IKKO(アイコー)の優れたドングルアンプ「IKKO Zerda ITM01」はモニターヘッドホンクラスの大食いのヘッドホンでも鳴らす駆動力をコンパクトで機能的なフォームファクターで提供します。
IKKOは優れた工業デザイン設計で知られていますが、IKKO Zerda ITM01にもそのクラフトマンシップが活かされています。
アーティスティックな独自の高品質デザインで他を凌駕するIKKO
IKKOは数ある中華イヤホンブランドの中でも優れた金属加工技術で知られており、マテリアルの有機的な質感とアーティファクトのような現代工学的なデザインの融合をうまく実現しています。そうした先進的なデザインの製品をアーティスティックなパッケージで包み込む、独自の製品群はオーディオファンの注目を集めてきました。
同時に、IKKOの本当の魅力は使い勝手の良さを実現していることにあります。たとえばIKKOのIEMパッケージは非常に豪華でありながら、同時に機能的です。
下はIKKO OH10のパッケージです。美しいアーティスティックな雰囲気に圧倒されて見逃しがちですが、それぞれのアクセサリがどこに収まっているのか明確で、ユーザーが使いやすいように配慮されていることがわかります。
IKKO Zerda ITM01にも同じようなことが言えます。独自のマグネットケーブルデザインは非常に良くできており、固定はかなりかっちりしており、日常使用であまり抜けることはないと思います。そしてケーブルが引きちぎれるくらいの強いテンションが掛かったら、むしろマグネットはうまく取れてくれそうなくらいのかみ合わせです。
また、こうしたドングルアンプはケーブルが意外と安っぽかったりするんですが、ITM01はケーブル品質がしっかりしていて、細かなビルドに余念がありません。
開封動画
注目の3サウンドモード、とくに「MOVIE」モードは圧巻
IKKO Zerda ITM01には「MUSIC」「MOVIE」「GAME」の3つのサウンドモードが搭載されています。モードは中央の○ボタンを長押しで切り替えできますが、このうち「GAME」モードだけは少し特殊なようです。私の個体では「GAME」モードに切り替えたときだけ一瞬USBが再接続されたり、端末によっては音が出なくなります。どういう仕組かはわかりませんが。
さて、「MUSIC」モードと「MOVIE」モードは定位感が異なります。「MOVIE」モードにするとトランジェントが向上し、音が浮き上がって響くようになり、音の存在感がぐっと近くなって頭を囲まれる感じが生まれ、没入感が出ます。本来の目的である映像作品鑑賞に使うのも良いですが、個人的に感動したのは下の動画です。
これは私の大好きな曲なのですが、演奏の場に飛び込んだかのような高い没入感があって驚きました。お店などでITM01を聞く機会があった場合、「MOVIE」モードにして下の音源を試してみることをおすすめします。一発で虜になりますね。Dave Wecklのドラムの立体感の表現が素晴らしいです。質の良いライブ音源を聴くのにおすすめですね。
「GAME」モード?個人的に使い道がよくわかりません。正直ゲームも「MOVIE」モードでやったほうが没入感が高いくらいです。
駆動力
beyerdynamic DT990 Edition 2005 600Ωという最高に鳴らしにくいヘッドホンを駆動してみましたが、音量マックスでなんとか鳴らせますね。大抵のヘッドホンは問題なく駆動できるはずです。
レコーディングシグネチャー
ミュージックモードとムービーモードのサウンドの違いを録音で聞くことができます。
- 使用機材:
スマホ+IKKO Zerda ITM01+YAMAHA HPH-MT8 - 使用楽曲:
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ミュージックモード
ムービーモード
まとめ
IKKO Zerda ITM01はこの手のドングルアンプの中では低価格でありながら、IKKOらしいビルドクオリティの高さと駆動力の高さが魅力です。大抵のヘッドホンであれば問題なく鳴らせ、コネクタもマグネット交換式ですぐに付け替えられるので外出先で駆動に困ることはないでしょう。いろんな機器につなぐためのポータブルアンプとして、かなり究極系に近いです。欠点はファイルデコード能力に限界があり、高品質なDSDに対応してないことですが、スマホメインで使うなら気にならない欠点です。
さらに注目すべきは「MOVIE」モードで、映像作品を没入感高く楽しめるだけでなく、ライブ映像や音源を臨場感のあるサウンドで楽しむことができます。ぜひとも一度は味わってもらいたいほど楽しいですね。
面白いギミックはIKKOならではです。ただし、手持ちの機器でいくつか相性問題があり、また「GAME」モードは動作が少し不安定です。念のため店頭で動作を確認しておくのが良いかもしれません。
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