「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる製品は廉価な価格で手に入るイヤホン用純銀ケーブルKBEAR KBX4913です。
基本スペック
- 材質:純銀
- 芯数:8芯
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Recommended」として、比較的多数の人にとって買って損がないオーディオ製品であると推奨します。
パッケージ
パッケージングはこの価格帯では標準クラス以上です。本体のビルドクオリティも価格帯では標準以上でわりとしっかりしています。最近の1万円台~2万円台のイヤホンの付属ケーブルと比べてもいい勝負ができそうです。ケーブルのコーティングがしっかりしていて滑らかで取り回しが良く、絡まりづらいので、5000円以下のイヤホンに付属しているケーブルよりは確実に上質で、明確なランクアップが期待できます。
mmcxコネクタの噛み合わせもよく、タッチノイズもありません。気になる点といえば、ケーブルの結束リングの滑りが少し悪いところくらいです。
装着サンプル
FiiO FH3での装着例です。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
今回はメーカーにより完璧なチューニングが施されたnewspring NSE1000-Gを用いて測定しました。使用イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズです。
上から順に、
- ケーブル測定比較(自由音場補正済み・左右平均)
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
基本的に測定値には可聴域で装着感の違いほどの差もないように思われます。まともなポータブルオーディオ環境であれば、基本的にこのケーブルを使って音質に変化を感じることはないでしょう。
クロストーク
ケーブルにクロストークがあるとステレオイメージが崩れるので音場感に影響が出ることが想定できます。実際のところ、レコーディングシグネチャーを確認していただければ音場感に目に見えた変化はないことが確認できると思いますが、クロストークも測定しました。
ケーブルには左側コネクタのみにNSE1000-Gを取り付け、信号レベルを-30dB@1kHzになるよう調整し、その状態で左側イヤホンからの出力レベルを0にし、右側信号からのクロストークが発生するか確認します。
わずかにクロストークがあるように思えますが、この程度であれば実用上全く問題ないレベルと思われます。
以下はNSE1000-G標準ケーブルでのクロストークの確認です。参考用です。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはAntelope Audio Amariを用いています。イヤホンはnewspring NSE1000-Gを使用しています。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- newspring NSE1000-G 標準ケーブル(ハイブリッドOFC)
- KBEAR KBX4913(純銀)
総評
KBEAR KBX4913はnewspring NSE1000-Gのような高級イヤホンに付属しているケーブルと比べても品質面でほぼ同等であり、基本的にこれに交換したことで音質が変化してがっかりするということはないでしょう。クロストークの数値も満足できるものであり、高級イヤホンのバランス用リケーブル製品として十分に問題なく使えると思われます。
ビルドクオリティ的にも不満を感じるところがありません。
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