- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
- これを掲載することによる原稿料のような報酬または対価は一切受け取っておらず、個人的な試験での測定データや個人的見解に基づいて誠実に評価したものです。
- 当サイトのプライバシーポリシーをご確認ください。
audio-sound Score
- パッケージ:8.5/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:8.5/10.0
- 中域:9.0/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
こんな人におすすめ
- サウンドバランス重視
- メロウで美音系のサウンドが好き
- 聴き心地重視
- 甘やかで艶のある美しいボーカルを聴きたい
- ハーモニクス重視
- 高価なイヤホンが好き
- qdcファン
qdc Tigerの概要
「アウトラインレビュー」は製品の概要を簡潔に紹介するレビューシリーズです。今回取り上げる製品は「qdc Tiger」です。
qdc Tigerの完全なレビューはこちらにあります。
基本スペック
- 周波数特性:10Hz-70kHz
- インピーダンス:15Ω
- 感度:105dB
- コネクタ:qdc 2pin
qdc Tigerの特徴
- 8ドライバーハイブリッド構成
- 高性能バランスド・アーマチュア・ドライバー6基
- エレクトロスタティック・ドライバー2基
- プロフェッショナル4ウェイ周波数クロスオーバー
- フェイスパネルに立体的なタイガーデザインを採用
- 高品質チタン合金製イヤーキャビティ
- 軽量で快適なエルゴノミックキャビティデザイン
- 簡単な電源供給
- 快適な装着感
- プロフェッショナルチューニング
- 優れたサウンドパフォーマンス
- スリーインワンプラグ高純度ケーブル
QDCは、中国発のハイエンドプレミアムIEMブランドとして知られています。伝説的なQDC Anole VX、V6、V14など、その名の下に成功した製品の膨大なカタログを有しています。これらの有名なAnoleシリーズのIEMは、すべてマルチBAドライバーを搭載しています。今日、QDCは全く新しいハイブリッドドライバーIEM、QDC Tigerをリリースしました。QDCは、寅年を記念して、8SSマルチドライバIEMのアップデートとしてTigerをリリースしました。TigerはQDCの最新のフラッグシップグレードのIEMで、片側8ドライバーのハイブリッド構成で、片側6つの高性能カスタマイズされたバランスド・アーマチュアドライバーと2つの静電ドライバーの組み合わせが実現されているのです。
寅年を祝う
2022年、寅年の到来を記念して、QDCは最新のフラッグシップIEMを発表しました。最新のQDC Tigerは、従来の8SSマルチドライバハイブリッドIEMをアップグレードし、ドライバ構成と高品質のチタン合金製イヤーシェルを搭載しています。
マルチドライバーIEMのエキスパート
QDCは、ハイエンド・プレミアムIEMの設計で市場から高い評価を得ています。最新のフラッグシップモデルTigerは、片側8ドライバーのハイブリッド構成で設計されています。カスタム開発された6つの高品質バランスド・アーマチュア・ドライバーと、カスタム開発された2つの静電ドライバーを搭載しています。
フラッグシップモデルV14と同じ音響構造
QDC Tigerは、フラッグシップモデルAnole V14と同じ4ウェイ周波数クロスオーバーと4ウェイサウンドチャンネルを採用しています。この4ウェイ・クロスオーバーにより、出力信号の歪みを抑えたクリーンな演奏が可能になります。この4ウェイ・クロスオーバーにより、高域の伸び(70kHzまで)を実現し、全体的に滑らかできめ細かいサウンドを提供します。
プレミアムチタンイヤーシェル
QDC Tigerは、プロのエンジニアによる独自のクラフトマンシップを表現しています。フェースプレート部分には、3Dスタイルのタイガーパターンが施されています。また、空洞部には高品質なチタン合金を採用しています。
プラグ交換式3イン1ケーブル
QDCは、Tigerに高品質な3インワンプラグケーブルを同梱しています。ユーザーは必要に応じて終端プラグを交換し、QDC Tigerをさまざまなソースで使用することができます。
パッケージ
パッケージは価格帯の標準を満たしています。おしゃれな化粧箱に入って届きます。ただ、この価格ならもっと豪華な開梱体験が欲しかったところです。
一般にqdcは価格のわりにパッケージが物足りないのが課題ですね。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース(2種類)
- ケーブル用交換式エンドプラグ(3.5mmSE/2.5mmBAL/4.4mmBAL)
