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【特集】天才・タナカ零&歌姫・安月名莉子「be perfect, plz!」で味わうパワーDAP。FiiO M15/iBasso DX220MAX/Astell&Kern KANN CUBE

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安月名莉子「be perfect, plz!」

安月名莉子「be perfect, plz!

 

 

アニソン界の鬼才「タナカ零」

 さて、今回はデジタルオーディオプレーヤーの中でも音質的な完成度が高く、かつ最もパワフルと言われる3機種を聞き比べようという企画第1弾の記事なのですが、とりあげる曲は安月名莉子「be perfect, plz!を選びました。(第1弾で飽きて続編がない可能性もありますw)

 

左からFiiO M15、iBasso DX220MAX、Astell&Kern KANN CUBE

左からFiiO M15、iBasso DX220MAX、Astell&Kern KANN CUBE

 

 この曲はTVアニメ「慎重勇者」のED曲ですが、作詞作曲は知る人ぞ知るアニメ界の鬼才、謎のアーティストタナカ零が手がけています。この人はプロフィールが謎ということになっていますが、彼を一躍有名にしたのはTVアニメ「あそびあそばせ」のOP曲「スリピス」であることは間違いありません。

 

 次にピックアップするのは、可愛らしい絵柄に反したシュールなギャグセンスで注目を集める今期のダークホース的アニメ『あそびあそばせ』(TOKYO MXほか)のOPテーマ「スリピス」を制作したタナカ零です。と言いつつ、正直この作家がどういった人物なのかは、調べてみてもわからなかったのですが……。ただ、過去の仕事ぶりを含め、並々ならぬ才能と異質感を感じるので、とりあえず自分が知ってる限りのことを紹介します。

realsound.jp

 

 上のサイトの解説が秀逸なので、「スリピス」の凄さについては上記サイトを参照して欲しいのですが、そのタナカ零は最近安月名莉子さんとタッグを組んでいるような感じになっており、TVアニメ「彼方のアストラ」のED曲「Glow at the Velocity of Light」からこの「be perfect, plz!」、そして、「さいしょからずっと」「sweet pass」などの安月名さん作曲の楽曲に作詞するなど頻繁に仕事をともにしています。

 

常識外れだが、異色アニメ作品と見事にシンクロする「be perfect, plz!」

 私はタナカさんの曲では「スリピス」と「Glow at the Velocity of Light」のカップリング曲「たたくおと」なんかがとくに好きで、さらに安月名さんの曲も「rise」なんかが好きなんですが、ぶっちゃけこの「be perfect, plz!」は最初どこがいいのかわからず、ガチャガチャうるさいだけで全然つまらないと思ってたんです。

 

 www.youtube.com

 

 この曲は既述のようにTVアニメ「慎重勇者」のED曲なのですが、最初はとにかく音楽要素がこれでもかと無作為に雑多に盛り込まれた構成の悪い「ごった煮」の曲に聞こえ、3話EDから登場する、(おそらく安月名さんの踊っている姿をモーションキャプチャーで取り込んだと思われる)ED映像の少し不格好で不器用な動きをする3DCGのぎこちなさと相まって、「なんじゃこりゃw才能の無駄遣いってこういうこと言うのねw」ってわりとひどい感じに思ってたんですが、いやぁ、見事にやられました。この曲聴き込むと中毒性がやばいですw

 

作者はタナカ零という人でアニメの曲などを手がけている、謎の新人さん?らしい。
はじめてきいた時は、なんともガチャガチャした曲だなー、と思ったけど面白いコード進行や対位法みたいなフレーズがさりげなく入っててはまった。

blog.goo.ne.jp

 

 この曲はほんと上のブログの人の言うとおりで、とにかく最初はいろんな傾向の音楽がいっぺんに聞こえてくるので、足元でEDMのダンス踊りながら上でクラシック演奏会やってたりする中で歌手がアニソン歌っているような無茶苦茶な曲に聞こえるんですが、聞き慣れてそれぞれの要素がわかってくると、それぞれの音楽に別々の情景が浮かび上がるようになってきて、それこそ「走馬灯のように」楽しめるようになってくるんです。

