログは周波数特性の測定をメインとしていませんので、期待しないで下さい。私自身も聴感上の音像印象の解釈の補助として利用しているだけで、この周波数特性イメージを全面的に信頼し、依拠しているわけではありません。