S.T.E(Silverstone Technology Electronic)は香港をルーツとするイヤホンケーブルの専門メーカーです。現在は拠点を台湾に構え、タイやベトナムに製造拠点を持つグローバル企業で、その高い品質は世界的に認知されつつあります。今年日本に初進出しました。
今回はそのミドルレンジイヤホンケーブル「STE Cu W8」をレビューします。お値段は¥40,000くらいとわりと高めですね。日本ではCu W8の3.5mmモデルは売ってないんじゃないかと思います。テスト機にAudiosense DT600を使用したい旨を伝えたところ、今回のレビューのために特注してくれたようです。大変感謝いたします。
開封動画
パッケージは比較的シンプルです。
ビルドクオリティ
ビルドクオリティはかなり高品質です。色合いもおしゃれですし。
音質
今回はインピーダンス変化の影響を受けやすく、ケーブルやアンプの音質変化を捉えやすいAudiosense DT600につないでテストしました。ストックケーブルとの品質の違いを確認します。測定に用いたオーディオインターフェースはRME ADI-2 Pro FS R Black Edition
です。
周波数特性
ケーブル抵抗値に敏感なAudiosense DT600でも、周波数特性上に音の変化が出ているとは言い難いですね。どのようなイヤホンであれ、普通のストックケーブルからSTE W8に変更しても、おそらく可聴域で音質バランスの変化を感じることはほとんどないでしょう。
THD
こちらは少し変化がありました。STE W8のほうがわずかに低域でTHDが改善しているようです。
まとめ
今回の場合、ストックからSTE W8に変更すると、測定値上、THDとディケイに改善効果がわずかに見られました。聴感上も音の立体感に改善を感じ、解像感が僅かに高まった気がしますが、劇的とはとても言えませんし、プラセボの可能性もあります。
また、期待していた周波数特性への影響が見られなかったので、音質的にW8が大きな影響をもたらすとは言い難く、イヤーチップによる装着感の改善のほうがより現実的であると言えそうです。個人的にも、もうちょっと変化が捉えられると思っていたので、この結果はわりと残念ですね。DT600を使用してさえ、周波数特性にほとんど影響がないのは想定外でした。
個人的にはリケーブルを楽しんでおり、その音質変化は(心理的なものも含め)あるだろうとは思っていますが、レビュアーとしては今のところ、ほとんど効果が期待できないというのが結論になるので、とくにリケーブルを推奨することはありません。
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