- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
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audio-sound Score
- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.0/10.0
- 装着感:8.0/10.0
- 高域:7.5/10.0
- 中域:5.0/10.0
- 低域:9.0/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
こんな人におすすめ
- 高いイヤホンほど音が良いと信じている人
- シックで暗い、落ち着いた音が好き
- JH Audioファン
JH Audio Lola Hybrid Universalの概要
「アウトラインレビュー」は製品の概要を簡潔に紹介するレビューシリーズです。今回取り上げる製品は「JH Audio Lola Hybrid Universal」です。
JH Audio Lola Hybrid Universalの完全なレビューはこちらにあります。
基本スペック
- 再生周波数:20-20000Hz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:105dB
- ピンタイプ:4pin
JH Audio Lola Hybrid Universalの特徴
- 新技術「D.O.M.E Midrange Enclosure テクノロジー」
Jerry HarveyがIEMに新たなパラダイムシフトを起こすべく開発した新技術「D.O.M.E Midrange Enclosure テクノロジー」は、LOLAに搭載した4.9mm径ダイナミック型ドライバー用として、位相補正バンドパス型エンクロージャーを再設計。これをハウジング内に納めました。この最適化されたエンクロージャーは、3Dプリンターで製造され、「9.8mm」相当のサウンドを可能にします。 - 独自のチューブウェイブガイド「freqphaseテクノロジー」
多数のドライバー構成での時間軸と各帯域の位相を正確に制御する特許技術です。独自のチューブウェイブガイドにより各ドライバーの信号を0.01ミリ秒以内に確実に到達させ、IEMとしての役割を適切に行います。 - ケーブルに低域調整機能を搭載(Variable bass output adjustable cable)
ユーザー自身でL/Rの低域調整可能な「Variable bass」機能をケーブル上に搭載。 - ロック機構を搭載した独自の4ピンケーブル
独自開発の4pinアルミニウムケーブルコネクターにより、安全で強固な接続を実現。汗やホコリからも守ってくれます。
パッケージ
今回はONZOのレンタル品のため、パッケージの評価は標準の7.5とします。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- キャリングケース
- イヤーピース
ビルドクオリティ
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。フェイスプレートがとても美しいですね。
装着感
装着感は悪くありません。耳が小さい人には少し大きいかもしれませんね。
音質
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
JH Audio LOLA Universalは高域で鮮明感を重視し、中域中心部も強調する変形U字型とでもいうべきJH Audioの伝統的なシグネチャーサウンドに基づいています。
この機種にも低域調整機能が付いています。このイヤホンの低域調整機能は変化量が大きめです。以下のレビューは一番バランスが良い中間位置でレビューしています。
音質についての詳しいレビュー内容はこちらを参照して下さい。
低域
スイッチを中間位置に設定したLola Universalの低域はかなりリニアでモニター的です。高域方向に持っていくと低域はかなり不足し、浅くなります。逆に低域位置だとかなり低域の存在感が強くなります。
どのスイッチ位置でも、わりとリニアで引き締まりは悪くありません。深さは10万円以上の機種にしては少し物足りませんが、比較的良質な低域と言えます。
中域
中域は相変わらずあまり良くないですね。
最初の方に埋め込んだ動画でJerry Harvey先生自ら「Tonality(調性)」を重視したとおっしゃられ、あらゆる音がバランスよく聞こえるだろうなどと説明されていますが、この中域はたしかに多くの楽器の基音付近からボーカル帯域のほとんどがニュートラルに近いものの、中域上部が大幅にニュートラルラインから逸脱しており、後退しています。
このせいで音の発色が全体的に良くなく、とくにエレキギターはエッジ感が悪く、奥に逃げて死んだように聞こえます。ボーカルも暗めで落ち着いて大人びて聞こえる点は個人的には好みですが、濁って聞こえやすく、立体感の再現度も良くありません。
たとえばLETSHUOER S12と聴き比べれば、このイヤホンがあまりTonalityに優れていないことはすぐわかります。エレキギターは明らかにS12のほうが生き生きしていますし、スネアのアタック、ハイハットの粒立ち感に至るまで優れたバランス感覚で質感と立体感の両面でより詳細に聞き取ることができるでしょう。
高域
JH Audioは相変わらず高域でかなり鮮明感を盛っています。
エレキギターの発色と立体感に問題があるのは指摘しましたが、クラシックでも、バイオリンの軸が弱く、妙にふにゃふにゃして聞こえるのがわりと気になりますね。木管もふわふわしており妙に芯が弱い聞こえ方です。
また拡張性の点でもハイエンドとは思えないほど伸びていません。
音質総評
- 原音忠実度:A-
- おすすめ度:C-
- 個人的な好み:C-
JH Audio Lola Universalはまともな低域調整機能を持っており、その点は面白い製品かもしれません。しかし、全体のチューニングはあまり優れていません。基本的に10万円台のイヤホンの中でも凡庸といった性能であり、これを選ぶよりは隣のイヤホンの方を選んだほうが確率的には良い選択肢になりそうです。
音質的な特徴
美点
- 上品でシック
- 高い鮮明感
- 低域が調整できる
欠点
- 不足している高域拡張性
- 不自然な質感
- 発色が悪い音
- 総じて価格帯では平凡なオーディオスペック
総評
JH Audioのハウスサウンドが好きなら、JH Audio Lola Universalはかなり優れた選択肢かもしれません。しかし、優れたイヤホンを求めているなら、もっと良い製品がたくさんあるのではないでしょうか。あえてこれを選ぶ必要は……ない気がします。
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