 それだけでなく、アニメは最初のスピード感溢れるコメディから急速にシリアスドラマに(わりと強引に)展開していくんですが、ちょうどこのEDに慣れてきた頃にシリアスのクライマックスが来て、ED曲が「さいしょからずっと」になります。最終話ではこの曲は使われないんですが、そのあと1話に戻ってこの曲を聞き直すと、本当に冒険の思い出の風景や過去のイクスフォリアの映像が思い出されて、聴くだけでこのアニメのすべてが思い浮かぶようになってきます。ただうるさく、調子外れに聞こえてた曲が、どこか切なく甘やかで懐かしく、ただただ必死に曲についていっているだけのちょっと苦しげな感じに思えたボーカルも、物語を楽しんだ後だと、明るい調子の中に起伏に富んだ喜怒哀楽の感情が丁寧に歌い込まれているように感じられてくるから不思議です。

 最初は無茶苦茶に思えた主人公の行動や物語の筋が、後半で見事に繋がって途端に視界が開けるような体験が、このED曲でも味わえる仕掛けになっているのです。聞き慣れるとぐちゃぐちゃだった曲が非常に感動的な曲に聞こえるこのトリックには脱帽としか言い様がありません。とにかく、この曲は個人的には名曲過ぎてタナカ零という作曲家の引き出しの凄さに改めて驚かされました。

 

慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~

慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~

 

「be perfect, plz」の聞きどころ

 今回は聞き比べるに当たって、この曲の聞きどころ要素を個人的に分析し、その満足度で評価してみることにします。

 

  1. ボーカルの甘味:個人的な好みですが、中域に充実感があり、みずみずしいサウンドで聴くのが好きです
  2. 音のツヤ:ボーカル近くの楽器音にツヤは甘味に関係します
  3. ボーカルニュアンス:細かなニュアンスが味わえると気持ち良い曲です
  4. 音場:この曲は音数が多く、音楽要素も多いので、音場が広い方がうるさく聞こえません
  5. 輪郭感:要素の多いこの曲の場合、楽器音の輪郭がはっきりしているほうが一般に聞こえが良好に思えます
  6. 音のキレ:リズム要素も強いので、ドラム音を中心にサウンドにキレがあると楽しめます

 

使用機種:ONKYO SN-1

 楽曲の特性を考えて、今回はONKYO SN-1で聞き比べました。響きの良い桐のハウジングは魅力の機種です。

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聞き比べレビュー

FiiO M15

FiiO M15

FiiO M15

 FiiO M15は20万円以下でデジタルオーディオプレーヤーを選ぶ場合、現状最も満足度が高いであろう製品の一つです。現状のあらゆるDAPと比べても遜色がないパワフルなアンプ出力を備えていながら、コンパクトで持ち運びやすい薄さとサイズでポータビリティに優れています。2.5mm/3.5mm/4.4mmのすべての端子に対応しており、ポータブルオーディオ環境はこれ1台だけで完結する万能プレーヤーです。

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 さて、実際に聴いてみると今回の機種の中では最も厚みがあり、中域が充実した甘味のあるサウンドを実現しています。低域がやや前進的であり、低域と中域は自然に繋がっており、厚みを出すサウンドになっているので、人によっては今回の他のDAPに比べて清潔感がやや足りない気がする可能性があり、音場が前屈みに思う可能性がありますが、音楽性という点では最も優れている滑らかで艶のあるサウンドを実現しています。高域は自然に後退して聞こえるので、粒立ち感や風通しはそれほど強くなく、音場の開放感は比較的足りなく思うかも知れません。(設定:ゲイン高/Pure Music Mode/ヘッドホンモード有効)

 

  • ボーカルの甘味:A
  • 音のツヤ:A
  • ボーカルニュアンス:B
  • 音場:B
  • 輪郭感:B
  • 音のキレ:B

 

 質感的には滑らかで艶のあるサウンドを実現しており、他の2機種に比べると分離感と輪郭感で少し物足りないかも知れませんが、中域の甘味とナチュラルさに優れているDAPです。ハイエンドらしい優雅さのあるサウンドで、この曲のクラシック的要素と甘いサウンドを充分に引き出してくれますが、モニター的なサウンドを好むリスナーには若干分離感が物足りなく思えるかも知れません。

