- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
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audio-sound Score
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.0/10.0
- 高域:8.0/10.0
- 中域:5.0/10.0
- 低域:7.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.0/10.0
こんな人におすすめ
- とにかく解像度重視
- 高いイヤホンほど音が良いと信じている人
- JH Audioファン
JH Audio JH16v2 Pro Universalの概要
「アウトラインレビュー」は製品の概要を簡潔に紹介するレビューシリーズです。今回取り上げる製品は「JH Audio JH16v2 Pro Universal」です。
JH Audio JH16v2 Pro Universalの完全なレビューはこちらにあります。
基本スペック
- 再生周波数:10-23000Hz
- インピーダンス:15Ω
- 感度:119dB
- ピンタイプ:4pin
- 価格帯:100000円~200000円
JH Audio JH16v2 Pro Universalの特徴
イヤホンハウジングを刷新
JH AudioがカスタムIEMの製造の為に保有している約33,000ペアの耳型データのうち、約1000ペアをサンプルとして使用。より快適なフィット感が得られるようデザインしました。さらにノズルの長さと角度を見直すことで、さらなるフィッティングの良さを実現しています。
独自のミニクワッドドライバー構成 「soundrIVeテクノロジー」
JH Audioが特許を取得している独自のミニクワッドドライバー(ドライバー4個)構成「soundrIVeテクノロジー」の採用により、23kHzまでの帯域を確保しています。
独自のチューブウェイブガイド「freqphaseテクノロジー」
多数のドライバー構成での時間軸と各帯域の位相を正確に制御する特許技術です。独自のチューブウェイブガイドにより各ドライバーの信号を0.01ミリ秒以内に確実に到達させ、IEMとしての役割を適切に行います。
ケーブルに低域調整機能を搭載(Variable bass output adjustable cable)
ユーザー自身でL/Rの低域調整可能な「Variable bass」機能をケーブル上に搭載。
ロック機構を搭載した独自の4ピンケーブル
独自開発の4pinアルミニウムケーブルコネクターにより、安全で強固な接続を実現。汗やホコリからも守ってくれます。
パッケージ
今回はONZOのレンタル品のため、パッケージの評価は標準の7.5とします。
ビルドクオリティ
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。フェイスプレートがとても美しいですね。
装着サンプル
装着感は悪くありません。
音質
今回は標準イヤーピース Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
JH Audio JH16v2 Pro Universalは中域上部が凹んだ、中域下部を強調するサウンドシグネチャーを持っており、ケーブル途中のスイッチで低域量を調整することができます。サウンドバランスの上では最も高域寄りにしたほうがバランスが良くなるので、以下のレビューは高域寄り設定で行っています。
個人的には、このイヤホンが10万円以上するとはとても信じられません。これにお金を払うのはほぼ完全にムダ金になると思われます。JH Audioを妄信している信者ならお布施の気持ちで買うのは悪くないかもしれません。しかし、普通の人はこれを買うよりたとえばJVC HA-AE5Tのような低価格(JH16v2 Pro Universalの1/20の価格!)で優れた音質を提供するイヤホンを買う方がはるかにまともでお得な体験ができます。
私がどうしてこういうことを言っているかは、ここでとやかく言うより耳で理解してもらったほうが早い話です。世の中には、「完全ワイヤレスイヤホンは有線より音が悪い」と信じている人がわりと多くいるようですが、時代錯誤も甚だしく、10万円以上のハイブランド(笑)の有線イヤホンより音が良い1万円以下の完全ワイヤレスイヤホンは普通に存在しています。
音質についての詳しいレビュー内容はこちらを参照して下さい。
低域
JH16v2 Pro Universalの低域はとても10万円以上出して聴くような代物ではありません。一番高域寄り設定にしても目立ちがちで、少し中域に被さる感覚のある低域ですが、スイッチをいじるとどんどん膨張します。
基本的にスイッチをいじればいじるほど、ウォーム感とブーム感だけが大きくなっていく、あんまり質がいいとは言えないダルイ低域で、このスイッチが何のためにあるのか個人的にはよくわかりません。
中域
率直に言ってひどい中域です。JHはチューニング担当を変えるべきでしょう。このあまりに悪い中域から聞こえる音は、コンプレッサーをかけすぎたように窮屈で躍動感がなく、気色の悪い音色に変調して聞こえます。
1万円以下のKZやTRNの多ドラの機種で、こういうひどい音のイヤホンがたくさんあるのは知っていますが、天下のJH Audioはそれを10万円以上の値札で売るんですから器が違います。そりゃKZやTRNがコスパ良く感じるわけですね。10万円払ってこんなひどい音聴かせられるんですから。
私ならこのイヤホンのチューニング担当は即刻担当から外します。10万円以上でこんな音を作って満足しているようじゃ先がなさそうです。このブランドはいまのところ将来性皆無でしょう。
高域
高域で異様に鮮明感を高くするチューニングがされているのもJH Audioの悪い癖です。SHUREなどもやっていますが、過剰に鮮明感を高めるチューニングをすると音がはっきり聞こえ、精細感が出て繊細に聞こえる気がするので、軽く聴いたインプレッションの満足度が向上する傾向があります。結果として店頭試聴での印象は良くなるので売れやすくはなります。
しかし、定位感に悪影響が出やすく、音の自然なつながり、倍音表現にもマイナスの影響が出やすいため、調整は極めて慎重に行う必要があります。ところが、これまで私が聞いてきたJH Audioの機種はことごとく、しかるべき調整を行っていないので、高域が非常に不自然に聞こえます。LETSHUOER S12やRAPTGO HOOK-X、final A3000などを聴けば、優れたエンジニアが細心の注意を払って、高域を調整している良い事例を知ることができるでしょう。
少しうるさい店では良い音に思ったのに、家に帰って静かな環境でじっくり聞くと全然良い音に聞こえないイヤホンがあるでしょう?そこにはこういうカラクリがあるのです。
またJH16v2 Pro Universalの高域は拡張性が大幅に不足しているため、空気感で物足りません。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:D-
- 個人的な好み:D-
JH Audio JH16v2 Pro Universalは解像度が価格の水準を満たしている以外は、総じて価格以下のサウンドしか出せない凡庸以下の機種です。これに10万円以上つぎ込むのは基本的にお金の無駄です。
1万円以内でこのイヤホンよりはるかに優れた機種が多数存在するので、よほど惚れ込んだ場合以外は存在自体を忘れておくのが良いでしょう。
音質的な特徴
美点
- 高い解像度
- 低域が調整できる
欠点
- よくないクリア感
- 不自然な質感
- コンプレッサーをかけすぎたようなダイナミックレンジの悪い音
- 総じて全く価格に見合わない音質
- 実用的とは言えない低域調整機能(低域を出せば出すほどサウンドバランスが悪化)
- 原音忠実度が低い
総評
一部の人にはJH Audio JH16v2 Pro Universalはかなり素晴らしい選択肢かもしれません。しかし、多くの人にはとてもおすすめできるとは思えないサウンドで、まともに音楽を聴くためのイヤホンとして、これが作られているとは私には思えません。何か手違いがあったのでしょうか。コンプレッサー増し増しの圧縮音源みたいな音が好きならおすすめできますが、HiFi向けの高音質なイヤホンを探しているなら、これは全くそういう類の製品ではありません。
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