- 3.5mm⇒6.35mmアダプタ
- 航空機アダプター
- クリーニングツール
- キャリングケース
- 説明書など
ビルドクオリティ
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
フェイスプレートが美しいですね。
装着感
装着感は良好です。
音質
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
qdc Tigerは中域が強調された中域充実系のサウンドを持っています。
音質についての詳しいレビュー内容はこちらを参照して下さい。
低域
qdc Tigerの低域は比較的リニアに伸びています。中域との存在感のバランスはほぼイコールかわずかに弱く聞こえるバランスに調整されており、多くの人にモニター的な印象の低域を聞かせてくれることが期待されます。ただし深さは少し物足りません。
ドラムキックは重さはそれなりに感じるものの、浅く、引き締まりが少し足りず膨張的で、私にはインパクトに少し欠けて聞こえます。
エレキベースもやや明るく、広がりが足りない印象です。
中域が明るく聞こえるバランスなので、中域重視の人にはかなり良好に思えるかもしれませんが、低域マニアは量的にも質的にも明らかに不満でしょう。
中域
qdc Tigerの中域は比較的ニュートラルに近く、質感は比較的正確です。中域全体の構造は後傾的でステージングが強調され、奥行き感を出す調整になっています。
一般に中域は全体の中で一番前面に聞こえ、ボーカル音像は大きめに感じられるでしょう。ハイブリッドモデル特有の歪の強さがあり、透明度に劣るため、ボーカルや楽器音は背景との分離はあまりよくなく、全体としてウォームに聞こえます。
歪が高いと立体感に悪影響が出て、奥行き感の再現度が悪くなりますが、一方でラジオのように音源の粗が目立ちにくいというポジティブな効果もあります。
率直に言えば、こんなに高価なのに、アドバンテージを感じない濁った中域ですが、雰囲気的には真空管アンプのような荒い粒子感が感じられるので、アナログサウンド好きならかなり好ましく思える可能性が高いですね。
ドライバー数が多いわりに全体のレンジ感はあまりよくなく、中域にフォーカスされすぎているのは気になるところです。とはいえ、解像度と精細感は高いので中域の質自体はわりと良好です。
高域
qdc Tigerの高域はわりとうまく調整されていますが、静電ドライバーを搭載しているにもかかわらず、高域の拡張性はとてもハイエンドにふさわしいとは言えません。しかし、解像度は優秀です。中高域は艶やかなあたりが歪が多くなり、印象的に聞こえるようになっており、鋭さをうまく抑えて丸め込んで滑らかに聞こえるノスタルジックなメロウサウンドを上手に作り出しています。qdcはこういう細部の音楽的な雰囲気作りは非常にうまいですね。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:A+
qdc Tigerはボーカルを独特の表現で美しく聞かせるイヤホンです。美音系のイヤホンが好きなら、かなりおすすめできます。
ただこの価格帯の製品にありがちなことですが、そのサウンドクオリティに対して価格はかなり割高です。もちろんこうした製品はいわゆる富裕層向けの限定品ですから、コストパフォーマンスを問題にすべきではないかもしれません。もしかしたら将来的に値上がりする可能性もありますし、投資目的でほしいという人もいるかもしれませんしね(ただ、現在はまだイヤホンがまともな投資対象になると思えませんが)。
実際、総じて悪くない品質ですし、私は比較的歪が多いサウンドも好むので、ボーカルの聴かせ方はかなり好みです。少なくとも同じ価格帯の多くのイヤホンよりかなりまともなチューニングになっているのはさすがqdcといったところです。
とはいえ、qdc TigerよりはOpen Audio Mercury 2.0のほうがはるかに好みですし、客観的なスペックやサウンドバランスでも、Mercuryのほうが多くの人にとってほとんど優れていると言えます。
音質的な特徴
美点
- 良好な原音忠実性
- 良好な質感
- 高い解像度
- 明るい中域
- メロウサウンド
- 中域への適切なフォーカス
- 聴き心地が良い
- ハーモニクス豊かな中域
- 濃厚で密度感のある中域
欠点
- 中域の透明度に劣る
- 低域の深さで物足りない
- 高域の拡張性が大幅に不足している
総評
qdc Tigerはハーモニクス豊かでノスタルジックに聞こえる中域にフォーカスされたメロウなサウンドを聞かせる美音系ボーカルホンです。非常に美しい造形のデザインでハイエンドにふさわしい出来栄えとなっており、所有欲を存分に満たすことができるでしょう。その体験は一部の人にとってはたぶんプライスレスなのだと思います。
関連記事