 

anchor.fm

 

iBasso DX220MAX

iBasso DX220 MAX

iBasso DX220 MAX

 iBasso DX220 MAXは中国のオーディオメーカーiBassoが999台限定で売り出したhairンドフラッグシップデジタルオーディオプレーヤーです。iBassoのこれまでのオーディオプレーヤーを凌駕する完成形として、据え置きと変わらないモンスタースペックとサウンドを実現することを目標として設計されました。Androidシステムを動作させる電源とアナログオーディオ回路の電源が完全に分離されているのが特徴で、合計5基のバッテリーパックが搭載されています。

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 iBassoは伝統的にドライな味付けを好むようですが、DX220 MAXも例外ではないようです。少なくとも私の聴感上は少し粒立ち感に強調があり、音の粒子は細かく聞こえますが、中域の甘味には欠けます。しかし、音場の全体は引き締まっており、FiiO M15では少し厚みがあった中域下部が清潔傾向で聞こえ、低域はニュートラルなバランスになっているようです。(設定:ゲイン高/Mango OS)

 

  • ボーカルの甘味:B
  • 音のツヤ:B
  • ボーカルニュアンス:A
  • 音場:A
  • 輪郭感:A
  • 音のキレ:A

 

 質感的には少しドライで質感的に筋立ちの強調を感じますが、風通しは良好で繊細なサウンドを好む場合は今回のDAPの中では最も優れて聞こえると思われます。私には音の雰囲気はわりとデジタルに寄って聞こえますが、ハイファイ感に優れています。モニター的なサウンドが好きならきっと気に入るでしょう。

 

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Astell&Kern KANN CUBE

Astell & Kern KANN CUBE

Astell & Kern KANN CUBE

  Astell&Kern KANN CUBEはモンスターDAPの草分け的存在であるAstell&Kern KANNの後継機種です。KANN CUBEは発売当初サイズでも超弩級といえるDAPで、これ1台で据え置きレベルの音質と駆動力を実現しているオールインワンモデルとして登場しました。iBasso DX220 MAXとは完全に競合するDAPと言えるでしょう。

 

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 KANN CUBEはわずかに低域にパワフルさを感じますが、全体として非常にニュートラルです。なめらかさとしなやかさを備えたサウンドを持っており、FiiO M15ほどではないですが、適度に充実して甘味があり音楽的な中域と、光沢感と輪郭感がしっかりした中高域があり、かつ高域はすっきりと自然に抜けています。どちらかといえばモニター的ですが、ニュートラルに近いサウンドを実現しており、音場は非常にバランスが取れて上から下まで聞こえます。粒立ちの強調はDX220MAXより抑えられており、分析的になりすぎない音楽性のあるサウンドを持っており、こういった複雑な表現を持つ曲でも、自然な質感を維持しながら音場をきれいに聴かせてくれます(設定:ゲイン高)

 

  • ボーカルの甘味:B
  • 音のツヤ:A
  • ボーカルニュアンス:A
  • 音場:A
  • 輪郭感:A
  • 音のキレ:B

 

 DX220MAXの音は引き締まっているが、乾きすぎていてみずみずしさが足りず、質感的にも自然ではないと思う場合、同じように解像度重視でありながら、より充実した中域を持っているKANN CUBEは魅力的かも知れません。楽器音の質感にはナチュラルな滑らかさがあり、音場も開放的で見通しが良好です。

 

anchor.fm

 

【総評】KANN CUBEのバランスの良さに改めて注目させられました

 率直に言ってこの曲を聴く場合、私の個人的な好みはFiiO M15なんですが、こうした複雑な曲の場合、改めてKANN CUBEのバランス感覚の良さに驚かされます。解像感と音場の見通し感がしっかりとありながら、自然に感じられるニュートラルな中域をよく実現しており、ドライな感じがありません。第一印象ではDX220MAXの引き締まった感じが分解能が高く思えてわりと好感を持ったんですが、KANN CUBEで聴くと、ボーカルの自然なつややかさが丁寧に出ており、より透明感が感じられます。

 最終的には好みになると思いますが、より分析的なサウンドが好きならDX220MAXを、音楽的なサウンドで聴きたい場合はFiiO M15を、その間のニュートラルで中庸な道を選ぶならKANN CUBEが個人的なおすすめです。

 

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